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★生きづらい<私>たち 心に穴があいている(著・香山リカ)

★生きづらい<私>たち 心に穴があいている(著・香山リカ

さらっと読めました。
従来の精神医療の疾病概念に当てはまらない「生きづらさ」を訴える若者が急増(というかそっちが主流)になってきている、という本。それを「満たされない私」「傷つきやすい私」「いくつもの私」「本当の私?」などをキーワードに読み解いている。
ここでもキーワードは「解離」。まるで時代のキーワードみたいに。

例えば解離的な若者の特徴は、「今の自分のことしか考えられない」。
(挙げられていた事例は、「アフガニスタンには家を失った人がいる、と言われても、見たこともない国の話と自分とを関連づけて何かを考えることなど、とてもできません」だった)

解離の原因はかつては幼児期のトラウマだと言われたど、今爆発的に増えている解離的若者
はニュータイプで、

1、自己愛や変身願望、打算
2、センサーが敏感になって、わずかなこともトラウマと解釈してしまう
3、インターネットの出現とともに、心そのものが解離のメカニズムを簡単に発動させるように変わった

の3タイプを列挙しているわけ。

1は、取材していても感じてきたこと。香山氏は、その背景にあるのは「特別なだれか」になりたい
という思いだと言うのね。言い得て妙という部分もあるんだけど、そういう思いがなぜ生まれたか、というところを取材していると本当に人それぞれで、私としてはついつい「一概に言えないけどね」と付け加えてしまいたくなる部分でもあります。

2の「トラウマの閾値」が下がった、という説は、長谷川博一氏の「きれいな虐待」と対になっている気がした。(長谷川氏は、「少子化で親子関係が密になった現代では、身体的、精神的虐待でなくても、例えば、親が一生懸命子育てをする、という行為や、ほめる行為すらも、虐待と同じ意味を持ってしまうことがある」と指摘している)。

でも、1も2も、70年代だってあった話だと思う。(現に、私、なんとなく実体験に照らしても実感するところがあるもの)。

3は、うまくわからない。
ただ、普段の自分とネット上の自分の人格に違いがあるか、を尋ねた調査で、「5人に1人が『違う』と答えた」というのはちょっと驚いた。私自身は、どこでもほとんど本名だからかな。
香山さんも、はっきりとした因果関係を持たせて書いているわけじゃありませんが、ネット上で仮名(ハンドルネーム)を使う人が9割で、複数の仮名を使っている人が全体の半分に及んだ、という調査結果も引用しています。
確かに、時々、ハンドルネームを見ただけで、その雰囲気とか語感とかによって、書き込みの内容やトーンを想像できるような時ってありますもんね。で、その想像って結構当たるし。
でも、複数のハンドルネームを使って別人格を持たせていることが、解離志向の強い若者を生んでいる、というのはもうちょっと肉付けを待ちたい仮定、という気がしました。

さて、香山さんがどんな対処法を提示されるのかが一番興味があったのですが。
「正しい処方箋を、残念ながら私はまだ書くことができません」とあって、残念無念。でも、それが誠実な思いなんだろうと思った。

認知療法にかろうじて触れてありました。
そういえば、米国では自傷治療にさかんに取り入れられていると聞いたことがあります。ちょっと勉強してみようかな。


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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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