スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「もうひと花宣言」を考える

AERA(2/19号)の「もうひと花咲かせたい」という特集を読む。
野球の桑田、清原、マラソンの有森、柔道の古賀……と40歳(もしくは40代前半)の「もうひと花宣言」が相次いでいる、という世代論めいた記事。
記者は、このテーマで同世代を取材した結果として、「バブル世代たちが彼らの挑戦について自己同一視する傾向がある」と書いている。

なぜか。
記事中の分析は、こんな感じ。

・バブル世代は難なく社会に受け入れられたその成功体験ゆえに、楽天的な気質がある。メゲない。

・気質が定まる14歳までにいわゆる「バブル時代」を経験していないため、汗くさいことがかっこわるくないと思える「最後のスポ根世代」だ。(三浦展さんの談話を引いて)

ふーむ。うむむ。
40歳といえば……私じゃん。

「世代論」というのは基本的に乱暴なもので、豊かな例外をほとんど無視し、かなり恣意的に結論になだれ込むものと相場が決まっている。それでもおもしろくて、読者に一瞬「おお、鋭いなー」と思わせればそれでいい、というのが「世代論」なんだと思う。
世代論を一番好きなのは、これはもう間違いなく、団塊世代だと思うけど、実は私も、世代論を読むのは嫌いじゃない。
ただ、この記事を読んで最初に思ったのは、「40歳の『もうひと花』宣言は、世代ゆえというより、どの世代にもある話じゃないかなあ」という素朴な疑問。

例えば。
三浦さんの分析の中にあった、私たちの世代が「汗くさいことがかっこいいと思える最後のスポ根世代だ」という点。
そうだろうか。

もちろんね、親が敗戦後の貧困を経験しており、リアルな苦労話を聞いて育ち、実際に親が努力する姿を目の当たりにしてきた最後の世代、と言われれば、確かにそうなのかもしれない。
私が育った社会は、もしかしたら今よりも、流した汗の分だけ報われることが目に見えてわかりやすい社会だったのかもしれない。

たださ。
とりあえず、そんな私たちだって、中学校の時には、「頑張る」とか「一生懸命やる」という行為は(特にそれを他人に見せるのは)、とんでもなくかっこわるいことだと思ってました。
少なくとも、そううそぶいてました。
でも一方で、スポ根マンガが実は大好きでした。
汗と涙と仲間の話は、それがサッカーでも野球でもテニスでも泣けたもんです。

汗くさいことなんてかっこわるいよな、とうそぶきつつ、でもその世界に憧れる、という二面性って、いつの時代も思春期の子どもたちが共有しているものなんじゃないのかなあ。
もちろん、今も。

そういう意味で、私は自分たちの世代が「最後のスポ根世代」と言われてもピンと来ないのだ。自分より下の世代がそう冷めているとも思えないし、彼らは彼らで40歳を目前にああだこうだとあがく気がするしね。
いや、もちろん、雑誌的には「最後のスポ根世代」というのは、とっても面白いキャッチフレーズだと思うけど。

少年野球のおばさんをしていて実感するのは、今の子どもたちだって、十分に「スポ根」大好きだってこと。
野球少年たちって、懸命で、おまけに、自分の懸命さに一瞬酔っちゃうみたいな所がかわゆくて、片っ端から抱きしめてなめ回してあげたいほどだ。

今の子どもたちが40歳になった時、自分の限界への挑戦、とか「もうひと花」とか言わないのかというと、やっぱり言うやつは言うし、言わないやつは言わない、それだけじゃーないのかなぁ。

かつて「『30代後半』という病気」という名著がありました。
DINKSの男性(出版社の編集者、だったと思う)が30代後半を迎え、40歳を目前に突然、悩み始める。子どもはどうする? 家は買うのか? そもそもこのままで俺はいいのか? 仕事は? などと悩み、いきなり最後の夢でも追うように米国留学を目指したものの、最後は……という本で、たぶん、今読んでも著者の悩みや迷いに古さは感じられないと思う。
いつの時代だって、30代後半に壁にぶつかる人はいるし、40歳で「もうひと花」宣言する人だっている。40歳ってきっと、そういう歳なのだ。

(私の場合は、30代前半での出産を契機に人生も働き方もガラリと変わって、そこの葛藤を乗り越えたらあとはもう、『30代後半という病気』など感じることもなかったんですけどね。でも41歳となる今年は少し転機の年にしてみようかな、と思っています)。

ところで。
このエントリーを書くために、久しぶりに「『30代後半』という病気」の著書の堀切和雅さんを検索したら、この本を書いていたころDINKSだった堀切さんもまた、その後、父親になっておられたのだった。お子さんは、難病を抱えているという。
新しい本は「娘よ、ゆっくり大きくなりなさい―ミトコンドリア病の子と生きる」

必ず読もう、と思いました。
出産後、仕事と育児の両立に一番悩んでいた6年前、この人の前著を読み、一緒に笑ったり心揺らしたりした読者の一人として。

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
RSSリンクの表示
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。