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■ジョン・アルパートさんの話を聞いて

1週間以上も前の話だけれど、忘れないように書き残しておこうと思う。
エミー賞15回受賞した独立系の米国人ビデオ・ジャーナリスト、ジョン・アルパートさんが来日。早稲田大学で自身のビデオを紹介しながら自身の仕事について語ってくださった。

対話しながら殴り合いをする人はいない。
対話が止まると、戦いは始まる。
対話を続けることが戦いを避ける手段だ。


これが、彼が映像の持つ力を信じ、映像を撮り続ける理由だという。

一つ一つの彼の映像にもいろいろなことを考えさせられた。
極めて意義深いイベントだった。
大学っていいなあ。

会場の学生たち(私みたいなおじさんおばさんもいっぱいいたが)に、アルパートさんが問いかけた。
「知り合いが銃で殺された経験のある人はいますか?」
誰も手をあげなかった。
アルパートさんは言った。
「ブルックリンで学生に聞いたら、みな手を挙げます」
あらためて、ぞくっとした。

そんな彼はクリスマスに家族と過ごしたことがないという。
米国人にとって、クリスマスは、日本人にとってのクリスマス以上に大切な日なのだから、それはとても大変なことだ。
大切な日だからこそ、自分の取材対象の「大切な日」の映像を撮ろうとしてしまう、そのきもちはよく分かった。

私も妊娠中、大晦日には大きなお腹を抱え、あるシェルターを取材した。薬物依存で娘や息子の暴力から逃れ、あるいは子どもたちの自立を促すために家を出て、シェルターで肩寄せ合って大晦日を過ごす母親たち。彼女たちと一緒に鍋をつつきながら、いろいろなことを語り合った。
その日の光景は、私の最初の著書となった「薬がやめられない 子どもの薬物依存と家族」に書いた。

あの取材をしながら、大きなお腹をなでながら、こうして大晦日に取材に出ることは、これが最後なんだろうなあとしみじみしたっけ。
実際。
出産後は、大晦日も正月もクリスマスも、子どものそばにいる。
そういう道を選んだのは自分だもんな。

でも、こんな風にアルパートさんの話を聴きに行ったり、いろいろな生き方をしているジャーナリストの話に耳を傾けて刺激を受けつつ、書きたい何か、伝えたい何かを忘れないように、失わないように、暖めながら、もう少し、子どもの巣立ちの時を待つことにしよう。

今はゆっくり。
あせらず、あせらず。


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横レスで失礼します
このシンポジウムで紹介されていたジョン・アルパートさんの新作「BAGHDAD ER」の短縮版(約20分)が東京ビデオフェスティバルのサイトから三月末まで無料公開されていますので紹介します。
http://tvf2007.jp/movie2/vote2007.php?itemid=186

ご紹介、本当にありがとうございました。
早速拝見。
シンポジウムではこれのさらに短縮版だったので、ここで見られてよかったです。感謝!

アメリカのメディアから閉め出されたという湾岸戦争時のイラク人の被害を撮影した映像も、もう一度見たいです。またいつか機会があればいいなあ。
プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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