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★アイアンマン (著=クリス・クラッチャー)

★アイアンマン トライアスロンにかけた17歳の青春(著=クリス・クラッチャー)

先日、この著者さんの「ホエール・トーク」を読んで、あまりの作品のすごさに完全にノックアウトされたもので、今回は、もう1作、翻訳されている本を見つけたので読んでみることにしました。

「ホエール・トーク」は「一見、スポーツ青春小説に見えて、実は人種問題から児童虐待までさまざまな過酷な社会問題にがんじがらめにされながらも、そこでもがき、自分を獲得していく少年たちのお話」でありました。
今回のは……「一見、これまたスポーツ青春小説に見えて、実は、DV問題や怒りのコントロールなどの問題の中で、それでも仲間を得て、その仲間の人生の重さに触れることで、成長していく青年の話」とでも申しましょうか。

主人公は17歳。トライアスロンレースに出場するため、日々過酷なトレーニングを続けている。しかし、ある教師の侮辱に怒りを抑えられないまま反抗し、停学寸前に。罰として短気矯正クラスに入れられてしまう。荒っぽい問題児が集まる特別学級で、彼は仲間たちの人生に触れ、なぜ自分が怒りをコントロールできないのかに一つひとつ気付いていく……そんな話です。

この少年、 「学校や家族との関係がこじれてくればくるほど、肉体的な苦痛がほしくなる。体の痛みなら、自分でしっかり把握してコントロールすることができる」 といいながら、むちゃくちゃ厳しいトレーニングをひたすらこなしているんですが。
私はむしろ、自傷行為を連想しちゃいました。

あと、この「短気矯正クラス」を率いる先生が、ほかの先生に向かって言う台詞がいい。

たいていの生徒は、自分に欠けてるものを口にするのが苦手なんだ。なぜなら、それがなんなのか本人にもわからないからだ。それを教師が先にみつけて、できるだけ早く手を打たなきゃならない

本人が気付く手助けをする、という意味での「手を打つ」なんですよね。

主人公が自分の怒りの正体と向き合い、自分の言葉で分析できるようになるシーンも心に残った。

ずいぶん長くかかったけど、怒りは恐怖の隠れみのにすぎないっていう先生の言葉の意味がようやくわかってきたような気がする。根底に恐怖があることさえ認めれば、怒りをおさえることなんて簡単だし、おさえる必要もないくらいだ。どうやら恐怖は、レイモンド(主人公を侮辱した教師)や親父にプレッシャーをかけられて、自分の弱さを自覚したときにわいてくるらしい。それさえいさぎよく認めれば、もう恐怖を隠す必要はない

重い重い内容でいて、読後感は爽快、という小説です。
「ホエール・トーク」のほうが、ずっと好きだけど、読後感がからりと明るいのはこちらだと思います。


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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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