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濡れたズボンを乾かすならば

昨日の朝は母ちゃんの大失敗だった。
前夜に連絡帳を見て、「持ち物」欄に「学芸会の衣装」と書いてあったにもかかわらず、深く考えず、夜のうちに、衣装用の茶色い半ズボンをなんと、3枚とも全部洗濯してしまったのだ。
計画では、そのまま干してから寝るはずだったんだが、夜中にピアノの練習を始めたら興に乗ってしまい、すっかり洗濯物を失念。そのまま、干すのを忘れて寝てしまった。
哀れ、ズボンは脱水状態で夜を越してしまったのだった。

で、昨日の朝。
「母ちゃん! 茶色い半ズボンがない!」
「え? ……あ、全部洗っちゃった」
「今日、持って行かなきゃいけないのに!」
「うーん、でも、実は全部まだ濡れてるんだよなー」

あわてて登校までの20分間、乾燥機にかけてみたけど乾かず、最後は、「学校でほしなさい。ある程度乾燥機を掛けたから、どこかに干したら、3時限目までに乾くかもしれないし」と、濡れたズボンをビニール袋に入れて、息子に押しつけてしまった。

「どこに干すんだよ~、干すところなんかないよー」とぷりぷり怒りながら、息子はそれでも濡れたズボン入りのビニール袋を握りしめ、登校……。

ちょっとかわいそうなのだった。

夫と二人で、「あの子に、教室で濡れたズボンを干す勇気があるかどうか」と予想を立てた。

私の予想
■濡れたズボンを人前に出すのが恥ずかしくて、結局、「衣装を忘れました」と言うほうを選び、濡れたズボンは哀れ、ビニール袋の中で1日を過ごす。

夫の予想
■どうしていいか分からず、1人オロオロとしていたら、元気印の男友達が「ここに干しちゃえよ」とみんなして知恵を絞ってくれて、友達にズボンを干してもらう。

いずれにせよ、夫婦のどちらもが、「息子が自力でズボンを堂々と干すことはありえない」と思っているわけで……。

普段なら、このまま放置して本人に切り抜けさせちゃうんだけど、さすがに今回は、どう考えても私の不注意が原因だけに気になってしまった。
「やーい、濡れズボン野郎!」とか、はやしたてられていたら、ちょっとかわいそうかな、とか。
想像すればするほど、悪い方へ悪い方へと考えてしまい、「も、も、もしかしたら、濡れズボンが原因でいじめのターゲットになってしまったりして……」とか思い始めると、どうにもこうにも気になって、結局、出勤時間を若干遅らせ、1時間かけてもう一枚の濡れた茶色ズボンを乾燥機に掛け直すことにしたのだった。

さて。
1時間後。
うまく乾いたもう一枚の茶色ズボンを出勤途中に学校に届けたら、ちょうど休み時間だった。
教室の中を見渡したら、さんさんと太陽が降り注ぐ窓際にはカーテンがひいてあって、そのカーテンの向こうに、干したズボンと、そのズボンの乾き具合を確かめている一少年のシルエットが……。

なーんだ! 干してるじゃん!

私を見つけた男の子たちが息子を呼んでくれた。
息子は、友達の前では私にすっごくぞんざいな口をきく。
やっぱり甘えん坊でも、男の子なのだ。
「はい。結局、乾燥機で乾かしたのを持ってきたよ」と乾いたズボンを手渡すと、さしてうれしそうな顔もせず、むしろ自慢げに、「あっちのももう乾いたよ!」だって。

あとで聞いてみたら、登校直後に、補助で入ってる男の先生(やっぱり担任は若い女先生なので言いづらかったんだろうか)に「これ濡れてるの」と打ち明けたんだそうだ。
男先生はすぐに、一番日当たりのいい窓際に干してくれたんだそうだ。
めでたしめでたし。

その日の学芸会の練習では、私が持参したズボンではなく、自分で乾かしたズボンをはいたらしい。
「ちょっとまだ湿ってたけど、乾かした後だったから、すっごく温かかったんだよ」
ふーん。

子どもって結局、親の知らないところでこうやって成長していくんだ。
あしたは2年に1度の学芸会!
「セリフが一番少なく、目立たない役」を希望し、無事その役になれた時には小躍りしていた息子の「クマ」役が、うふふ、かなり楽しみ。


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どきどきしながら読みました~
いやぁ~おぐにさんの優しさも嬉しいし、坊ちゃまの成長も嬉しい。
何だか泣けてきちゃった。
良い話をありがとう~!
明日の学芸会、頑張ってね~>息子くん
うちは来週だ~

ニヤニヤ にこにこ してしまいました。
2年に1度なんて!大きなイベントなんですね、学芸会。
プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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