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★教室の悪魔 (著・山脇由貴子)

★教室の悪魔 (著・山脇由貴子)

まるでサスペンスのごときタイトルですが、これ、東京都の児童相談センター心理司が書いた本で、副題は「見えない『いじめ』を解決するために」。

前書きで書いているのはこんな文章。
かつては『いじめられっ子』『いじめっ子』『傍観者』という三者の構図だったが、いまは『ひとり』対『クラス全員』というのが典型的ないじめのパターンとなった。だからこそ、ひとたび学校でいじめが始まれば、子どもは『いじめられる側』か『いじめる側』か、どちらかに入ってしまう。いじめのあるクラスでは傍観者であることすら難しく、心に傷を負わないでいられる子どもはいない

いろいろな実例を挙げて、いじめとのその解決策について、心理職らしい(良い意味でも悪い意味でも)助言が並んでいます。
いくつか、書き残しておきたいことを列挙すると……。

・(いじめで)外傷を受けた子どもは、口を閉ざそうと決めている間は、何を聞いても話さないが、話してよい、話そうと思った瞬間から、ダムが決壊したかのように話し始める。(略)そして話し尽くすと再び口を閉ざす。忘れようという時期に入るのだ。だから、言葉があふれ出る時期に、徹底的に聞いておく必要がある。

・(子どもがいじめを受けているかも、と感じたら、親が)最初にやるべきことは、学校を休ませることである。(略)その際に、いじめの有無について、子どもに問いただしてはならない。被害者である子どもは必死で隠そうとしている。(略)親としては、いじめの事実を伝え、学校、担任が子どもの安全を守るべきだと思うかもしれないが、それは不可能であると言ってよい。

学校を休ませるだけでは、子どもの安全は完全ではない。加害者たちは、被害者が学校を休むようになれば、当然に自分たちのいじめが発覚したのだと思う。だから、被害者と接触しようとする。(略)だから、子どもが外出する際には、必ず同行しなければならない。友だち、クラスメイトとの接触も控えさせた方がよい。クラスメイト全員が加害者なのだということを、親は忘れてはならない。

特に、最後の1つにはぎょっとした。そ、そこまでしなきゃあいけないのか、と。

さらに著者の提案する、「いじめをなくす」までのステップは次の通り。

*子どもを休ませた上で、学校との話し合い。この時は担任だけでなく校長や副校長に同席してもらうこと。

*学校との話し合いは、「相談」ではなく、事実を伝える場にすること。学校が「調査したい。事実を把握したい」と申し出ても、親は「事実を調査してもらう必要はない。いじめがあったという事実を伝えに来た」という立場を取るべし。いじめの有無で議論になれば、泥沼化しかねない。むしろ学校と敵対関係になって、解決から遠のくだけ。

*我が子がいじめにあったら、学校に責任をとらせたくなるのは当然。しかし、責任追及をすれば、解決に向けての建設的な話し合いにはならなくなる。学校に謝罪させるだけでは意味がない。

*加害者の親とは直接話し合わないで、学校という場で校長、担任ら複数の教師を同席させる。ここでも加害者の親を責任追及してはいけない。まずは加害者の親に「いじめがあった」という事実を伝え、解決のために一緒に取り組んでもらいたいこと、今後も繰り返さないように親として責任を持ってほしいことを伝える。被害に対する責任追及のほうは弁護士などに間に入ってもらって別途進めるべき。

*加害者に事実をつたえたら、間髪入れず、クラス全員にも伝えねばならない。臨時保護者会を開き、学校としていじめがあったと判断していること、被害者以外は程度の差はあれ全員が何らかの形で関与していることも伝える。誰が何をしたかを聞いてはいけない。みな保身に走るから。むしろ「全体で行われたこと」という問題意識を共有する。そのためにも学校は「誰でも被害者になりうる。自分の子を守るためにも解決に力を貸してほしい」と言わねばならない。

*保護者会の内容を、各親は自分の子に伝えねばならない。しかし、「あなたはやったの?」などと子どもに確認してはならない。間違っても「あなたはやってないよね」などとは言わない。誰もが加害者にも被害者にもなりうる、ということから保護者はスタートすべきである。

*学校全体への周知も即座に行い、保護者と学校が一丸となってこの問題に取り組もうとしていることを子どもたちに伝えねばならない。

……だそうで。
こうなると、親に求められるのは、学校や加害者の親と向きあう時にも感情的にならず、相手を攻めず、先生の指導力のなさが背景にあると思ったとしても、あえてそれには触れず、つねに協調路線で「解決に向けての前向きな方策を一緒に探しましょう!」というような顔をするってこと?

きついなあ。それ、すごくきついと思う。
(それに、なんかものすごく日本社会っぽい解決手法って気もする)。
でも、少なくとも、相談センターの心理職に持ち込まれるようなケースの場合、これが一つの解決のためのステップということなのか……。

ちょっと考え込んでしまったのだった。

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教室の悪魔について

深刻な「いじめ」の問題山脇由貴子さんの著書「教室の悪魔」が大反響のようです。非常に深刻ないじめの問題を取り上げた著書で、子供達が危ないと問題定義しています。一度ご覧になって頂ければと思います。山形でシンポジウム開催また『教室の悪魔』といういじめの実態につ

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こんにちは。「いじめをやめさせる!──現役教師が本音で語る現実的対処法」ってのも読んでくださーい。

まずいじめの記録をつけなさい、ということを強調しています(場合によってはICレコーダーも使って)。また、学校側がなぜいじめを認めたがらないか、システム的な問題もすべてぶっちゃけて書いてあります~。

いずれにせよ、いじめに直面したら、冷静になって、戦略的に動かないとだめみたいですね。

日本のいじめの話を聞くたびに、「帰国が怖い~!!」って思います。なんで、こんなふうになっちゃったんだろうねぇ?

りえりんさん。

はいはい、図書館で(すみません)借りてきましたよー。これより前に読まねばならない本が山積みなので1週間後くらいに着手し、後日、ここにも読後感想をアップします。
冷静かつ戦略的に。ほんとにそう。
だけど難しいよね。こと子どものこととなると。

ささこさん。

うちもまだ子どもが低学年なので、そこまで陰湿ないじめって当事者として見聞したことがないのだけれど、「数年後に、こういうことが陰湿ないじめのきっかけになるのかなあ」と思うような、軽い「おふざけ」の芽はいっぱい散見しますもんね。
プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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