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★心にナイフをしのばせて (著・奥野修司)

★心にナイフをしのばせて (著・奥野修司)

1969年に川崎市で、高校1年生の少年が同級生をナイフでめった刺しにしたうえ、首を切断した。これより28年後に起こった「酒鬼薔薇」事件。著者は「酒鬼薔薇」事件を追う中で、酷似している28年前のこの事件を追跡取材する。

被害者の遺族がそれぞれに心の傷を引きずり、人生を大きく変えられたというのに、加害少年は長じて弁護士になっていた、という衝撃的な事実が話題になった本でもあります。

殺された少年には、父と母と妹とがいました。
母は、心の支えであり期待の的だった息子を失い、病んでいく。
父は、妻のことを案ずる余り、自分の苦しさを表に出せないまま、一人で苦しむ。
どちらも切なかったですが、やはり私がつらかったのは妹さんの気持ち。「兄ではなく、私が死ねばよかったんだ」という思いにずっと縛られ続けるのです。

少年法の壁にはばまれて、加害少年側の話が出てくるのは本書のたぶん1割程度に過ぎず、9割は被害者家族のこれまでを、一人称の証言の羅列、という独特のスタイルでつないでます。
この手法、成功しています。

28年間を生きた家族のそれぞれの思いですから、事件に直接関係ないように見える話もたくさん出てきます。本の中身は、事件取材というより、家族の物語に近い仕上がりにもなってる。たぶん、どんな家族でも28年間の物語を綴れば、ある人にとってはドラマになり、本になると思えてくるほどに。
でも、だからこそ、一見、事件とは無関係に見えるような家族の心の動きや行動の一つひとつが、すべて、実は事件を引きずった結果であることがジワジワと静かに迫ってきて、一つの事件が遺族にどれほどの傷痕を残すのかが、衝撃などとは別の形で胸に迫ってきます。

非常に扇動的な本かもしれません。
本書の最後では、加害少年が、今や恰幅の良いえらそーな弁護士になり、反省などする気もない、といった風に描かれてますから。
少年法の理念なんかもういいから、彼の過去を全部暴いて世間にさらしてしまえ! と読者に思わせてしまうようなパワーがあると感じました。
そういう意味でも、突き付けられる思いでした。




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わたしも読んだです

加害者の弁護士、わたしはかなりコワれてるんだな、って思いましたよ。おそらく子ども時代からおかしかったんじゃないかと思う。。。それでも司法試験には受かっちゃうんですねえ・・

妹さんの独白のとこはなかなか読ませますよね。

りえりんさん。

弁護士になってからの、彼の受け答えがすごくリアルで考え込んじゃいました。
プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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