記事255◆世界史未履修は損だ!、の記事

2004.09.23 11:40|行った見た書いた記事
私は、世界史に無知である。
理由ははっきりしている。
共通一次を日本史で受けることを決めた後、高校3年生で習った世界史の授業を、ほとんど寝て過ごしたためだ。
今、ものすごく後悔してる。
社会人になって、ものすごく必要な知識や教養の一つが世界史じゃないだろうか。
そんな思いから、この記事を書きました。


■掲載年月日 2006年11月21日
■世界史は面白いゾ
■高校生諸君、未履修こそ損だ!


 8万人を超える高校3年生が巻き込まれた必修科目の未履修問題。「履修逃れ」の最大の標的となったのが世界史だ。必修科目でありながら受験科目としては最も人気がなく、今回の騒動では受験生から「まじめに勉強して損した」という声すら上がる。嫌われモノの世界史だが、学んだことは本当に「損」なのか。

 「損」と言われるほどに世界史の授業はつまらないのだろうか。私も高校時代、暗記物の多い世界史が苦手だった。そこでまず、「面白い」と評判の授業を受けてみることにした。

 潜り込んだのは代々木ゼミナール。世界史の人気講師、佐藤幸夫さん(39)の教室だ。この日のテーマは第一次大戦後の「ベルサイユ体制」。講義では聞き慣れない条約名が次々と。「サンジェルマン条約、ヌイイ条約、トリアノン条約、セーブル条約……」。ああ、もうだめ。怒とうのカタカナ用語に高校時代の苦手意識がよみがえる。

 ところが佐藤さんの授業はどうも勝手が違った。受験が目的だから、記憶すべき用語を列挙し、下ネタ交じりの語呂合わせまで披露するのだが、一方で歴史を身近に感じさせるエピソードや、自身の世界60カ国以上の旅の体験談を交え、歴史を壮大な物語として語るのだ。
 パリ講和会議でフランス代表クレマンソーが怒鳴ってテーブルをひっくり返しただの、米国代表ウィルソンにつかみかかろうとしたのを仲裁したのが英国代表ロイド・ジョージだの。授業というより、講談みたいだ。
 聞いていると次第に、ドイツや日本がなぜ孤立していったのか、国際連盟がなぜ無力だったのかが見えてくる。「これ、大戦のわずか20年後になぜ再び大戦が起こってしまったのかを理解する授業なのかも」と途中で気づいた。

 そう。歴史から学ぶべきことはたくさんあるのだ。

     ■

 なのに世界史は人気がない。日本史と地理はどちらかを履修すればいいが、世界史は必修科目。しかし、大学入試センター試験の受験者数は日本史がトップで世界史はビリ。記憶するのが大変そう、と受験生が敬遠するためだ。佐藤さんも「地理は横の広がり。日本史は縦のつながり。でも世界史は縦と横だから学ぶのも教えるのも難しい。しかも、必修になってからというもの、世界史の教師数は不足気味。専門外の先生が教えることも多く、授業はさらにつまらなくなる」と説明する。

 ところがこの世界史、社会人が「勉強しておけばよかった」と後悔しがちな教科なのだ。

 日本旅行販売部マネジャーで、ファンクラブの会員数は2万人というカリスマ添乗員、平田進也さん(49)は「この仕事、世界史を知らないと話にもなりません」。
 未履修問題について「人間形成に大切な思春期に、何で世界史に出会わせてあげへんのですか。島国日本を一歩出たら外国の人と歴史を語り合う場面はいくらでもある。受験だけでなく、人生のどこでテストされるか分からへん。『知りません』は恥ずかしい。世界史を学ぶことは人間の幅を広げることなんです」。

 年間で1740万人(05年)もの日本人が海外旅行に出かける時代だ。世界史の知識が豊かだと旅行はより楽しいはず。

 ソニーの女性管理職第1号で、国内外に人脈を持つ東京電機大講師、落合良さん(70)は高校時代に学んだ世界史を「私の人生の土台」と表現する。「人生を選ぶのは自分自身。でも土台がなければ選ぶことすらできない。これからの時代、国際的に生きるのが当たり前。履修逃れは子どもたちの可能性を殺してしまう」
 ソニー時代、海外で日本のビジネスマンが商談を終えた途端に黙り込む姿を何度も見てきた。「相手の歴史も文化も身についていないと、話題が続かない。あれでは世界でネットワークを築けません」

 世界史を学んだことは、決して「損」ではないのだ。

     ■

 ところで、佐藤さんは「知識だけの世界史にしたくない」と、大学生を連れて世界史の舞台を巡るツアーも続けている。もし受験に関係なく教えるなら、どんな授業をするのだろう。
 「歴史上の人物を1年に100人くらい選び、当時の歴史をドラマチックに物語ってみたいですね。将来、外国人と会話する時、相手の国の有名人について自分の思いを自分の言葉で話せるように」
 そんな授業なら、私も受けてみたい。今になって、社会人向けの世界史のハウツー本とにらめっこしている身としては……。

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プロフィール

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。
   仕事を辞めて渡米。
   11年秋、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
    疑問符を感嘆符に変えること
苦手■勧善懲悪
著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)▼
訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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