スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

★検証・若者の変貌(編・浅野智彦)

★検証・若者の変貌(編・浅野智彦)

遅ればせながら読みました。
「今どきの若いモンは○○だ」という若者悪者論の「定説」(らしきもの)をバッサバッサと覆していく。
データの扱いも慎重だし。

本書によると、この10年間に「若者の友人関係は希薄化していない」し、「現実の人間関係から逃げていない」し、「アイデンティティーが衰弱していない」し、「道徳意識は衰退していない」のだ。

このあたりが、「目からウロコ本」という評価を得た理由だろう。
でも、バッサバッサと定説を覆すことに重きを置きすぎて、「○○ではなく、本当はこうなのだ!」という分析部分が少ない気がしました。

もちろん第七章「若者の現在」で浅野さんが考察している若者の友人関係のありかた(多チャンネル化・状況志向・繊細さ)などは、おもしろかったですが。

私は学者じゃないので、こういうアンケート調査の際にどんな風に質問文を作るのか、なんて分かりません。
ただ、今回使われている質問文に少しずつ違和感があったことは確かです。

例えば、「若者の友人関係が希薄化していない」ことを結果的に示した質問文はこれ。「友だちといるより、ひとりでいるほうが気持ちが落ち着く」「友だちとの関係はあっさりしていて、お互いに深入りしない」。
この質問文だったら、確かに否定する子も多い気がします。
でも次のような質問文だったらどうかしら?
「友だちと一緒にいてもひとりでいるみたいに寂しい時がある」
「友だちとの関係をもっと深めたいのに、わざとあっさりした関係に留めてしまうことがある」
さらに、アイデンティティーの変容について調べた質問文「自分には自分らしさというものがあると思う」というのも、「もっと自分らしさがほしいと思う」みたいな志向性を尋ねるものがほしかった気がしました。

特に詳しく知りたいと思ったのは、浅野さんが2000年に大学生を対象に実施した予備調査について。
自己の多元化が「素顔の複数化(場面に応じた複数の顔の背後にある自己そのものの複数化)」と「仮面の複数化(偽の自分を本当の自分から切り離した上で前者を複数化する)」という2つの方向性を持っていることを指摘し、同じ自己の多元化でも、「仮面の複数化」に比べ「素顔の複数化」は、心理的な不安定さなどとの関連が弱いことも明らかにしているそうなんですが。
この点は、自分の取材経験にピタリとはまる感じがしました。

さらに。
この本のもう一つの財産は、引用・参考文献リスト。
これは読まねば!と思うものが多々あり。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
RSSリンクの表示
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。