スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

記事160◆記者の目「続・リストカットするあなたへ」

■2004年09月17日
■記者の目
■「リストカット」への反響
■みんな、一人じゃないよ--多くが悩み、生きている


 「リストカットするあなたへ」(1日付本欄)に数多くのお便りをありがとう。リストカットをやめられない高校3年のあなたはこんなメールをくれました。

 <母にリスカのことがバレました。隠すより認めてほしかったから、あえて(傷を隠しているリストバンドを)外しました>

 私はメールの続きを祈るような気持ちで読みました。あなたの勇気がお母さんの心に届きますように、と。でも結末はとてもつらいものでした。

 <母からの第一声は「アンタ、病気?」でした。しばらく口をきいてもらえませんでした(笑)。つらくはないけど、悲しくもないけど、その日は史上最強にザクザクといきました。刺して抜いて切って、何も考えずスパスパダラダラと>

 一番私の胸を突いたのは、あなたのこんな言葉です。<記事を読んで涙が出ました。本当にお母さんに言ってほしかった言葉がいっぱいいっぱいいっぱいあったから……>。誰よりお母さんに分かってほしかったんだね。<うまく言えないけどもうしばらく生きてみようと思います>と最後に書いてくれてありがとう。

 中学3年のあなたはこんなメールをくれました。

 <虐待とか受けたことはないし、いじめられているわけでもない。学校では「明るくておもしろい子」で通っているし、友だちや彼氏とうまくいってないわけでもありません。だから「なんで私はたいしたこともないのに切っちゃうんだろう」と悩んでいました>

 友だちと「リスカなんて悲劇のヒロイン気取りなんだ」という話題になった時、周囲に合わせて笑ってしまった、と書いてありました。この時とても寂しかったでしょう?
 でも、もしかしたら、その時一緒に笑っていた友だちの中にも、あなたと同じ生きづらさを抱える仲間がいるのかもしれない。笑いで包み隠した壁を一人一人が乗り越えていければいいね。どうか人を求めることを、自分に正直になることを、あきらめないで。

 通院中の精神科の医師から「記者の目」の記事を見せられた、という二十歳のあなた。医師には「自傷していない」とうそをついてきたのに、記事を見せられたのをきっかけに真実を話すことを決意した、と書いてくれました。

 <(リスカを)知られたら友だちが離れていくと感じ、バレないように上腕や肩にやってます。(中略)みんなを笑わせなきゃ。笑顔を絶やしてはダメという思いでいっぱい。気持ちと身体が一つにならなくて、一つにならなくても良いからせめて近くにいてほしいと願いながら、私の気持ちと身体はとても離れた場所にあります>

 「自分がバラバラになりそうな時に切る」という言葉はこれまでの取材でもよく聞かされました。私自身そうだった気がします。あなたは最後にこう書いてくれた。<今まで誰も私を見つけてくれなかった。誰かに見つけてもらおうとしていた自分にサヨナラ。これからは私が私を見つけてやろうと思います>。勇気に満ちた言葉をありがとう。

 記事に寄せられた反響の多くは、今も自傷する人からだったけど、そうでない人からも予想以上に反響があったことを、何よりみんなに伝えたいと思います。

 うつ病で休職中という女性は、リストカットはしなかったけど、はさみや包丁を目にすると、自傷しそうで怖かった時期があったそうです。<記事は「まだリストカットをしていないあなたへ」という胸に染みるメッセージでもありました>と書いてくれました。

 自傷していなくてもギリギリのところで悩み、生きている人たちが、今自傷しているあなたの周囲にたくさんいることをどうか忘れないでください。あなたのそばにいて、あなたの自傷に驚き、悲しみ、案じ、何もできない自分を責め、一人悩んでいる人たちだっていることを、どうか忘れないでください。

 あきらめず、狭く閉じてしまわず、勇気を出して、少しずつ心の叫びを言葉にできればいいね。いつか切る以外の方法で、あなたの行き場のない思いを表現できればいいね。


 それが難しいことは知っている。私自身も高校時代、親友の誰一人にも自傷のことを打ち明けられなかった。今も母が生きていたら、母を傷つけそうで、この記事を書けたかどうか自信がない。

 でも今回、数多くの反響をいただいて、私はもう一度自傷に悩むみんなにこの反響を届けたいと思った。「あなた」ではなく「みんな」に。本当に一人じゃなかったんだよ、って。

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
RSSリンクの表示
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。