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2005年のメッセージ集 前編

2005年にいろいろな人を取材して、いただいた言葉を引用してみます。
迷える若い人たちの役に立てば、とこっそり記事に織り込んだ言葉たちです。
( )の中は、引用に際しての注釈です。

■2月1日夕刊「ニート対策最前線 ヤングジョブスポットを訪ねる 」より。

 若者に交じって、ここ(ヤングジョブスポット)の職員の狩野さんが熱っぽく語っているのを見つけた。「僕は漫画家になりたかった。でもどうしたらなれるかも分からず、結局、家族に勧められ、今の職場に就職した。だから、その時は何の積極性もなかった。ところが職場で先輩職員が必死で若者に就職先を探す姿を見たり、若者が就職の報告に来るのを見て、なんてすばらしい仕事だと心から思ったんだ」
 へえええ、と周囲の若者が目を丸くする。本当にやりたいことを見つけてから就職するもの、と思い込みがちな今の若者には、新鮮な話だったようだ。
 若者の就職支援がしたくて昨年、仕事のかたわらキャリアコンサルタントの資格も取ったという狩野さん。「世間の人は彼らを『ニート』とひとくくりにするけど、僕はここに来る人を『ニート』とひとくくりには呼びたくない」と強い口調で言った彼の気持ちが、私にも少し分かる気がした。
 「若者は甘えているだけ」と言う前に、大人にできることはまだあるのかもしれない。私たちは仕事の喜びを若者に自分の言葉で語ってきただろうか。

■3月28、29、30、31日夕刊連載「この人 この時 水谷修さん」より。

「自分病」の子供たちにはこう伝えます。「僕も昔は君と同じようにリストカットをし、孤立していた。でも自分のことばかり考えるから苦しいんだ。水谷の生徒になりたきゃ、誰かに優しさを配ってごらん」

「死にたい、消えたい」という子供が一方で僕に「死なないで」という。僕は「死は恐れるものでも闘うものでもない。ただ、誰にもいつか来るものだよ」という。
 少年時代にはあんなに怖かった死が、今は怖くない。僕が変わったのは初任地の養護学校での体験が大きかった。筋ジストロフィーの生徒たちが目の前で死に近づいていく。倫理を教える社会科教員の僕に子供たちが問う。「先生あの世って何」「死んだら僕はどこに行くの」。きつかったな。
 「死も生も選べないものだけど、少なくとも今、君たちも僕も生きてる。そのことを大事にしよう」と言い続けた。これが僕の原点。

 子供たちが頼っている水谷は、実像ではないよ。世の中に欠けている「優しさ」を僕の中に見るから、子供たちは水谷を求める。でも「優しさ」は本当はどの人間にもあるんだ。表し方や表す量が違うだけ。子供たちにはこう伝えます。「水谷はどこにでもいるし誰の中にもあるんだよ」

■3月31日 署名コラム「編集部から」より。

 「ニート」研究で有名な東大の玄田有史助教授の「14歳からの仕事道」(理論社)を読んだ。中学生向けのキャリア教育本だ。「やりたいことが分からなくてもいい」というメッセージがとてもいい。
 世の親は理解たっぷりにいう。「おまえのやりたいことをやれ。好きなことを見つけろ」。確かに家業を継げとか地元就職しろとか命令されるのもツライが、「好きなことを見つけろ」も結構ツライ。だって10代で「好きなこと」を見つけられる人なんてほとんどいないから。
 就職活動の手前で「やりたいことが分からない」と悩むきまじめな若者たちを取材し、「好きなこと」幻想にがんじがらめにされている感じがした。玄田助教授は去年のインタビューで言ったっけ。「ナンバーワンよりオンリーワン、なんて言うけど、オンリーワンになるほうが難しい時代なのにね」。同感。

■5月23~26日夕刊連載 「この人この時 平原綾香さん」より。

 思春期って誰もが悩む時期でしょう。私も学校に行きたくない日々がありました。でも自分に負けたくなかったから、意地でも登校したっけ。あの日々を乗り越えたから、デビューできたし、今の私がいる気がします。
 「ジャンプするにはしゃがまなきゃいけない」って言葉、知ってます? 苦しい時は「私は今しゃがむ時期なんだ」って思うの。「神様は試練は与えるけど、苦しみは与えない」という言葉も好き。苦しいのは勝手に人間が苦しんでいるから。つらい時、この言葉を思い出すと「もうちょっとがんばれる」って思える。
 強くなろうとしているわけでも我慢しているわけでもない。ただ前向きに生きたい。それだけ。
 それに消したくても心の傷は簡単には消えない。だから私は無理に傷を癒やそうと思いません。だって、革のかばんや服と同じ。人間だって傷つくほどに味が出るから。つらかった過去を悲劇のヒロインみたいに語ったりもしたくない。誰にも言わず、思い切り心の奥にしまっておいて、人間の「味」にするの。

■6月22日 「3歳児15万人の定点観測 子どもが変わったんじゃない、子育てが変わった」より。

 佐藤さん(NHK「おかあさんといっしょ」の元体操のお兄さん、佐藤弘道さん)の原風景は、地域の人々や祖父母らがいろいろな経験をさせてくれたアパート暮らしだ。自分の父母が近所の子供に分け隔てなくご飯を食べさせてやるのも見て育った。「だから僕は、親だけで子育てをしないほうがいいと思う。学校には学校、地域には地域、家庭には家庭にしかできないことがある。大人はもっともっと子供のために頑張らなきゃ」


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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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