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★「ニート」って言うな!(著・本田由紀、内藤朝雄、後藤和智)

★「ニート」って言うな!(著・本田由紀、内藤朝雄、後藤和智)

まだ読んでなかったのか?と言わないでください。
出版直後に購入したはずが、どこかに紛失。タイミングを逸して、結局図書館で借りることに。

本田さんの「増えているのは働く気のない『ニート』より、求職中の若年失業者と『フリーター』だ」というのは、そうなんだと思います。
だから、その「ニート」層に予算を割くのはおかしい、という主張したい理屈もよく分かります。
でも、どうして「ニート」論議がこれほど社会でもてはやされたかっていうと、むしろその心理面(コミュニケーション能力を重視する社会と、それに対する不安、「やりたいこと見つける」ことへの社会的なプレッシャーと、それに対する脅迫心)が、人々の共感を呼んじゃったからで、やっぱり社会が求めている議論だったんだと思います。
だからそもそもこの「ニート」問題を、若年者の労働問題として整理しようとすると、変なところだらけになっちゃうのは当たり前、という気もしました。

本田さんは、「『ニート』は多様で、しかも大半はごくごく『普通の、まっとうな』若者たちであり、ただ現在は様々な事情や理由から働いていない、というだけ」なのに、「非常にネガティヴ」に語られているのは、「いつの間にか『不登校』や『ひきこもり』にかなり近いイメージで語られている」からで、それらのイメージが「ニート」に投影されたのは、そもそも玄田さんたちが著書「ニート」で「働く意欲がないのではない、働きたいけど働けないのだ」と強調するなど、無自覚なまま、「ニート」にそういったイメージを投影したためだ、と指摘しています。

確かに、「ひきこもり」や「不登校」の問題の解決を「とにかく働くこと」に持って行くのは変だと思うけれども。
「ニート」が社会で注目された一つの理由に、「ひきこもり」や「不登校」との関係がクローズアップされた点があったと思うし、たとえそういうケースが「ニート」の一部であったとしても、やっぱりこの社会にとっては貴重な問題提起だったように思うんだけどな。

ただ、とても共感した点が一つ。
2003年刊行の国民生活白書の中で「フリーター問題は企業が若者、特に新規学卒者の採用を抑制したことから生じており、一番重要な原因は企業側にある、と言い切って」いたにも関わらず、「ニート」キャンペーンのせいで、世の中の目が「労働需要側の問題」から引き戻されてしまった、という本田さんの指摘です。
私は「労働問題」より「心の問題」に興味があるほうだから、「ニート問題」もとても興味深かったけれど、何でもかんでも「心の問題」としてしまうことで、個人の問題に帰結させてしまい、社会全体の問題を不問にするような危険性は常に自覚していたいな、と思うので。

若者への今後の対応策として、本田さんは「職業的意義の高い教育」を挙げるけれど、これはある面で賛成、ある面では実効性に疑問を感じてしまいます。
それこそ私の関心事である「心の問題」の中では、「職業的意義の高い教育」って意外とおもしろい効果をもたらしてくれる。下手にいかに生きるべきか、なんて悩むより、専門学校で同じ関心事を共有する仲間と職業的意義の高い教育を受ける経験を通過することで、一歩一歩あるいていく子っていると思うから。
ただし、労働問題としてはどうなんだろう。
山田昌弘さんの指摘じゃないけれど、今後、生産性の高い職業というのは減ることはあっても増えないわけで、全員に「職業的意義の高い教育」を与え、専門的職業能力をつけさせたとしても、やっぱり受け皿はないんじゃあないかな、と。

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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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