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テレビドラマ「クライマーズハイ」を夫婦で見る

週末夜中、DVDに録りためたNHKのテレビドラマ「クライマーズハイ」(原作・横山秀夫)の前後編を一気に見た。
新聞記者夫婦で見ると、夫婦双方、テレビ画面に吠えまくりでウルサイウルサイ。

職場に着いた途端、オヤジスリッパに履き替える記者とか、共同通信のピーコに職場がざわつく感じとか、1本の電話の情報で記者がとにかく立ち上がり、まずはとりあえず走る(特に何をすればいいか分かってない新人は特に、とりあえず、その辺を走り回っていないと、「反応が悪いヤツ」と言われるのでね)シーンとか、山本リンダの替え歌を酔っぱらって歌いまくる事件記者とか、いちいちリアルで、職場描写のリアルな点を探しているうちに、本筋を終えなくなったほど。

原作本を読んだ時にも夫婦で話し合った点だけど、やっぱりドラマの山場でもあった「事故原因の特ダネを打つか、打つまいか」のシーンでは、夫婦で「打つだろ、普通」「ここは当然飛び降りるべし!」「そもそも、事故調の報告書なんてずっと先なんだから、打っちゃえ打っちゃえ」と画面に叫びまくり、主人公・悠木が「打たない」判断をすると、「あー、サイテー」「こういう上司、一番困るよね」などと罵詈雑言の嵐。

原作本はもう、すばらしかったのだけど、テレビドラマはちょっと印象が違いました。
なんというか、主人公・悠木に対して共感できない点が多すぎました。特ダネを打つか打たないか、というだけの問題ではなく、

・上司に意見をする時に、落としどころも相手の逃げ道も考えず、つっかかる。
・上司にも、部下に対しても、余計で不用意な一言が多い。
・一方、部下への説明不足から、下からの理解も得られない局面が多い。
・気分にむらがあり、変なところで人間的。つまり安定感に欠ける。

こういうところがすごく鼻について、「こんな上司が実際にいたら、私、いやだわ」と思ってしまった。
原作本では、ひたすら悠木の気持ちに寄り添えたのになあ。
たぶん、テレビの悠木に感じた反発の理由は2つあると思う。

1つは、文字情報ではなく映像として新聞社内の描写を見せられ、それがあまりにリアルだったために、原作本を読む時より「こんな上司が実際に私の近くにいたら……」とより強く現実的に考えずにいられなくなってしまったため。人間として魅力的でも、上司(あるいは同僚、部下)としては困る、ってことは多々あるのです。

もう一つの理由(たぶんこっちのほうがメインだろう)は、やっぱり、人間を描くという点で、テレビドラマは1冊の本の情報量にかなわなかったんだろう、ということ。
本では公私にわたる悠木の迷いや不安や恐れや高揚があますところなく表現されていて、だから、「記者悠木」や「上司悠木」である前に、「人間悠木」の魅力がストレートに胸に響いた。
でも、ドラマでは悠木を描ききれなかったんだろうな。組織やら、組織内の男の嫉妬やら、事故の筋書きやら、親子関係やら、全部盛り込みすぎたせいで、「人間悠木」がどうしてああいう男にならざるをえなかったかを、きちんと伝わってこなかった。
裏を返せば、それだけ、原作本の完成度が高かったってことなんだろう。

一方、前後編を見終わってやたら印象に残ったのは、ホルモン焼き屋のシーンでの「社会部長」役の岸部一徳さん。たった一つのセリフで、彼が地方紙の社会部を担う立場として背負って来たもの、こらえてきたもの、自負、そんなものが全部鮮やかに見えて、驚いた。
あと、投稿欄担当デスクが、自分の仕事に感じている自負と責任。セリフは少なかったけど、それでも人生が伝わってきた。

見終わったら、声が枯れていた。(テレビを見る前に、息子の少年野球チームの忘年会があって、そこで大騒ぎしたせいかもしれないけど)。
どうも、叫びすぎたようだ。

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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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