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息子、初のお泊まりキャンプ・下

いよいよ、息子のカルリプケンキャンプも最終日。
金曜日のこの日、正午から閉会式を行い、解散、という流れ。
ところが、スケジュールをよく見ると、午前中にも練習試合を1回やるらしい。
「見にいってもいいですか?」
と事務所に問い合わせると、「ぜひぜひ、どうぞ」 とのこと。
そんなわけで、朝7時半に家を出て、ハイウェイをぶっとばして、アバディーンまで出掛けたのだった。

見事な球場設備をフラフラしていると、息子たちのチームを見つけた。
なんか声を掛けて良いものかどうか、一瞬迷ってしまった。
みながスパイクに履き替え、練習試合のある球場へと移動していく。
息子は、スパイクの紐がなかなか結べなくて、きっちりやっているうちに、仲間から大きく遅れ、1人ぼっちで大きなバットバックを担ぎながら、その球場へと歩いていくのだった。
一人ぼっちの姿がちょっと痛々しくて、心配で、見たくないような、見ていてやりたいような。
それでも仕方なく、ついつい、その後ろを着いていってしまった。
途中見つかりそうになって、思わず隠れてしまった。
……って、私、いったい何をやってんだろう。
あまりに愚かな母ちゃんなのだった。

試合は、息子たちの Reds と、ライバルの Pirates の間で行われる。
この2チームは、これまでに2試合戦っているが、さすがは、初日にレベルチェックを行ってチーム分けしただけあって、一勝一敗、という結果だったらしい。
そうこうするうちに、息子に見つかってしまった。
「俺、これまでの2試合で出っぱなしだったから、今日は2イニングほど、ベンチで休憩だからね!」
わざわざ教えてくれる。
というか、いつも控え選手に甘んじている、と誤解されたくなかったんだろうな。

打順もぐるぐると入れ替えるそうで、この日は11人中10番目。
確かに息子に前もって一言聞いていなければ、「打順10番の控え選手」 = 「ああ、トラベルチームの苦悩再び!」 ってな感じで、母ちゃんはまたしても、深く悩んでいたことだろう。

さて。
試合が始まった。
相手の先発ピッチャーは、マイケル。
息子のルームメートだ。
親は夫婦で試合観戦に来ている。
コネティカット州から、わざわざ大変ね、と声をかけると、「私たち、1週間、こっちにホテル住まいなの」 だって。ひえええ。驚いた。息子を5泊6日のお泊まりキャンプに入れておいて、夫婦で羽根を伸ばすこともなく、野球キャンプの地元のホテルに宿を取り、毎日、息子の様子を見に来てるんだって!
ここにもいたな、野球バカ夫婦! って感じ。
案の定、マイケルはせっかく好投しているのに、キャッチャーが下手で、ストライクのボールすら捕れず、パスボールでばしばし点数が入る様子に、マイケルパパは怒り心頭。
もはや声を掛けられる雰囲気でもなくなっちゃったのだった。

一方、息子は打順10番ながら、初打席はセンター前にポテンヒットとはいえ、一応、センター前ヒット。2打席目は、ライト越えかと思わせる流し打ち。チームメートの半分が三振や内野ゴロに倒れまくっている中で、なーんだ、打ちまくってるじゃん、と私はほっとしたのだった。
もっとも、あとで息子に聞いたら、その前の2試合は、ファーボールが多かったこともあって、ノーヒットだったらしく、毎日打ちまくっていた、というわけじゃあなかったらしいが。
おまけに、途中でマウンドにも登った。
ものすごく球が走っている、というわけではなく、レフト越えの長打を1本打たれてしまったけれど、あとは外野フライ1本と、いくつかの内野ゴロ。内野ゴロは、エラーがいくつかあって、2点失ったものの、そう悪いピッチングではなかった。
レフト越えの長打は、2ストライクまで追い込んで (それも、2ストライク目を内角高めにものすごく絶妙な形で決めていたにもかかわらず)、そこからど真ん中に投げたもんで、見事に引っ張られた。
バ、バカめ。

息子より1~2歳大きい子という話だったが、息子もちゃんと負けずにプレイしており、打撃も決して周囲に見劣りしないし、ピッチングでも、あまりに遅くて目も当てられない、というほどではなかった。
本人も自信がついただろー、とちょっと一安心。

相変わらず、ベンチでほかの子と絡んでいる光景はあまり見られなかったけれど、それでも、時々、笑顔で談笑している姿もあった。
これまた、一安心。

さて、試合が終わって、いよいよ閉会式。
各チームから優秀選手賞の発表があった。
「こういうのに、ウソでも、ぽんと選んでもらえたら、息子なんか単純だから、『母ちゃん!来年も行きたい!』 なんて言うだろうになあ」
などと、身勝手なことを考えていたら、なんとなんと、ホントに息子の名前が呼ばれて驚いた。
24チーム300人から選ばれた24人には、それぞれ、スポンサーのゲータレード (スポーツ飲料会社) から、Tシャツやタオル、水筒と賞状が送られた。

blogprize.jpg
(息子も含め、背番号は全部3か7か8。これは、カルリプケン、カルリプケンジュニア、ビルリプケンの親子3人の背番号らしい)


それから、司会者が、

「さあ、君たちには、メジャーリーグの選手が最初に体験することを、やってもらおう。初めてメジャー入りした選手が最初にやられるのが、パイを顔にぶつけられる、ってヤツなんだけどね……」

みれば、まっ白なクリームパイが20個以上並んでいる。
ひええええ、息子はああいう、ベタベタとか、ドロドロとか、大嫌いなのだ。
あかん、これで一気に、このキャンプのことが嫌いになっちゃうぞ……。

思わず、ガーン、とショックを受けていたら、司会者の言葉はこう続いた。

「ということで、君たちには、僕の顔に、パイをぶつけさせてあげるよ!」

さて、子どもたちは大喜び。
みるみるうちに、白いパイ人間が出来上がった。
なんと盛り上げるのが上手なんだろう。
ちなみに、白いクリームは、シェービングクリームであって、ホイップクリームなんかではなかったらしい。
なるほど~。

blogcream.jpg



ということで、無事、息子のキャンプが終わった。
チームから、優秀賞に選んでももらった。
なんと息子によると、300人の参加者の中から、7人ほど選ばれて、「カルリプケンリーグの世界シリーズ」 のコマーシャル撮影にも参加させてもらったらしい。

「えっとね。カルリプケンとビルリプケンの2人が話していて、俺等子どもが、『イエーイ!』 とか叫ぶの」

息子によると、そんな単純なコマーシャルらしく、メジャーリーグチャンネルで週末に放映されるらしい。
息子は、「野球が上手な子が選ばれた」 と信じているらしいが、それはいくらなんでも、厚かましすぎる。思うに、「世界シリーズ」 のコマーシャルだし、多種多様な民族・人種の子どもが選ばれた、ってことだったんだろう。
なんだかんだと、アジア人はほかにいなかったらしく、マイノリティーだということで、結構おいしい思いをさせてもらったらしい。

ほかにも息子は、いくつか楽しかったことを報告してくれた。

曰く、「あのね、母ちゃんが来たカムデンヤードで、あの後、オリオールズの上原投手を見たんだよ!」

なんでも、子どもたちがランチを食べていたら、上原投手がほかの数人の大リーガーと一緒にランニングをしていたんだそうだ。
故障者リスト入りしてるから、ボルティモアに残っていたってことなんだろう。

「それでみんなが、『Koji, Koji !!』 って叫びだしてさ。『誰か日本語しゃべれるヤツいないか?』 って誰かが言ったから、『俺、しゃべれるよ』 って言ったの。そしたら、『サイン下さい、って日本語でなんていうの』 って聞かれたから、教えてあげた」

だって。

「1人の人は上手に、『ウエハラ、サイン、ク~ダサイ』、って言えたんだけど、これを真似した次の子が、『ウエハラ、サイン、クッサーイ!』 って言ったから、俺、大笑いしちゃった」

だって。
なんか、楽しそうじゃないか。
それに、上原投手に会えるなんて、ああ、本気でうらやましい。
手を振ってもらったらしい。
ああ、上原投手さま、ありがとうございます。

ほかにも、ルームメートのマイケルは冷房が入った部屋なのに、「暑い」 といって上半身裸で寝てたとか、ジャックは野球のユニフォーム姿のまま、バットを抱いて寝てたとか、いびきがすごかったとか、ジャックのいびきを止めようとして、ジョシュアと2人でああでもない、こうでもない、と手をたたいたり、色々作戦を立てたとか、部屋では部屋で、それなりに楽しくやっていたみたいだ。

おまけに、キャンプに参加してもらえたプレゼントがこれまたすごい。

新品のバットバック。
スパイク一足。
野球ズボン1本。
野球Tシャツ3枚。
カルリプケンリーグのロゴ入りキャップが1個。
キャンプ中のチームキャップが1個。
カムデンヤードで撮った数枚の写真と、カルリプケンのサイン。
それぞれの選手のバッティングフォームを撮影し、カルリプケンのフォームと比較しながら、コーチがコメントしてくれたDVD一枚。

もう、これでもか、これでもか、のお土産三昧。
はっきり言って、親の立場にしてみれば、お土産なんかいらないから、キャンプ費用をもっと安くしてくれ、って感じ。

でもまあ、ここまで楽しい体験ができて、カムデンヤードでプレイまでできて、優秀賞までもらって、おまけにコマーシャルにまで出演できて、お土産三昧で、それでもなお、「やっぱり行きたくなかった」 なんて言わないだろう……と母ちゃんもタカをくくっていたら、甘かった。

「もう1回行きたい、って感じ?」 と聞いた私に息子は即答。

「ぜんぜん!」

はぁ?
はぁ~?

息子によれば、こうだ。
「夜、やっぱり、寂しくて、俺、泣いちゃったよ」

ジャックのいびきがどうとか、ジョシュアのおならがクサイとか、友だちと大笑いした後でも、布団にもぐり込めばやっぱり、寂しくて、泣けたんだという。

でも、息子がほんとにつらかったのは、寂しいことだけじゃなかったらしい。

「俺、やっぱり、アメリカの食べ物はダメ。朝食なんか、トーストはあったけど、まずくて食えないし、シリアルはあったけど、赤とか青とか緑とか色がついてて気持ち悪いし、牛乳はあったけど、ローファットや脂肪2%で、ホールミルクはなくて、まずくて飲めないし、結局フルーツちょっとしか食えなかった。で、いつも腹減らしてた」

「夕飯も、ピザパーティーの日は自分のお金でピザを注文できて、これはうまかったけど、あとはタコスくらいかな。ほかは、パスタだっていうから期待したら、肉団子パスタで、肉団子はフリーズドライみたいだし、パスタはべちゃべちゃだし、すげえまずかった。だから夜中もずっとお腹が空いて、気分が悪くて、吐きそうだった」

うーん。
どうやっても乗り越えられない、食文化の違い、というヤツか。
それにしても、2%のミルクまでダメとは、いくらなんでもワガママ過ぎないか?

さらにさらに。
息子が大変心配していた、「ウォシュレットなしのトイレで大丈夫か?」 問題については、もっと大変なことに、「俺、最初の3日間、一度も大きいのが出なかった」 だって。
まともに、朝も夜も食べないので、出るものすらなかったのか。
それとも緊張のせいで、超便秘になっていたのか。
いずれにしても、なかなか、つらい暮らしだった、ってことなんだろう。

なんと軟弱な。
情けない。
でもまあ、それも含めて、良い経験だよな。

そもそも、すっかりキャンプが気に入って、「来年も行きたい!」 と言われても、こっちのお財布事情が許してくれなさそうだし。
とにかく。
それでも5泊6日、行って帰ってこられたのだ。
それで良しとして、ほめてやることにした。

帰り道、たくさんの子どもたちに、息子は声を掛けてもらっていた。
みんな、ちゃんと息子の名前をきれいに発音してくれていた。
「あんた、人気者じゃん」 と言ったら、
「日本人で物珍しいからか、みんな話しかけてくれた」 だって。
こういうところ、アメリカっていいなあ、と思う。
ほんと、ありがたいなあ、と思う。
違うことを、大事にしてくれるから。

「そうそう。母ちゃん。キャンプで会った子に聞いたんだけど、なんか去年のカルリプケンキャンプには、イチローの子どもが来てたんだって。で、俺も、レッドソックスの斉藤隆投手の子どもなの? って聞かれちゃったよ」

イチローの息子さん、って何だよ、それ?
私の知る限り、イチロー選手って、子どもがいないはず。
で、イチロー選手が 「息子」 と読んでいるのは、実は、愛犬 「一弓」 のこと、という話題もあったっけ。
犬が来たのか? もしかして。
んな、アホな。
でもまあ、イチローの息子も来たキャンプに参加した、と思いこめるのも幸せなのかも。
しばらく黙っていようっと。

追記:
アメリカに来て以来、コメント欄にコメントをいただいても、お返事は書かないというルールでブログを運営しております。ネット環境も不安定なので、ビミョーなやりとりになると、しかるべきタイミングできちんと返事をできない可能性があるからです。
そんなもので、追記の形ですが、先日の、ケン様のコメントは、日本のリトルリーグや野球の様子がよく分かって、とても勉強になりました。
ちょうど今、日米の少年野球について色々調べている最中なので、とても参考になりました。感謝です。
以前のコメントで、リトルリーグの世界大会の話もご紹介くださいましたが、今年は同じ時期に、カルリプケンリーグの世界シリーズもあるようで、カルリプケンのほうが我が家から距離的に近いこともあって、今回はこちらに行ってみようかな、と思っております。
また、ご報告しますね>ケン様および、野球なみなさま。

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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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