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★四角形の歴史(著・赤瀬川原平)

★四角形の歴史(著・赤瀬川原平)

こ、こ、これは! という名著にまた出会い、感動。

赤瀬川さんの本では最近、とても古い本ですが、「純文学の素」というとんでもない本に出会い、驚愕したばかり。この本、なんと、「自宅に深く潜行するルポ」。
実際には、結構出歩くんですけど、才能がほとばしるような文章と、とんでもない眼差しの角度に、「こういうのを新聞記事に応用できないものか」と真剣に考え込んでしまいました。

さて、今回の「四角形の歴史」は、散文っぽい文章と絵の本で、15分もあれば読み終えられます。赤瀬川さん自身の思考を淡々とつづっただけの本。
でも深い。考え込むと、何年もかかりそうな話。

思考のはじまりは「犬も風景を見るのだろうか」。
で、「犬は物を見るが、風景は見ていない」と考える。
そして、同じことが人にも言えると気付く。
「風景画をちゃんと描きはじめたのは、やっと印象派のころからだ」と。
人も犬と同じように、物だけを見ていたのに、絵を描くために「偉い人」や「立派な建物」や「大変な出来事」をじーっと見ているうちに、オマケとして風景に気付いたんだろう、と。
そこからさらに、そもそも、人間は絵をなぜ描き始めたのか、と思考はさらに深く沈んでいく。

土器に描いていた時代から、四角い画面に描く時代になって初めて、人は絵の周りの「余白」に気付いたんじゃなかろうか、そもそも、現実世界に「余白」はないぞ、と考えた末、
「人間は四角い画面を持つことで、はじめて余白を知ったのだ。その余白というものから、はじめて風景をのぞいたらしい」と思い至る。

ここからはもう感動的。
人間にとって初めての四角いフレームというのは窓ではなかろうか、と。
窓から人間は初めて風景を風景と意識して見たのではないか、と。
となると、人間が初めて風景として見たのは「雨の風景かもしれない」と書く。
挿絵が本当に素敵。

しかししかし、赤瀬川さんの思考はまだまだ潜行する。
「窓はわかった。風景は四角い窓からだ」。でも、「人間がまだ猿だったころ、世の中に四角形はあったのだろうか。なかった」と。
確かに自然界のほとんどは曲線でできている。今でこそ、身の回りのものはほとんど四角形でできているのに。
自然界では、直線は水平線ぐらい。

そこから赤瀬川さんは、人間がなぜ「四角形」という形を見出したのかを考えていく。

「四角形の歴史」をたどりながらも、気付けば人間と眼差しと風景の壮大な歴史書のようで。最後は哲学書のようでもあり。
うむむ、すごい本だ。

こういう本を読むと、せっかく仕事で赤瀬川さんと街歩きをさせてもらっているんだから、もっともっともっともっと、赤瀬川さんの「目」から学んでおかなければ、と思ってしまう。
明日も赤瀬川さんとの散歩の日。

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天才

うーん、いままでそんなこと言う奴はいなかったが、たしかにその通りのような気がする。すべてを疑ってみることをしなくなって久しいなぁ。きょうあるところで、新聞は何故天皇制廃止を書けないのかと聞かれた。いまどきそういうことを言う奴が少ないので、実に新鮮な感じがした。本日の四谷を歩く記事も拝見しましたが、赤瀬川氏のそんなあたりをちらりと匂わす原稿が読みたいものです。ないものねだりですが。

おぐにさんへ。

ひさしぶりです!!プログ移転されたんですね。
私の事覚えていますか??
どこにコメントをつけようか迷ったんですが、ここに書かせて下さい☆☆
おぐにさんのプログを読んで、妹さんがカンボジアに住んでるっていうのにすごくびっくりしました!!私も今年の1~2月にカンボジアに1カ月いってきたんです^^親戚が NGOの孤児院の学校をやっていて、見に行かせてもらいました。あと、カンボジアのいろんなところに行ってすごくよかったです。アンコールワット(めちゃくちゃ大きくて感激しました)とか、あとはキリングフィールド(虐殺のあった学校もみにいったんですけどいったあと何日かはいろいろ考えて沈みました><)あと、カンボジアの村(電気も水もなくて(井戸水とか雨水とかしかない)高床式倉庫みたいな家に泊まりました^^)とか、まだいろいろあるんだけど、カンボジアで生活して、すごい衝撃をうけました。あと、ホームステイ先がNGOで働いているニュージーランドの女の人(40代くらい)のおうちですごく楽しかったです^^しかもすごく尊敬できる人でした。
来年もまたいきたいです^^
もしかしたらどこかでおぐにさんの妹さんとあってたりして・・。とか一瞬思っちゃいました☆☆

冷奴さん。

夏あたりにそのようなご期待に少々おこたえできる記事が登場するかも。
今からひそかに計画中です。

mimiさん。

ごぶさたしています。
元気ですか? 良い経験をされましたね。

いろいろな生き方をしている大人や同世代に会うのって大事です。特に、海外ではそうですよね。視野が広がります。自分と社会との結びつきが見えてきて、自分の外側に視線が向かうようになります。私自身が10代後半~20代の前半でそうだったし。
実は、水谷修さんがそうでした。

プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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