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記事154◆我ら、ワンワンパトロール、の記事

■2004年07月28日
■広がる「わんわんパトロール」--東京・世田谷発
■コミュニティーも復活 犬の散歩を兼ねた手軽さ

 「犬のおまわりさん」ならぬ「わんわんパトロール」が全国に広がっている。犬の散歩を兼ねて自分たちの街をパトロールしよう、という試みだ。昨年3月に東京・世田谷で発足して以来、北は北海道から南は沖縄に及ぶ、略して「わんパト」。その実態は?

◆バンダナまいて

 まずは発祥の地、世田谷区北(きた)烏山(からすやま)地区に出かけた。昨年3月、全国に先駆けて「烏山わんわんパトロールパーティー」が発足した。
 会員は現在約70世帯で、犬は約90匹。メンバーは「わんパト」の目印であるオレンジ色のバンダナを犬の首に巻き、毎日の散歩がてら、不審者や違法駐車がないか見回る。

 普段はメンバーが別々に散歩しているが、取材に合わせて犬9匹と飼い主7人が集まってくれた。犬種はチワワからゴールデンレトリバーまで、つまり小型犬から大型犬までさまざま。飼い主は女性ばかり30代から60代までいる。リードを外して犬を運動させる「ドッグラン」で毎月集まるだけに、仲がいい。

 初めに裏通りを一緒に歩く。犬たちは大騒ぎだ。互いにじゃれあったり、においをかぎあったり、お散歩の幸せをおう歌している。飼い主たちも世間話に花を咲かせたり、犬に話しかけたり。どこからみても、普通のお散歩風景である。

 「パトロール」というから、大型犬が鋭いまなざしで路地裏を歩き、不審者を見つければ激しくほえたてる……そんな「犬のおまわりさん」を想像していた。だから思わず自分の誤解に笑ってしまった。警察犬じゃあるまいし。パトロールするのは犬ではない。あくまで飼い主なのである。
 「犬の散歩って毎日同じ道を通るでしょ。これまで何気なく歩いていた道も、意識して歩くと見慣れない車や人がすぐ目につくんです」と同会代表の戸田(とだ)さん(31)。緊急時は110番することになっているが、案外気が引けるものだ。そんな時、頼りになるのが街の駐在さん。「この前も不審車が違法駐車していたんですが、とりあえず3日間様子を見てから駐在さんに報告しました」

 実はこの駐在さんこそが、「わんパト」発足を呼びかけた張本人なのである。

◆生みの親は駐在さん

 警視庁成城署北烏山駐在所、程原(ほどはら)巡査長(37)。5年前、妻と愛犬のジャルと一緒に赴任した。犬が取り持つ縁で近所にネットワークができ、空き巣被害や不審者の情報を伝えて「パトロールよろしくね」などと声を掛けているうち、飼い主からも散歩中の不審情報が寄せられるようになった。そこで昨年3月、正式に「わんわんパトロール」を発足した。

 では、効果のほどは? 「街の違法駐車がまず減りました。みんなが街の防犯を気に掛けてくれて、気軽に駐在に情報提供してくれるのもありがたい」と程原さん。成城署によると、北烏山に続いて管内に「わんパト」が次々に発足した昨年、空き巣や事務所荒らしなどの侵入盗の発生件数は年間428件で、前年より約3割減った。今年上半期も車上狙いが80件、ひったくりが22件、空き巣が14件それぞれ前年同期より減るなど、減少傾向にあるという。

 北烏山の「わんパト」発足が報道されると、全国的に活動の輪が広がった。警察庁も全国防犯協会連合会もその数を把握していないが、相当な数に上るとみられる。愛犬組織が名乗りを上げたり、町内会が組織したり、きっかけもさまざま。警察主導のケースや、自治体から助成金を受ける組織もある。通り魔や連れ去り事件などが続発し、治安悪化への心配が高まる中、毎日の犬の散歩の範囲内でできる活動の手軽さが好まれたのだろう。

◆小学校デビューも

 もっとも、「わんパト」に抵抗感を抱く人たちもいる。犬が嫌いだったり、怖い人である。アニマル・セラピーに詳しく、日本人の動物観を研究している横山(よこやま)章光(あきみつ)・防衛医大精神科医師は「せっかくのよい活動ですから、地域に根付かせるためにも、犬を飼わない人や犬が怖い人の存在を気に掛け、飼い主のマナー向上に努めることが大事」とアドバイスする。

 例えば戸田さんたちは、道で見つけたどこかの犬のフンも拾って歩く。予防接種の必要性をみんなで勉強したこともある。少しでも地域に受け入れてもらいたいからだ。

 6月には「わんパト」の約10匹の犬が、近所の区立給田(きゅうでん)小学校の朝礼に参加し、学校の先生から「オレンジ色のバンダナは『わんパト』の目印。困ったことがあったら飼い主さんに声を掛けよう」と紹介してもらった。それ以来、散歩のたびに「あっ、わんパトだっ!」と子供たちに囲まれる。保護者も「ご苦労さま」「ありがとう」と、ねぎらいの言葉を掛けてくれるようになった。

◆思わぬ副産物

 戸田さんは言う。「最近は散歩の途中、犬連れではない人との会話も増えました。私は子供がいないから、それまで近所付き合いもまったくなかったんですが、『わんパト』を通じて子供から年配の方まで地域にたくさんの友達ができた。それが一番うれしい」。別のメンバー(61)も「この会を通じて若い人とも知り合えた。昔の『向こう三軒両隣』をやらせてもらってる気がしますねえ」。

 どうやら、防犯目的から始まった「わんパト」が、街に思わぬ副産物をもたらしたようだ。コミュニティーの復活である。「実はこれが一番、防犯に効果があるのかも」と程原さん。
 「向こう三軒両隣」。そんな言葉にふと思った。昔の人は犬がいなくても同じことをやってきたのではないか。あいさつを交わし、近所付き合いを重ね、よその子供にも目を配りながら、自分の街を見て回る。誰もが当たり前のようにそうしてきたのではなかったか。
 「そうですね。昔は『わんパト』などいらなかったんでしょう。犬がいないと、こんな地域の付き合いが築けない時代って少し寂しいですね」。駐在勤務にずっとあこがれてきたという程原さんの言葉が、妙に心に残ったのだった。

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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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