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★あの日にドライブ(著・荻原浩)

★あの日にドライブ(著・荻原浩)

都市銀行のエリート社員だったはずが、ちょいと上司にたてついてしまった一言のせいで出向の憂き目に。「都市銀行のキャリアさえあれば、転職なんて簡単さ」と退職はしてみたものの、40代の再就職は難しく、結局はタクシー運転手になったのだが……、というような話。
ノルマを達成できず、「俺はこんなところでくすぶっているような人間ではないはずだ」とやたら自意識ばかり高く、屈折すればするほどに妄想を膨らませていく。

例えば、恰幅の良い客が乗る。
早速主人公の妄想が始まる。
客が話し始める経済の話題に、素人とは思えない受け答えを披露する→「運転手さん、ただものじゃないね」と言われる→客に出身大学や前職をたずねられる→さりげなく答える→「やっぱりね。ただ者ではないと思っていたよ。君が運転手だなんてもったいない。どうだい? 我が社に来ないかい?」とヘッドハンティングされる……ってな具合。
この妄想がむちゃくちゃ笑えるのです。
悲しいくらい哀れなのです。

ままならぬ人生を「若いころの人生の選択を誤ったせいだ」と思った主人公は、商売道具のタクシーで、学生時代に付き合っていた女の家やら、学生時代の下宿やら、学生時代に入社してみたかった出版社やらをめぐり始める。
そこで主人公が見たものは……。

まあね、主人公が現実を受け入れながら、そこで格闘し、歩みを進めていくという展開は小気味良いよ。
でも、読み終わって、よくよく考えたら、「人生色々あったけど、俺の人生も悪くないよな」と自己肯定に終わって、読後感はそれなりにさわやかなのだけど、考えように寄ればこれは単なる「すっぱいブドウ」以外の何者でもないじゃん、とも思えてきて、よくわかんない。
でも笑える。
そういう小説。

彼の本はどれも楽しめるので、軽く読書するときにはとてもよいです。



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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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