新聞記者でした。「行って、見て、書く」ことを大切に、現場を歩いたり、人と出会うことで、心の中の「?」が、ちょっと背伸びして「!」に変わっていく瞬間を、できるだけ毎日、書いてみたいです。(小国綾子)

山門不幸、のなぞ

家の近所の東京・谷中にはたくさんの寺院があって、この街に引っ越してきた時から、いつも我が家の格好の散歩道となっている。
谷中の寺をつたい歩くたび、もう何年間もずっとずっとナゾだったのが、寺院の門に立つ「山門不幸」の文字。
黒々と墨で書かれたこの文字、どういう意味なんだろう、と不思議だった。
毎回同じ寺院に立っているわけではなく、今日はここ、昨日はあちら、という感じ。でも必ずこの看板を1回は目にするような気がして、目にするたび、「家に帰ったらネットで調べてみよう」と思うのだけど、なぜかしら必ず自宅に帰ると忘れてしまって……そんなことをもう5年も繰り返してきた。

今夜はなぜか突然、それを思い出し、ネットで検索してみた。
なんと。
そのお寺のご住職が逝去された時に立てる札なんだと。
いわゆる「喪中」というわけ。

歩くたびに目にしていた気がするけど、その数の人が死んでいたのだと思うと、ちょっと複雑な気がした。
実は、毎回違うお寺に札が立つものだから、「山門不幸」という何かしら当番のようなものを地域のお寺が回り持ちで順番に担当しているんだと予想していたものだから。
プロフィール

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。
   仕事を辞めて渡米。
   メリーランド州在住。
   現在、週刊ポストに
   「ニッポンあ・ちゃ・ちゃ」
   を連載中。
趣味■読書、ピアノ、旅、昆虫飼育
目標■ちょっと背伸びして、
    疑問符を感嘆符に変えること
苦手■勧善懲悪
著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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