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★団塊ひとりぼっち(著・山口文憲)

★団塊ひとりぼっち(著・山口文憲)

団塊世代の筆者が、団塊世代が他世代から受ける批判や嘲笑のすべてを知り尽くしたうえで、「こう言うとまた批判を受けるやもしれないが」とすべて先回りしたエクスキューズを散りばめまくり、でも結局は高らかに団塊賛歌をうたいあげた本(……と言っちゃってもいい?)。

団塊世代が今後の残された人生を生きぬくのに大事なこととして、村上春樹がある訳書のあとがきで書いた言葉「集合的意欲」と「(生き続けるための)燃料としての記憶」の2つを挙げる。
さらに、本書のあとがきでは、これに小田和正が「これからは友だちと思い出が勝負」と語ったことに重ねる。
「友だちと思い出」は「集合的意欲と燃料としての記憶」の日本版、というわけだ。

とどのつまりは、友だちと、飲み屋で、思い出話しろ、ってこと……だろうか。OKOK、やってください。
他の世代に、「俺らのころはさあ……」と語ろうとするよりは、同世代で思い出を語り合うほうが絶対にお互いのために幸せだし。

この本が上手だなあ、と思えるのは、基本的には団塊世代が読めば懐かしく、おもしろく読めるように出来ているうえ、さらには、他の「団塊嫌い」の世代が読んだ時にも、飽きずに読めてしまうような工夫があちこちに散りばめられていることかも。

例えば、こういう文章がある。

「団塊世代が嫌われる理由」の一つに、「たまたま自分が青春時代を過ごした時代を、なにか特別な時代だったかのようにいう」という項目があった。

世代論が嫌いなようで、実は外からどう見られているかを案外気にする団塊世代当事者は、これを読んで、「うははは」と笑うんだろうし、他の世代は、「そういうところ、あるある」と、思わず共感してしまったりするわけだ。

おまけに、団塊論としてはめずらしく、女性についてもそれなりのページを割いている。「学生時代は左翼にかぶれたくせに、会社に入ったら猛烈サラリーマン、という団塊世代への批判も、女の団塊にいわせれば、身に覚えのないことで、お門違いもはなはだしい、ということになるだろう」というようなことも書いていて、実は団塊論というのが、実は男性による男性のための物語なんだということを喝破している。
もちろん、そこから続く女団塊のストーリーの代表者が、宮沢りえの母親と、貴乃花の母親というから、「なーんだ、やっぱり男による男のための団塊ストーリーであることには変わりないのね」とつい思ってしまいましたが。

本の最後に、団塊世代の著名人のリストがあって、これはこれでおもしろかったです。
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山口文憲さんの本は面白い。学生のときにお会いしたことがありますが、とても温厚な方です。ベ平連時代拳銃を持っていると噂された人とはとても思えませんでした。

さるたさん。

私はこの本は、男シングル本の系譜の中に位置づけて読んでもすごく面白いと感じました。呉智英さんやら関川夏夫さんらとの内輪ものとしても。
温厚なかた……なんでしょうね。きっと。うん、そう思います。
プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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