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記事227◆ホストクラブに行ってみた、の記事

□掲載年月日 2006年03月01日
□華麗で危うい異次元
□いま注目のホストクラブへ行ってみた
□癒やされたい女性たち

 ホスト界が脚光を浴びている。かつては「日陰の存在」と思われがちだったホストクラブが、最近はテレビドラマや映画の舞台にもなっているのだ。一見華やかだが、危うい雰囲気もあるその世界。いったい何が人を魅了するのか。

■顔より会話術?

 「すべての女性を幸せにする」。これ、ホストクラブを描いたテレビドラマ「夜王(やおう)」(TBS系)で主人公のホストが言う決めのセリフだ。もしかして私も、幸せにしてもらえるんだろうか。ホストクラブに行ってみた。

 東京・新宿歌舞伎町の「愛」本店は、この業界では老舗。鏡張りにシャンデリア、金ぴかの飾り物。生バンドやダンススペースも備えた古き良き「ホストクラブ」である。ここを選んだのは、内装がいかにも異次元っぽい雰囲気で、開店も午後7時半と早く、中高年の初心者でも入りやすそうだったからだ。ホストの指名やボトルキープをすれば料金は数万円に跳ね上がるが、初回は5000円で焼酎やブランデーが飲み放題。

 何人ものホストが交代で目の前に座ってくれる。九州から上京し、6畳間で同僚と2人暮らしを始めた25歳や、フリーターのまま29歳を迎え、ホストの世界に少々おびえながらも「最後の挑戦!」と一念発起した30歳もいる。「みんな大変ねえ」と苦労話に相づちを打つ私。
 でも、もしかしてそれ、世話好きオバサン向けの営業トークじゃないの?
 ホストたちは口々に「違いますよー」とさわやかに笑う。

 突然、「ハッピーバースデー」の曲が鳴り響いた。ホストたちが立ち上がり手拍子を打ち鳴らす。誕生日のケーキが女性客に運ばれてきた。「お客さんの誕生日には、ホストが自腹でケーキを用意するんです。女性がお返しにドンペリを入れてくれることもある」とホストが教えてくれた。ところで高級シャンパン、ドン・ペリニョンのお値段は? 「白が4万、ロゼは12万円」。思わず絶句。

 でも、ホストたちの語る「ホスト哲学」は結構おもしろい。
 「ホストは顔より会話術」
 「字なんか読めなくていい。場の空気を読め」
 「ホストの資質は世渡り上手と八方美人」
 「ホストは食わねど高ようじ。女性に夢を売ってるんだから、お金がなくても見えは張る」。
 そして目標はやはり、「売り上げトップ」なのである。
 
■漫画、そしてテレビ

 昨今のブームは漫画から始まった。数年前から、ホストが登場する漫画が急増。男性漫画では主人公のホストが売り上げトップを目指す男の成長ストーリーが王道で、少女漫画なら主人公の少女に夢を与える存在として登場する。代表格は「ヤングジャンプ」(集英社)連載中の「夜王」。1~12巻で約200万部を売り、女性読者も多い。担当編集者は「一度は見たいのがホストクラブの世界。知られざる世界が舞台だが、基本のストーリーは男の成長物語で、女性をめぐって男と男が戦う分かりやすい構図なのが人気の理由かも」と分析する。

 一方、テレビではホストに密着取材したドキュメンタリーが人気。ホストが芸能界デビューを果たしたり、バラエティー番組に登場したこともあって、露出度がますますアップした。漫画をテレビドラマ化した「夜王」の視聴率も好調だ。3月には映画「ウォーターズ」が公開予定。夢破れた男7人が再起を懸けて素人ホストクラブを開く青春映画という。ホストクラブで遊べるチケット付き前売りペア券は6000円。100組を発売してすでに半分が売れた。

 ところで私、ホストクラブの取材は2度目だ。最初は10年前。「援助交際」で得た金をホスト遊びにつぎ込んだ女子高生を取材した。昨年には前橋市で、強盗傷害容疑で逮捕された女子高生2人が「ホストクラブの未払いがたまっていた」などと供述している。金をつぎ込み人生を狂わされた女性もいれば、未成年への酒類提供や無許可営業などの風営法違反で摘発される店も少なくない。そんな危うさを併せ持つこの世界を、なぜ、お茶の間は受け入れるのか。

 テレビドラマ「夜王」の主な視聴者は、実は女子中高生とその母親たちだ。プロデューサーの加藤章一さんは「ホスト界のドロドロした部分に焦点を当てるのではなく、あえて人と人とのピュアな結びつきを描いたことで、ホストクラブに縁のない普通の女性に受け入れられた。中高生に受けるのは、非日常的な異空間に格好良い男の子がたくさん登場するから。30~40代の働く女性や主婦たちに受けるのは、仕事や家庭で女性として扱われる機会が減っている中で、ホストクラブに実際に行ったような気分になれて、癒やされるからでしょう」と分析する。

 番組のホームページの掲示板には女性たちからこんな感想が。「主婦にとっては夢のまた夢。すてきなホストが勢ぞろいで本当にウットリしてしまいます」「ドラマとはいえ、幸せにしてもらっていることにありがとう」「楽しい時はもちろん、寂しいとき、つらいとき、お店に行ったらなごませてくれそう」。もしかしたら、ホストの「お茶の間デビュー」を支えているのは、ホストクラブに無縁な暮らしを送りつつも、テレビの疑似体験で癒やされたいと願う女性たちなのかもしれない。

■心が満たされていれば

 もっとも、疑似体験で済む人もいれば、済まない人もいるのが世の常で、メディアにおけるブームの余波は、現実のホストクラブにも当然広がっている。「愛」本店の愛田武社長によると、「歌舞伎町のホストクラブやボーイズバーはバブル崩壊で一時は100店ほどに減ったが、今回のブームでバブル全盛期並みの約150店まで盛り返した。テレビや雑誌の取材件数は5年前の8割増。『ちょっとのぞいてみよう』と初回料金を利用する普通の20、30代の働く女性や主婦たちが増えています」。

 同店は「はとバス」の団体向けコースにも入っている。主な客層は「行ってみたいけど1人じゃ怖い」という50~60代の女性たちだ。「最初は緊張していても、慣れるとカラオケに、ダンスにすごく元気。ホント、女性が強い時代になったよね」。同店を35年経営する愛田社長はそう感心しつつ、一方でこうも言う。「でも昔から、女性はどこか悩みがあるからホストクラブにやって来るんだよね。癒やしを求めて。心が平和で満たされていたら来ないよ」

 見上げれば、まばゆいほどのシャンデリア。男女の嬌声が響く。夜が更けるほどに若い客が増えていく店内で、ふと、例のセリフを再び思い出した。「すべての女性を幸せに」。それって簡単じゃないよな、と思った。

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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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