スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

アメリカという国と、宗教というもの

まずは宣伝から。
4月23日、所属している合唱グループ Japanese Choral Society of Washington で、東日本大震災の復興支援を目的としたベネフィットコンサートを開きます。
詳細は、以下の通りです。

************************

■■■ 歌でつなごう支援の心 ■■■ 
        東日本大震災復興支援コンサート

主催 Japanese Choral Society of Washington (JCSW)
協賛 ワシントン日本商工会

■日時■  2011年4月23日(土)午後2時~3時
      (寄付金受付時間は、午後1時半~2時と、3時から3時半)
       コンサート後にレセプションも。

■場所■  First Baptist Church of Rockville
      (55 Adclare Rd, Rockville MD 20850)無料駐車場あり。

■内容■
合唱 : 四月の風、雨のあと、花、ロンドンデリーの歌、さくらさくら、
     Going Home、夕焼け、上を向いて歩こう、など。
ソプラノ独唱 : 嶋田貴美子 (二期会オペラ)

指導・指揮  嶋田貴美子
編曲・ピアノ 千葉真衣子
ヴァイオリン Heinosuke Voelkel

■入場無料■ 
(ご寄付の有無にかかわらず、コンサートご来場のみの方も大歓迎です)

■支援のための義援金■

1、コンサート会場でお寄せいただいた義援金は、ワシントン日本商工会(Japan Commerce Association of Washington, D.C. http://jcaw.org/main/)が設立した JCAW Faoundation(503(c)3 認可)に委託し、日本赤十字社などに全額送られます。
2、小切手の支払い先に、JCAW Foundation と書き、メモ欄には、Donation for Earthquake Relief とお書き添えください。JCAW Foundation 宛の寄付金は、米国の税金控除の対象となります。
3、ご寄付は、小切手か現金でお願いいたします。

今回のプログラムには、家族や故郷をテーマにした日本とアメリカの両方の曲を選んでみました。被災地の復興を願う私たちの心と、そして支援金を、歌声とともに日本に届けられたら……と思います。
ぜひとも、お越しくださいませ。

■詳細・問い合わせ■
JCSWのウェブサイト http://www.jchoral.org
Email JCSWMail@gmail.com

*********************

で、今回は、これを素材とした、アメリカと宗教について。

実はこのコンサート、教会で行う。
合唱グループのメンバーのお一人が、教会の牧師さんで、快く、教会を無料で場所提供くださったのだ。
今回、企画段階で、ふと、「私のユダヤ人やイスラム教徒のお友達をお誘いするとき、コンサート自体は宗教色がないことを説明する良い英語の表現はないかなあ……」 と思って、その牧師さんにご相談したら、

Non-Religious. Everyone Welcome.

がいいんじゃないか、と。
なーるほど、これは良い言葉を教わった。
そう思った。

一方、この文言を、チラシなどに盛り込むかどうかについては、別の視点からの意見も出てきて、見合わせることにした。それは、「わざわざ無料で会場をご提供くださる教会に対して失礼な感じがするし、キリスト教徒の目には逆に、わざわざ non-religious と表記されることに、不快感を感じる人もいる」というご意見だった。

これもすごーく分かるのだった。
そもそも、どんな宗教を信じる人より、無宗教を標榜する人が、最も信頼されない、という世論調査結果すらある国だ。(9.11の後の世論調査ですら、イスラム教徒への信頼度より、無宗教者への信頼度のほうが低かったのだ)。
non-religious を標榜することは、それはそれで誰かの気分を害するリスクを常に負う。
それに、アメリカはやっぱり、成り立ち自体が、キリスト教徒の国だ。
それだけに、たとえばクリスマスの季節に、無防備に 「メリークリスマス」 の一言すら言えない状況に、複雑な思いを抱えているクリスチャンの友人は多い。
多民族国家だから、さまざまな宗教的背景を抱える人が暮らす国だから、「メリークリスマス!」 の代わりに、「ハッピーホリデー!」 と挨拶するこの国にいると、日本人はなんと無防備に、あっけらかんと、メリークリスマス! と言ってしまえるんだろう、と頭がクラクラするくらいだ。

教会を貸してくださるのだもの。
クリスチャンの人たちの気持ちも大切にしたい。
そう思った。

チラシを配るときは、個々人が、コンサートに宗教色がないことを、相手に説明すればよいのだ、とも思った。

数日前、友人に英語版のチラシをメールで送った。
上記の合唱グループのウェブサイト(リンクあり)のトップページに貼り付けられている、若草色のチラシ。
Non-Religious. Everyone Welcome、とも書いた。
「夫婦で行くよ」 と返事してくれた友だちがいた。
我が家にも、ご夫婦で招いたことがある、大切な友人だった。
それでもって、彼らはユダヤ人だった。

今日、この夫婦の夫のほうと会ったら、こんな話をしてきれた。

「妻は、コンサートには行きたい、と言ってくれてる。でも、彼女がコンサートに行く、と決断してくれた思いを、君には前もって伝えておきたいんだ」 と。
彼の話は、こんな風だった。

僕はね、それほど宗教にまじめな人間じゃない。
でも、妻は、もう少し、それを大事にしてる。
そういうことは、簡単に変えられることではなくて、そうだな、例えば、彼女は、
ドイツには死ぬまで旅しない、と決めてる。
ユダヤ人として、ね。
彼女にとって、教会で行われるイベントに参加することは、たとえそれが一切宗教色のないイベントであっても、そう簡単なことじゃないんだ。
まして、4月23日って、すごいタイミングなんだよね。
キリスト教徒にとってはイースターの前で。
僕らユダヤ人にとっては、とても大切なパスオーバーの、まして Good Friday の翌日。
下手すれば、クリスマスより宗教的には意味があるような2つの日にはさまれた23日に、
妻がキリスト教の教会に出かける決意をしたのは、
ただただ、あやこや、ほかの日本人に出会ったことで、彼女がとても日本を愛するようになって、今回の震災で、自分も何かしたい、と強く願っているからなんだ。
そんな彼女の思いを、どうしても、先に君に知っておいてほしくて、ね。


普段はお互い、冗談ばっかり言う仲の彼なのだけれど。
この時ばかりはもう、言葉もなかった。
ただ、「彼女の気持ちを教えてくれてありがとう。コンサートに行こうとしてくれて、ありがとう。一生懸命歌うよ」 って返すしかなかった。
私が、自分のつたない英語力を悔しく思うのは、こんな時だ。
あふれそうになるこの思いを、すっぽりと、過不足なく、きちんと相手に伝えられる言葉がほしい、といつも強く思う。

その後も、彼にいくつか念押しされた。
「牧師さんの挨拶とか、ないよね?」
「歌う曲目の中に、宗教色のある曲はないよね?」
これらの質問に、「大丈夫。コンサート自体に宗教色は一切ないから」 と返事しながら、ああ、私は、全然分かってなかったんだなあ、と思わずにいられなかった。

第一、4月23日という日付自体が、そこまでの意味を持つと知ってなかった。
パスオーバーは知っていても、Good Friday という概念は知らなかった。
ある宗派の教会でコンサートを行うということが、さまざまな宗教的背景を持つ人の暮らすこの国で、どんな風に見つめられるのか、ということに、自分で思っている以上に無自覚だった。

この国に来て3年。
常々、「日本人がこの国を理解するのに、とても難しい三大案件は、宗教、人種、そして連邦制」 と思ってきた私だけれど、思っていた以上に、やっぱり私はわかっていなかったんだな。
それも、最も色々な話をできた、大切な友人についてですら、このざまだ。
そんなことも心しながら、今回は、きちんと歌おうと思う。

実は、今回のこのコンサート。
私としては珍しく、企画立案や広報に関わってみて、あらためてアメリカを学ぶ機会に恵まれた、気がする。
そんなことも、コンサートの当日まで、ポツリポツリと書いてみたいと思う。


スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

日本にいたら、全然知りえない話をおすそ分けありがとう。そのユダヤ人ご夫婦の気持ち、本当にありがたくて、よくぞ決心してくれたなあ、って画面のこちら側でうるっとしてしまったよ。英語で気持ちを過不足なく伝えるのが難しくても、行間でしっかり伝わっているからこそのメッセージだと思うな。素晴らしいね。ありがたいね!

本番、聴きに行けなくてとても残念だけど、絶対成功させてくださいね!

Titty さん。

コメントありがとう。
そうなの、今回はかなり、胸を衝かれたというか、どきりとさせられました。
思いを伝えられるよう、頑張って歌おうと思います。
プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
RSSリンクの表示
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。