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記事128◆ハッチポッチステーションのコンサートを見に行く

子どもを生んだことで、仕事に生かせたことはいっぱいありますが。
一義的には子ども文化やら、子どもの好きなキャラクターやら、テレビ番組に詳しくなった、ということがあります。
例えば、ハッチポッチステーション、というNHK教育番組。
これ、夫と2人、「絶対に大人向け番組だよな」とはまったのでした。
趣味が高じて仕事になった、という記事です。


■掲載年月日 2003年06月27日
■子供向けTV番組「ハッチポッチステーション」
■人気の秘密は?
■グッチ裕三さん、今やママのアイドル?--育児や料理ネタ満点


 子供向けのテレビ番組なのに、なぜか大人まで楽しめてしまう。そんな番組が増えている。NHK教育テレビの「ハッチポッチステーション」はその代表格だろう。ギャグも、選曲も、およそ子供には理解不能。出演者のグッチ裕三さん(50)は今や、母親たちに大人気。この番組、本当に子供向けなのか、それとも実はママ向けなのか。

 ◇高いパパ参加率

 ステージにグッチ裕三さんが現れた。客席が拍手にわく。幸せそうに手をたたいているのは、やっぱりママたちだ。それを見て、必死でまねをするのが子供たち。パパたちは照れがあるのだろう、少々ノリが悪い。
 ここはNHK(東京都渋谷区)の公開収録用スタジオ。6月のある土曜日、数千人の応募者から選ばれた200人の家族連れが「ハッチポッチステーション」の公開収録に集まっていた。子供番組だから当然、全員が「子連れ」だ。しかし、頭数だけ見ると圧倒的に大人が多い。同じNHK教育テレビでも、幼児番組「お母さんといっしょ」の場合、やってくるのは母と子ばかり。言葉通り「お母さんだけといっしょ」の状態だ。平日ゆえか父親たちはめったにいない。

 一方、ハッチポッチの方はパパの参加率が90%近いのではないか。ほとんどが父親と母親と子供1人、あるいは子供2人の家族フルメンバー。頭数で大人が多くなるのも当たり前だ。少子化時代の象徴的な光景、と言ってしまえばそれまでだが、少々違和感が残る。父親の数が多すぎるのだ。子供向けの人形劇や音楽会でも、父親同伴がこんなに多いのを見たことがない。

 ◇懐かしの曲が童謡に

 ステージでは、耳に大きなニンニクの形のイヤリングをぶら下げた裕三さんが、食材の「エノキ」の説明から、いきなり「イノキ」へと振り、「猪木、ボンバイエ、猪木、ボンバイエ、1、2、3、ダーッ!」と叫んでいる。パパとママは大爆笑し、腕を振り上げ、一緒に叫んでいる。傍らには、親のまねをする子供たち。しかし、このギャグ、やはり子供には難しすぎないか。

 お次は歌のコーナー。83年に大ヒットした「カーマは気まぐれ」(カルチャークラブ)の曲に、童謡「うさぎとかめ」の歌詞を乗せて歌っている。サビは「カーメカメカメカメカメはのろい~」。さらに70年代の「ブラックマジック・ウーマン」(サンタナ)。歌詞は「オー・ウーマン!」ならぬ「おうま」。「ボヘミアン・ラプソディー」(クイーン)は途中からなぜか「犬のおまわりさん」に。
 パパやママが腹を抱えて笑っているのは分かるけど、子供まで大喜びでクイーンのパロディー曲を歌っているのは不思議だ。ハッチポッチで歌を覚えた幼児が幼稚園で正調の童謡を習って「知ってる歌と違う」と驚いたとか、「うちの子は『犬のおまわりさん』を歌うと途中で裏声でハレルヤ、ハレルヤと叫び始める」といううわさは聞いてはいたが、どうやら事実らしい。

 ギャグや選曲はどう見ても大人向けなのに。なぜだろう。もと歌を知らないはずの子供たちが、実に楽しそうなのだ。

 ◇まずママの心を

 「子供ってね、親の喜ぶ顔が一番好き。特にお母さんが笑うと、子供は必死で理解し、一緒に笑おうとする。お母さんが手拍子打って歌うと、子供も必死で歌う。それって子供の本能なんだよ」。後日、裕三さんが種明かししてくれた。
 「例えば、コンサートの初めに『子供たち、元気ですか?』『はーい』とやるでしょ。次に『お母さんも、若くてきれいですか?』と呼びかけると、母親たちはどっと笑う。すると横で見ている子供は、自分も笑いたくてしかたなくなるわけ。だから、その次に『もう一度。子供たちは元気ですか』と呼びかけると、子供の反応は断然良くなる。子供の心をつかむには、お母さんの心をつかむのが一番」

 なるほど、実は理詰めなのだ。「ハッチポッチ」は子供向けか、それともママ向けか、という問題の立て方自体がナンセンスだった。子供番組だからこそ、先にママの心をつかもうとしたわけだ。

 今、裕三さんは育児中の母親たちのアイドル的存在だ。趣味が高じて料理番組に出演したら、これも当たり、料理本もよく売れている。従来、小さな子供を持つママのアイドルといえば、「お母さんといっしょ」に出てくる体操や歌のお兄さん、あるいは戦闘系テレビ番組の主人公を演じる男優あたりが定番だった。若い、細身、笑顔がさわやか、の3点が条件だったはずだ。
 では、なぜ裕三さんが人気なのか。ファンのママたちが指摘するのは「育児や料理のネタで楽しませてくれるから」。裕三さんの得意分野は、実はママたちの関心事に重なるのだ。歌にトーク、子供の相手から料理までこなす裕三さんの芸達者ぶりは、30代の母親の心のツボを見事に押さえてしまったようだ。

 ◇深夜放映の子供番組?

 「ハッチポッチステーション」は96年に始まった。「ハッチポッチ」は英語で「ごった煮」の意味。NHK教育テレビから出演を依頼された当時の裕三さんは、コミックバンドで活躍しており、むしろブラックユーモアの傾向が強く、決して「子供向け」の無難なキャラクターではなかった。
 番組担当の近藤康弘プロデューサーは「『お母さんといっしょ』みたいな正統派番組ばかりではなく教育テレビの幅の広さ、懐の深さを証明できる意外性のある番組を模索した」と明かす。いわば「お母さんといっしょ」のカウンターカルチャー。だからこそ、裕三さんに白羽の矢を立てたのだ。
 開始以来、子供番組としてはトップランクの視聴率を誇ってきた。子供のいない家庭にまで「妙な幼児番組」のうわさは広がり、熱心な大人ファンも増えた。その結果、平日夕方の10分間番組だったのが、今年春から1時間の公開収録番組として日曜日の夕方(隔週)に放送されるようになった。さらに、平日週3日間の深夜には、過去の番組を再編集した再放送も始まった。とうとう子供番組が深夜に進出してしまったのである。

 ◇パパもひそかに楽しみに

 ステージも終盤に入り、生バンドが登場し、古いポップスやロックの演奏が始まった。このころにはパパたちの恥じらいも消え、子供みたいに目を輝かせている。疲れや眠気でぐずり始めた子供に手を焼く妻の隣で、白い歯を見せて笑うパパ。子供の手首をつかみ、音楽に合わせて大きく手拍子させるパパ。ひざの上の子は半ば寝ているというのに。

 ジプシーキングの「ボラーレ」の演奏中、ずっとノリノリだったパパに声をかけた。すごく幸せそうでしたね。「最高です。僕らの世代って若いころ、バンドをやっていたから。好きな曲の生演奏はたまらなく興奮するんです」。37歳、2人の子持ちという。「ハッチポッチは職場でも話題になります。お父さんファン、実は結構多いと思うなあ」

 客席になぜ父親がこんなに多いのか、ようやくなぞが解けた。自称隠れファンのパパたちに話を聞くと「放映日が平日から日曜日に変わったお陰でゆっくり見られるのがうれしい」と恥ずかしそうに口をそろえた。
 「選曲もギャグも、僕らの世代の懐かしいツボにはまる。だから、妙に笑える」と。

 ◇背景に懐古ブームも

 「懐かしい」もキーワードである。裕三さんの歌う60年、70年代のロックやポップスは、30代後半の親たちにとって、記憶に残る一曲だったり、青春時代に聴いた「オールディーズ」だったりする。世にまん延する懐古ブームや昭和歌謡ブームも追い風となっているのだ。

 大人向けのようで、子供を意識し、子供番組なのに、親が夢中になる――。そんな番組はほかにも増えている。今春、「ハッチポッチ」に代わって始まり、早くも話題になっている「にほんごであそぼ」(NHK教育)は、「声に出して読みたい日本語」の著者、斎藤孝・明治大学教授の知恵を借りたという。かつて一世を風靡(ふうび)した「ウゴウゴ・ルーガ」(フジテレビ)も実は子供番組だった。大人と子供の境界線があいまいになっているのか。

 「ハッチポッチ」が育児疲れのママだけでなく、残業疲れのパパにとっても、週末や深夜のひそかなお楽しみとなっていることを、当の子供たちはきっと知らないに違いない。

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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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