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我が家に人生ゲームがやってきた

息子の誕生日に、なにか超アナログなゲームを買ってやろうと思ったのは、それぞれにDSliteを抱え込みながら、「一緒に」遊んでいるという息子とその友だちの姿を見たから。

私の子どもの頃って、ゲームといえば、ルーレット回したり、サイコロ転がしたりするゲームだったよなあ……と思い出し、行った先のオモチャ売り場で見つけたのが人生ゲームだった。
厳密にいうと、私が子ども時代、家には人生ゲームはなかった。
それで、私も実は、ちょっとやってみたかったのよね。

先日の誕生日、息子に人生ゲームをプレゼントしてみた。
実は、彼が通っている学童保育にもある定番ゲームだし、「なーんだ、これ、学童でやったけどつまんなかったよ」と言われちゃうかな、と覚悟をしつつ。
ところが!
やっぱり、息子の性格は昔のまんま。
プライド高すぎて、負けるのが嫌で、友だちが遊んでるのを横目に、自分は一度もやってみたことがなかったんだって、人生ゲーム。

息子は何より、部品についている色とりどりの米ドル札の束に目をキラキラさせている。
誰に似たのか (間違いなく夫だと思う)、息子は金勘定が大好きなのである。貯金は趣味で、通帳の預金残高を眺めるだけで幸せそうだし、先日も預金通帳を観察していて、税金を2円引かれていることに気付き、「2円ちゃん。2円ちゃん」と今も税金の存在を恨んでいるような始末。

すっかり人生ゲームの魅力に取り付かれてしまったようで、毎日何度も一緒にやらされている。
高額紙幣をあえて細かい額の紙幣に両替し、札束の厚さをふくらましてはウットリし、何十万ドルももうけて勝てば狂喜乱舞し、負けた時の悔しがり方もトランプやウノの比ではない。
彼にとっては、ホンモノのお金を賭けてる気分なんだろう。
ゲーム中は真剣そのもの。
「婚約指輪を買うため2万5000ドル支払う」というゲーム盤の指示に「どうして婚約指輪なんているんだよっ!」と怒り散らしたり、「火災保険に入る! 株券買う!」と騒いだり……。

しかし、さすがに昨日は驚いた。
職業を決める段階で、月給の高い医者や政治家を狙っているうちにフリーターになってしまい、給料は安いし、普段は必ずはいる火災保険や生命保険にも入れず、泣きそうになっているところで、彼が進んだ先が、

アリゾナの家が火事で焼ける。火災保険に入っていなければ全財産を失う。

その瞬間。
彼の両眼からボロボロと大粒の涙がこぼれ落ちた。
無言ですくっと立つと、布団にもぐりこんで、肩を震わせ、泣いている。
ゲーム展開が気に入らないとふくれたり、時には悔し泣きすることもあったが、この日の泣き方はそれとは違う。
耳を澄ますと、こうつぶやきながら泣いているのだ。
「お金が……お金が全部なくなっちゃった……」

もう、母ちゃんは噴き出して、腹を抱えて大笑いしそうになっちゃったよ。9歳の息子は、本気で全財産を失ったショックに打ち震えていたんである。
おいおい、まじかよ。

「あのさ~、よかったじゃん。最初からお金がなくって。全財産を失うっていったって、3000ドルじゃん。いつも1万ドルとか5万ドルとか支払うこともあるんだから、それに比べたら、まだまだゲームの最初だし、大丈夫だよー。貧者のほうが強い、という良い例だよなあ」
私は、軽くなぐさめようと試みるが、息子は打ちのめされたまま。

これまでに見たこともないような息子の落ち込み方に、少々動揺した私は、
「大丈夫だよー。本当に全財産なくなっちゃったわけじゃないんだから。ね、あんたの銀行のお金は無事なんだから。これはゲームなんだから」

それでも息子はまだ立ち直らない。

少々甘いかな、と思いつつ、
「わかった。じゃあ、今のは、なしにして、最初からやり直そう」とこっちから切り出した。普通なら、これで完全復活するはずである。

ところが。
息子はそれも拒否した。
「もういい。今日はもう、ゲームは、やらない。宿題する……」

呆然とした表情で、肩を落としたまま、机に向かう息子。
自分から宿題を選ぶほど、君は落ち込んでいるのか。
「全財産を失う」というゲーム盤の文字が、そこまで悲しいのか。
しばらくして、息子に笑顔は戻ったけれど、その夜、息子は一切、人生ゲームに触れようとしなかった。

まさに、ああ、人生、ですなあ。



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人生ゲームとかのボードゲームを家族でやるのって大好き!苦節数年、やっと4年の息子がかけをするかどうかや、清算時に自分のお金を数えられるようになって、すごく楽になった感じがしました。

そういえば、負けても泣かなくなったのはいつからだろう。うれしいけどちょっと寂しい。

すごい!
そこまでこだわれるところがすごい!

絶対に実生活で全財産失う事なんてなさそうで頼もしいじゃないですか。


我が家で流行のボードゲームはブロックスです。
http://www.irem.co.jp/official/blokusclub/index.html
これね。確か今は三角タイプ(3人でやる?)のもあるハズ。

学童保育にあって、どうしてもやってみたかった私が家族全員へのクリスマスプレゼント(fromサンタクロース)として購入したのだけど面白い。

やたらと意表をつくおき方をしては、自滅しつつも人の進路をことごとくつぶしてくれるヤツだと思っていた娘@小3が、先日やったら自滅せずに非常に強くなっていて家族で唖然。。パズル好きな彼女は図形に強いタイプらしい。(いや、私も図形には割と自身があったのだけど、私は自分の手ばかり見てしまうので、他の人につぶされてしまう)

家族でできてお勧めです。

エミュさん。

>そういえば、負けても泣かなくなったのはいつからだろう。
>うれしいけどちょっと寂しい。

うーん、深いですねー。
確かに、うちの息子が勝負に負けても平然としているなんて、想像するだけで、不思議な感じ。寂しい、と思うのかもなあ、私も。

A子さん

ブロックス、ですか。
そういえば、うちも学童にあったかも。今度やってみようっと。
我が家では、夫がほとんど夜は家にいないので、私と息子と2人きりであることが多いのです。
ボードゲームの類は、2人じゃあ、あまりおもしろくないんですよねー。

ブロックスは2人でも楽しいかも。
ご紹介、ありがとう!
プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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