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★ガール(著・奥田英朗)

★ガール(著・奥田英朗)

思うに、男の視点で書かれた「マドンナ」とは、対になる本なんだろう。

女性管理職になり、3期上の男社員を使うことになった女性だとか。
「マンションと結婚とは別問題」の文句に後押しされ、マンションを買おうと思い切る独身女性社員とか。
「まだまだ女として現役よ」と頑張る女性社員とか。
子育てと仕事の狭間で思い悩みつつも、両方に全力投球するシングルマザーとか。
一回り年下のイケメン新入男性社員に入れあげる女性社員とか。

舞台はすべて会社、主人公はすべて30代の女性、という短編集。
既婚、独身、子なし、子持ち……。
それぞれの立場で揺れる心を、ほかの男性著者に比べれば圧倒的に上手に描いていると思う。

うまいへたでいったら、マドンナのほうがうまい。
やっぱり男を描かせたほうが、奥田さんはうまいと思う。
でも、ぷぷぷと笑ってしまったり、ちょっと切なくなったり、働く女はそれなりに楽しめる本だった。

ちまたでは「どうして働く女の気持ちをここまでわかるの?」という女性読者から声もあるらしい。
確かに。かなりリアルだと思う。おい、あなた、詳しすぎるわよ……という場面も確かにある。
でも一方で、「そんなに単純な構図じゃないと思うんだけどなー」って思うこともあった。

例えば、この本の中には立場の違う女同士(子持ちvs子なし、既婚vs独身、30代vs20代など)が対立する場面がやたら出てきた。これがいかにもワンパターンというか、いわゆる、男が好きそうな「女の敵は女」的なありきたりなパターンの域を超えていないのが、どうしても気になってしまった。
おまけに、最後は彼女たちが互いの立場の違いを超えて分かり合う、という展開に徹してくれているわけで、読後感は気持ち良いけど、「そんなに単純じゃあないんじゃありません?」と思ってしまうのだ。

立場が違うからって、そんなに単純に対立しないけど、
互いに素直になったからって、そんなに単純に和解もしないのよ。
その点は男と同じ。
圧倒的男社会における少数派なんだから、女は男よりずっと会社から自由で、いざとなったら連帯できる、なーんてのは、やっぱり嘘だと思うのよね。
男がいろいろであるように、
女もいろいろで。

既婚、独身、子あり、子なし、なんて立場の違いより、やっぱりキャラクターの違いのほうが大きいわけで。
そこまではやっぱり描いてくれなかったのね、という気がしてしまいました。

もちろん、私は、「最悪」時代からの奥田ファンですから。
なんだかんだ言っても、この本も好きだけどね。

そうそう。一つおもしろいセリフを見つけた。
会社役員のワガママなオヤジたちと、彼らに仕えるチャラチャラした仕事のできない若い女性秘書たちに、敢然と立ち向かったせいで、地方に飛ばされそうになる主人公が、「おかしくない? まがりなりにも大企業でしょ?」と同僚にぶちまけた時に、この同僚が返した言葉。
会社は大きくてもやってるのはおじさんと女の子

思わず大爆笑。
あ、私の勤務する新聞社では、そういうことはないけどね。
でも笑えた。




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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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