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★深追い (著・横山秀夫)

★深追い (著・横山秀夫)

ピアノの練習をぶっ続けでやると、もう、手がダメになりそうなので、合間に軽く読めるお楽しみ本を選んでみました。
地方都市の県警本部からさらに離れた場所にある一警察署を舞台にした短編集です。主人公は、作品ごとに交通畑だったり、刑事畑だったり、はたまた会計課の一般職員だったりします。

あらためてしみじみと思ったことは、やっぱり横山さんって組織人、それも建前と本音とがある時は見事に重なるのに、別の場面ではまったく乖離してしまがちな、そういう新聞社だとか警察の組織の一員を描くのが、むちゃくちゃうまいなあ、ということ。

もう一つは、「横山さんの作品はやっぱりどこかで人間賛歌だなあ」という安心感。読後感がどれも、とても良いのです。
人間の弱いところ、ずるいところ、醜いところをどんなに書いていても、最後に救いがある。弱さや醜さまでが、こっけいでいとおしくなるような描き方をする。

でもやっぱりさ。
こういう、上手な人はもう、短編より長編をバシバシ書いて読者を楽しませてほしいもんだ、と身勝手なことも思ってしまった。
そもそも、ピアノ練習の合間だから、軽く楽しめる短編集を、と選んだのは自分なのにね。

この短編集、パターンがどれもよく似ています。
主人公の心に、疑惑が生まれる。見逃されそうになっている、あるいは長い間見逃されてきた事実が、多くの場合、誰かの何気ない一言などがきっかけで、一瞬にして鮮やかに主人公の知るところとなる。

例えば、こんな記述です。

そう思った主観、何かが弾け、明子の心のすいべてが見えた。
(「深追い」より)

違う。
夏子の台詞が脳を刺激したのだ。それが「あの日」の謎を解くキーワードだと感じたから……。
(中略)
重たい扉が、軋みながら開いた
。←注:比喩表現です
(「又聞き」より)

(パトカーのサイレンの音を聞きながら)
えっ……?
滝沢の思考は空回りした。
同じ……?
次の瞬間、突拍子もない考えが、滝沢の脳を支配した。

(「訳あり」より)

これらの記述はすべて、ラスト2~4ページに登場します。
で、章が替わり、読者は見事に溶けた謎を明かされる、というわけ。
この「突然謎が解ける」パターンですが、すごく説得力があった作品と、「おいおい、なんかできすぎてないか?」と思う作品と、両方あったことは事実です。

でも読者としては、とても楽しめましたけどね。

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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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