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記事174◆リストカット連載「あした、会えたら」7

■掲載年月日 2004年11月24日
■あした、会えたら:リストカットの子どもたち/7

□相談増加、悩む養護教諭
□素顔取り戻す「儀礼」なの?

 清美先生(49)は関東地方の私立高校の養護教諭だ。3年ぐらい前からリストカットして保健室に来る女子生徒が増えた。1年前からは常時10人以上いて、誰かしら毎日やってくる。

 「先生、切っちゃったよー」。保健室にひょいと顔を出したのは3年のユキ(18)。左腕に包帯が見える。包帯をほどくと浅い切り傷が現れた。包帯はいらないなと思いつつも、丁寧に包帯を巻き直してやる。切った理由はあえて尋ねない。自分から話すまで待つと決めている。
 何度目かに彼女たちはリストカットを打ち明ける。「本当は自分で切った」。それから友人関係の悩みや親への不満、自分の将来への不安を語り始める。「切るとほっとするの」とも。

 切ることに抵抗のない子は増えている。「友人関係や勉強でストレスを感じるとすぐに切ってしまう。中には親から虐待されている深刻なケースもあるけれど、多くの子は『私だって傷ついているの』と誰かに気付いてほしくて切っている」。「消えたい」といいながら、生きる理由を探しているように見える。

 今、全国の保健室ではリストカットが大きな問題となっている。10人近い養護教諭やスクールカウンセラーを取材したが、全員が自傷の事例を抱えていた。中には毎日、生徒から自傷跡を見せられるうち、養護教諭のほうが精神的に追いつめられてしまうケースや、自傷する生徒の友人たちが「気持ちを分かってあげられなかった私のせいだ」と苦しみ、自分たちも自傷し始めるなど、学校管理の側面からもリストカットは見逃せない問題となってきているという。

 「リストカットしてない時は何をしてる?」。清美先生は9月中旬、高校1年のリサ(15)に尋ねた。自傷する子の多くは思い込みが強く、楽しく過ごした時間もあるはずなのに、なぜかそれが見えていない。
 「携帯電話で写真撮りまくってるよ」。リサの携帯電話には、一枚一枚表情の違う美しい空の画像が何枚もあった。「まあすてき! これから空の写真を撮る時、気持ちのままにタイトルをつけなよ。まとまれば写真集になるよ」

 10月になってリサはあまり保健室に来なくなった。表情も明るくなった。「写真のタイトルの形を借りて、少しは自分の思いを言葉にできたのかな」と清美先生はいう。

 人間関係に傷つきやすく、学校の中にも外にも居場所がない少女たち。親の前では「いい子」。友だちの前では「明るい子」。演じすぎて素顔を見失っているように見える。「素顔を取り戻すために切っているみたい。今のリストカットは女の子が大人になるための『通過儀礼』なのかも」
 ささいなきっかけで学校もリスカも卒業していく子が多い。

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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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