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カレッジ授業報告 子どもを生まないかもしれない理由

最近、カレッジの先生の英語だけでなく、最初はわけの分からなかった若者英語が少しずつ分かるようになってきた。
お陰で、ディスカッションにも随分と参加できるようになり……と書きたいところだが、むしろ逆。
若い彼らが何を言っているかわかり始めたら、逆に議論に参加する意欲が失せ始めた。
だって……。

たとえば、「結婚とは何か」 みたいな話を議論する時に、
結婚の持つ、社会的な機能だとかそういう議論にまったくならず、日本の教室の常識では信じがたいほど活発にかわされる議論というのがこんな感じ。

「お金のために結婚するのって、誠実じゃないと思うわー」
「お金だけのためではなくても、やっぱりお金って大事よ」
「私は絶対に、愛が大事だと思う!」

うむむ。
結婚とは何か、なんて考えたことなかったよ。
考えることもないまま、すでに結婚して、15年だよ。
「愛か、金か」?
んなもん、どっちでもいいじゃん……。
あんた、我が家なんかもう、日々戦いよ。

などと、
ついつい、ようやく聴き取れるようになった議論を、妙にほほえましく眺めてしまうのだ。
ハッと気づけば、それはもはや、母親目線。
いやあねえ、オバサン学生って。

今日もそんな感じで始まった。
先生の質問は、
「アメリカ人の若者男女の9割以上が、『いつか子どもがほしい』 という。君たちの場合はどうだい? 子どもをほしいと思うのは、どうしてだろう?」
それから、念のため、という感じで言い足すのだ。
「あるいは、子どもを生んだのは、どうしてだろう?」
ははは、オバサン学生への気遣い、だろうか。

なぜ、子どもを生んだか?
子ども産んだのって、もう10年以上前のことで、色々ありすぎて、一言で 「なぜ」 なんて言えるわけないじゃん。
だから、またしても聞き役。

「子どもを生むことは、家族を作る者として当然だもの」 とある女の子がいい、
「自分が子育てを通して成長できるの」 と別の女の子が言う。
日本の学生さんに聞いても、似たような答えが返ってくるだろうなあ、などと思う。

サントール先生はさらに問う。
「じゃあ、逆に、子どもを生まないかもしれない、と思う人。どんな理由のためなんだろう?」

別の女の子が、「なんか、まだ、子育てなんてする自信ないし」 と言い、
その隣の女の子が、「Party is over !!! ってのもねえ……」 と言い……。

ここで 「あら、あなた、子育てってホント、おもしろいわよー」 と言ったら、ただのオバサンの若者への説教だわ、と内心苦笑いしながら、「子どもを持つか、持たないか」 をめぐるアメリカの若者の意見を、実に楽しく聞かせていただいたのだった。

そんな今日の授業の中で、ただ一つ、どきりとさせられた意見があった。
「子どもを生まないかもしれない理由」 を挙げた、黒人の女の子の発言だ。

「生まないかも。というか生む自信がないな。だって、一人で育てる自信がないんですもん

サントール先生が、「どうして、一人で育てる、って言うの? どういう意味?」 と問いかけたら、返ってきた答はこうだった。

「だって、私たちの人種って、男は子育てに参加せず、そのままいなくなっちゃうからね」

当たり前のように、さらりと言った彼女のセリフに、二重の意味でドキリとさせられた。
一つは、「自分の将来のパートナーは黒人男性である」 ということを、前提とした発言であること。
もう一つは、「黒人の男は子育てをせず、いなくなる」 ことを、現実に肌身に感じての発言であること。

確かにデータを見ても、アジア人やラティーノと白人との interracial marriage に比べ、黒人と白人の結婚は、米国では少ないと言われている。
また、黒人家庭における 「一人親家庭」 の割合は、1970年には36%だったのが、2003年には60%に増えている。(白人も増えているが、10%から27%)。
同棲が多いということもあるが、いわゆる 「未婚の母」 のもとに生まれる新生児の割合は、白人の間では29%、黒人の間では68%という。

そんなデータ自体は知っていたけれど。
目の前で、20歳そこそこの女の子が、将来子どもを生んだなら、それは、「一人で子育てする」 ということなのだ、という 「現実」 を当たり前のことのように受け止め、将来を考え、そんな思いをサラリと口にするのには、さすがに圧倒された。
そもそも、母親目線だったから、正直なところ、胸が切なくなったよ。

私なんか40歳を過ぎてなお、「一人で子育てする自信、全然ありません」 を理由に、夫の海外赴任と同時に会社を辞めちゃったんだもんなあ。何も言える立場にありません、って感じ。
私の日本の友人の中には、すごく素敵に 「一人で子育て」 してるママがいっぱいいる。
でも、子どもを生む前から、それも20歳そこそこで 「子どもを生む=一人で育てる」 と受け止め、「自分は一人で子育てできるか」 と自問しているような日本の女の子って、あまりいないんじゃないかな。
ガツン、とやられた感じ。
いやはや、参った参った。

時々、こんな意見に巡り会えるから、
やっぱり、アメリカのカレッジっておもしろい。


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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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