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記事218◆初めての歌舞伎体験、の記事

■掲載年月日 2005年12月05日
■初めての歌舞伎
■世界遺産に登録--予習は不要
■オペラグラスとイヤホン活用を!


 「歌舞伎」がユネスコの世界遺産(無形文化遺産)に登録された。日本人は「世界遺産」が大好きで、熊野古道も知床半島も登録直後から観光客が急増している。となると、歌舞伎にも新たなファンが増えるだろう。これを機に、「はじめての歌舞伎」の楽しみ方を探ってみよう。

 まずは質問!
 江戸時代には身分によって楽しむ芸能も違った。歌舞伎を楽しんだのはどんな人々だったか。

1、武士 2、町人 3、公家

 答えは、町人。歌舞伎は、江戸時代の町人たち一般大衆が楽しんだ芸能だった。一方、能や狂言は武士が教養として身につけるべきものだった。

◇ステップ1・鑑賞の前に

 歌舞伎の語源は「傾(かぶ)く」。常識を外れた異様な振る舞いや装いをする者を「傾(かぶ)き者」と言った。戦国時代末期、「出雲の阿国(おくに)」という女性が男装し、踊ったのが「傾き者」として庶民に喜ばれた。これが歌舞伎の起源といわれている。
 しかし、このように女性が踊る「女歌舞伎」は風紀の乱れを理由に幕府から禁止された。そこで次に美しい少年による「若衆(わかしゅ)歌舞伎」が登場したが、結局こちらも風紀を乱すと禁じられてしまう。女性や少年がだめなら、と、成人男性が舞台に上がったのが「野郎歌舞伎」だ。成人男性の髪形(野郎頭)からこの名がついた。これが今の歌舞伎の原形で、男性が女性の役を演ずる「女方(女形)」もここから生まれたといわれている。
 つまり歌舞伎は、そもそも大衆のためのエンターテインメントだから、今になって「敷居が高そう」などと尻込みするのはもったいない話なのである。30年前に始まった歌舞伎イヤホンガイドの試験放送時から、解説者を務める高木美智子さんは「歌舞伎は気持ちで見るもの。学問に無縁の江戸の大衆が楽しんだものなのですから、予習も理屈もいりません。無理に勉強しなきゃ、と思うから遠のいてしまう」と語る。
 「役者が何をしゃべっているか分からない」という初心者に高木さんが勧めるのは、劇場で借りられるイヤホンガイドだ。舞台の進行に合わせ、役者名やセリフの意味、衣装や音楽などの「実況解説」を聴くことができる。また、「筋書」と呼ばれるパンフレットを買えば、あらすじもバッチリ分かる。
 「歌舞伎は高い」という誤解もあるが、高木さんは「3階席なら2000~4000円程度。普通のお芝居と比べれば安いくらいです。お安い席でも、持参したオペラグラスと劇場で借りたイヤホンガイドの二つがあれば十分楽しめます」という。

◇ステップ2・数回見たら

 高木さんが初めての人に勧める歌舞伎の見方は「堅苦しく考えて下調べするのではなく、まずはまっさらな気持ちで舞台を見て楽しむこと」だ。「おもしろいな、と思って、もっと知りたい気持ちがわいてきてから勉強すればいいんですから」と助言してくれる。
 何度か歌舞伎を見ているうちに、独特の表現方法や舞台の仕組みなどにも興味がわいてくるだろう。例えば、「見得(みえ)」は役者が感情の頂点に達した時、一時静止してポーズを取る演技のこと。無言こそが最大の叫び、というからおもしろい。
 顔に引かれた赤や青の化粧は「隈取(くまどり)」。どの演目でも使われているわけではないが、隈取で役どころがだいたい分かる。例えば、白塗りに紅の隈取は正義の味方。藍(あい)色は怨霊(おんりょう)や敵役。茶色は鬼や妖怪など人間以外の不気味な役に使われることが多い。顔を赤く塗った「赤っ面」は敵役だ。
 舞台装置も独特だ。花道や回り舞台、エレベーターのように舞台の一部が昇降する「セリ」がある。歌舞伎のお決まりの幕は「定式(じょうしき)幕」と呼び、黒、柿、萌葱(もえぎ)色の3色を使う。
 演目の分類は、切り口によってさまざまだ。高木さんによると「大きく分けると四つに分類できます」という。平安や鎌倉など江戸時代以前を時代背景にし、武家や公家の世界を描いたのが「時代物」。現在の映画やテレビでいえば時代劇である。一方、江戸時代の町人の世界を描いた現代劇が「世話物」。中でも特に、江戸時代の庶民の暮らしを生き生きと演じたものを「生世話(きぜわ)物」と呼ぶ。今でいうトレンディードラマである。
 ほかに「所作事(しょさごと)」と呼ばれる舞踊や、明治以降に文学者らによって書かれた「新歌舞伎」がある。「新歌舞伎」以前の江戸時代は狂言作者によって書かれていた。
 江戸時代には、武士社会の事件を脚色上演することは禁じられていたので、江戸時代の出来事なのにあえて「時代物」にした作品もあった。例えば、赤穂浪士の討ち入り。幕府からの弾圧を避けるため、時代を室町時代に、舞台を鎌倉に設定して脚色したのが、有名な「仮名手本忠臣蔵」である。

◇ステップ3・「通」への道

 贔屓(ひいき)の役者ができると、歌舞伎はぐんと楽しくなる。江戸時代には役者だけでなく贔屓も世襲だった。江戸時代、役者は自分の衣装を自前で負担した。金銭的に援助をしたのが、贔屓客たちだ。
 初心者には難攻不落に見えるのが「掛け声」だろう。芝居の絶妙なタイミングで「成田屋!」「音羽屋!」などと叫ぶ、あれである。高木さんは「素人の方はやらないほうが無難。タイミングを外すと役者さんも困ります。まずは通の方の掛け声を聞いて楽しんでください」と語る。
 「通」への道は少々遠そうだが、最初の一歩はやはり、歌舞伎を実際に見に行くことなのだ。
 高木さんは言う。「歌舞伎は、堅苦しく考えてお蔵にしまい込んでおくようなものではないんです。もっと気楽に見て、楽しんでください。かならずおもしろさが見つかるし、日本人に生まれてよかったと思えるはずですよ」
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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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