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★メタボラ (著・桐野夏生)

★メタボラ (著・桐野夏生)

気付いたら「僕」は森の中を必死で逃げていて、記憶は完全に失われていて、自分が誰か、なぜそこにいるのかも分からない。身分を証明するものは一つもなく、お金も一銭もない。そういうシチュエーションから一人の青年が自分の暮らしを作り、人と出会い、徐々によみがえる記憶と向かい合いながら生きていく、そんな物語。

一気に読ませます。
いつもの桐野さんほど破滅型小説じゃないわー、と思いつつ読んでいたけど、やっぱり読後、振り返ってみれば、破滅系、かも。
舞台が沖縄で、安宿のオヤジと、そこに溜まるバックパッカーやら自分探し系の若者たちの会話が、何というか、元バックパッカーだった私には身につまされるようではありました。

例えば、安宿のオヤジ(漂流系若者の間ではある意味カリスマ)のセリフがこれ。

「(オレは)那覇に来る前は、世界中放浪してたんだ。十年近く定職も住所もなかった。どの国行っても、住民登録もしなければ、税金も払わない。つらいことより楽しいことのほうが多かった。でもわかったんだよ、俺。最終的には、そういうヤツらを住民は信用しないってことさ。だから、こっちも流れ続ける。そのうちに、ああ、これは旅じゃないと気付くんだ。旅というのは、帰る場所があるヤツらがやることのことだろう。でも、俺はいつの間にか、帰る場所もなくなって、本当の放浪者になっていた。そしたらどうなると思う?」
「誰にも腹が立たなくなるんだ。どうせいつかは別れる人間だからどうでもいい、と思うと腹が立たない。ばかりか、自分にも腹が立たなくなる。だって、どうでもいいんだもの、そうだろ」

なんか、おいおい、10年もそんな状態で「どうでもいい」とこまで行くなよ、と思いつつ、読み進めると、このオヤジが言うのだ。
「でも、去年あたりから、それじゃいかんと思い始めた」

はい。ここで問題。
このオヤジが「それじゃいかんと思い始めた」理由は何でしょう?

答は……。

「好きな女が出来たから」
「相手は保母をやってる地味な女さ。俺もそれで地に足付けざるを得ないんだよ」

ああ。
こんなオヤジが目の前にいたら、ものすごーーーーくうんざりするだろうなあ、と思いつつ (いえ、話の筋にはそう関係ない話なんですが)、読み進めたのでした。
でも小説としては、主人公と一緒にどんどん巻き込まれていく感じの暴走感が、たまりませんでした。

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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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