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こちらで見つけたOD記事

リストカットなどの自傷取材の際、最もたくさん読んだのは米国の文献だった。
この国では、自傷関連の文献がすでにたくさん出版されていたし、自傷者のためのワークブックやら、自傷をやめた後を生きる人のための本など、内容もすごく細分化されていた。
そんなわけで、こちらの大手メディアが自傷をどんな風に記事にしてるのか、ちょっぴり興味があったのだ。

そしたら、本日、見つけた。
ワシントンポスト紙の健康関連記事に。
見出しはこんな感じ。

Crying Out For Help
Suicide Attempts Reveal Strains on Young Latinas

つまり、中南米からこの国にやってきたヒスパニックの女の子たちの話なのだった。

記事は、ニューヨークの労働者たちが暮らす街で、プエルトリコから米国にやってきた16歳の女の子が、夜中に睡眠薬を1瓶まるまる飲んで、床に倒れてるシーンから始まる。
母親は最初、娘は酔っぱらってるんだと思って、そばでしばらく一緒に横たわった。が、夜が明けても娘が目を覚まさないのを見て、あわてて911番 (日本の119番、ね) したという。

記事は、Centers for Disease Control and Prevention の調査を引用し、こう続ける。

12~17歳の女の子の自殺率をみると、ヒスパニックの子たちがどの人種、民族と比べても一番高い。25%が自殺を考えたことがあり、15%が一度は自殺を試みている。これは白人や黒人の10%という数字よりも大きい。別の研究によると、ヒスパニックの女の子たちにおける自殺未遂率は20%に上り、これはタバコを吸う率より弱冠低いだけ、という。

20%って。
5人に1人じゃん。

ある心理学者によると、自殺未遂をする子の多くが、自宅で薬を過剰摂取、つまりODするという。また、cutting もよく見られるという。
この記事は、その後、しばらく、自傷行為についての説明を試みている。
曰く、身体的な傷みは彼らの感情的な痛みを覆い隠してくれる。
多くの子が「腕を流れ落ちる血を見ることで気持ちが楽になる」と語る。
これらの自傷行為は死ぬことを求めているのではなく、助けを求めているのだ、などなど。

いずこも同じだなあ、と思う。
この記事の、15%だの20%だのという自殺未遂率は、いわゆるリストカットのような自傷行為も含めているようだ。
ならば、それほど驚く数値でもない。日本でも、中高生が身体の一部を切るなどの自傷行為を経験している割合は10%を超えているわけだから。
ただ、人種や民族による違いには、ドキリとさせられる。

専門家たちは、ヒスパニックの女の子たちに特に自傷やODが高い確率で見られる背景として、以下のことを指摘する。

・彼女たちの親世代は、ヒスパニック社会で、親せきや近所の知人などとの強い結びつきを享受してきた。が、娘たちにはそれがない。

・セクシーであることや、自分の意見を積極的に述べることが評価されるアメリカ文化と、娘に控えめで従順であることを期待する家族との間で、無力感やフラストレーションに苦しみやすい。

・学校で孤独を感じやすい。

・ヒスパニック社会は、自分たちの精神的な悩みを精神科医などに相談することに懐疑的で、むしろ家族内でおさめようとしがちだ。

・米国に移住したヒスパニックの親たちは、娘の行動を見守ってくれる親せきや近所などのコミュニティーがないために、自国にいた時よりも、娘の行動に対し、厳しく管理しがちである。

・一方、娘たちは学校ではクラスメートに 「親のことなんてどーでもいいじゃん。自分のやりたいようになんなきゃ」 などと言われ、家では従順な娘を演じ、学校では友達と調子を合わせて、「分裂した心」 のままに暮らさねばならなくなる。

・ヒスパニック家庭は結婚しないまま出産する率が高い。自殺未遂を試みた若者の多くが、家庭で母親のボーイフレンドがめまぐるしく変わるのを目の当たりにしている。娘たちがそこで虐待を受けることも珍しくない。

などなど。
ある専門家は、ヒスパニックの女の子たちにとって、母親との関係改善が一番大きなカギを握っていると語っている。
そのコメントが、これ。
「彼女たちは、ただ愛されているだけではなく、自分たちがちゃんと愛されてると分かっていたいんだ」 。
うーん、日本で何度も聞いたようなコメントだなあ。

移民。貧困。人種間格差。母親のボーイフレンド。
日本で取材した女の子たちと違う面もいくつもあるけれど、妙に似てる分析やらコメントが散見されるのが、やたらと気になるのであった。



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興味深く読んだよ。
ODの多さにびっくりと、ヒスパニックに多いというのとには驚いたけれど、母親との関係で……というくだりでは、「やっぱりね」と思ってしまったのでした。
周囲のケアのしかた、病院との結びつき方など、まだまだ興味あります。続報、深く希望!

弱冠は<若干>のミスタイプです。ご注意。

もうひとつ。「少人数」は、ぼくのブログに書きましたが、嫌いな言い方、書き方です。

「大人数」、「小人数」が、古くて、安定していて、懐かしい。

「多人数」「少人数」は、新参者、成り上がり、エセ数学の匂いがします。(いや、臭い?)

・  まいにち、連日、日を置かずのご執筆に、だいじょうぶかな、と
心配になります。その日、その日、愉しんで書き飛ばす勢いが、ものすごい。なんども笑えた。アメリカことばでも、きっと間もなく You
can make anybody laugh.  は確実。

・  また、読みます。さて、仕事、しごと。

・  詩集は着きましたか。(目下、メールは受信拒否状態。一両日中に恢復予定)    おげんきで

                        工藤 幸雄拝 teresayk

911番

いま、ちょっと目をとおして、米国での911番は日本での119番に当ると記述があったので。たしか9・11の事件があった数ヶ月あと、911は日本の110番にあたるというような話を聞いたことがあった。でも発生直後、そんな話は日本の新聞にはでていなかったと記憶する。あのテロは9・11に実行する必然があったわけだ。暦って大事なんだよね。
プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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