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娘や息子を職場に連れて行こう、の日

もう1カ月近くも前の話なのだけれど、どこにも書く機会がなかったので、ここにエントリーとしてアップしておきます。4月第四木曜日は、Take Our Daughters and Sons to Work の日、でした。

*****************

朝テレビを付けたら、普段は大人ばかりのニュース番組のスタジオに、なぜか子どもニコニコしていた。アナウンサーの子どもだという。何これ、公私混同? と思ったら、年に1度の「Take Our Daughters and Sons to Work」(娘や息子を職場に連れて行こう)だという。

このイベント、女性団体が「娘に働く姿を見せよう」と提唱したことから、15年前に始まった。途中で、「息子」も対象に加えられ、協力する企業も増え、子どもに親の働く姿を見せようという、国を挙げての行事となったらしい。
今や毎年4月第4木曜日、何千万人もの子どもが学校を堂々と休み、両親や親戚の企業見学に行く。参加企業も大手だけで300万に上るとか。企業の側にすれば、たいした経費をかけず、将来の顧客あるいは働き手にアピールする絶好のチャンスだ。趣向を凝らし、自社製品や文具、お菓子などのお土産を配ったり、遠足や無料の親子ランチパーティーを開いたりしている。大企業になれば何千人もまとめて招待したり、大リーグの球場が球場ツアーを催したり、とにかく派手なことになっているのだ。

このイベントの趣旨は、アメリカの最も大切な価値観の一つ、Hard Working(勤勉に働くこと)を次世代に伝えること。アメリカでは、頑張って働いて成功した人が一番美しい。家柄や伝統が重んじられる欧州と違って、同じサクセスストーリーなら両親が貧しいほうが喜ばれるお国柄だなのだ。

そんなわけで、我が家でも今年は、息子が学校を休み、夫と一緒に「出勤」した。新聞社のワシントン支局なんて、小さな家族みたいな所帯なので、大した根回しもいらない。ちょうどこの日、夫はキャピトルヒルに用事があったので、息子を連れて行ったらしい。普段は許可書がないと入れない場所。ましてちょうどその時間、キャピトルヒルにオバマ大統領が来ていたらしく、一般見学者もすべてシャットアウト。

それなのに、それなのに! 入館証を持った夫の隣をちょこちょこ息子が一緒に歩いていても、警備の誰も何も言わず通してくれたらしい。ひえええ、そんなに定着したイベントだったのねえ!
息子によると、キャピトルヒルの地下には「地下鉄」が走っていて、周辺の政府関連のビルと地下でつながっているらしい。息子はこの 「地下鉄」 に乗れて大喜びなのだった。
 ……っていうか、私だって乗りたいよー。うらやまし~!!

ところで実は、日本にもそっくりなイベントが、国を上げて増殖中だ。
名付けて「こども参観日」。
でも、厚生労働省の次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定指針の一つで、目的は、「働くことの大切さを伝える」ではなく、「子育てと仕事の両立支援策」なんだって。

子どもに職場を見せたら、子育てと仕事の両立ができるようになるのかな、ちょっと不思議。これを実施している民間会社や地方自治体のホームページをあれこれ見た限り、一応、名目では「従業員の家族に仕事への理解を深めてもらい、従業員のやりがいにつながる」ということらしい。それって、「午前帰りも、休日ゴルフも、仕事なんだから理解してくれよ」ってことかなぁ。実は私も一度、新聞社に勤めていたころ、「こども参観日」として息子を会社に連れて行ったけれど、あれはあれで大変だった。息子は大喜びしてたけど、私は日ほとんど仕事ができず、おまけに途中で急きょ取材が入り、子どもの預け先を探し回り、夜中まで自宅残業する羽目になったんだっけ。

あともう一つ、日本だと同じことはできないかもなあ、と思ったのは小学校側の対応。
息子の学校も含め、たいていのアメリカの学校は、「見学できる職場がある人は学校を休んでいいですよー。でもお父さんやお母さんの職場に行けないみんなのために、学校では通常授業をやりますよー。すきに選んでくださいね」 というスタンス。去年は学校で居残り組だった息子によると、クラスの半分くらいの子が学校を休んだらしい。

これ、日本だったら、
「親の職場を見学できない子の心を傷つける」
「不公平だ」
などという意見が必ず出そうだ。
あるいは、学校を休ませた親から、
「通常授業をしたのでは、うちの子がその授業を受けられない。算数などの授業を先に進めないでほしい」
なんて声も上がりそう……。

だから日本でこの手のイベントを本気で定着させようと思ったら、民間団体が声を上げるだけでなく、結局、その日1日、全国で学校をお休みにしたり、見学する場所のない子のために、博物館やら美術館やらが見学プログラムを用意したり、国を挙げて配慮に配慮を重ねない限り、無理なのではないかしらん。

確かにこのイベント、なんだかんだ言っても、大人の事情にふかーく影響されちゃうことは確かだと思う。子どもにとっては色々な意味での 「格差」 が浮き彫りになる瞬間でもある。
実際、アメリカでは今年、このイベントはかなり地味だったらしい。何しろ100年に一度の大不景気だ。企業の側にも経費削減でイベントを縮小したり、取りやめたりする動きがあったし、そもそも、訪ねようにも訪ねるべき親の職場が、失業により消えてしまった家庭が何百万とあったのだ。

まあそれでも。
息子にとってみれば、自分がどうしていきなり異国に連れてこられたのか、どうして言葉も分からない学校にいきなり転校させられたのか、その原因となった父親の仕事というのはどういうものなのか、なんで自分の父親はアホみたいに馬車馬のごとく走り続けているのか、少しは考えるきっかけになったのかもしれない。
(いや、単に、「地下鉄に乗れた~」 と喜んで終わっただけのような気もするが……)。

でもそれならば、家事や子育ての合間に、ひいひい言いながら原稿書いてる私の職場 (つまり家) にずっと暮らしていているんだから、ちょっとは私の仕事も理解してほしいぞ。
私の顔を見る度、「母ちゃん。へへへ、『週刊ポスト連載打ち切り』……」 などと、私の最も恐れる言葉をぼそっとつぶやき、ニヤリと笑ったりするのだけは、あーん、やめてほしい!
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No title

お久しぶりです!そちらでは新型インフルエンザ大丈夫ですか?

職場に子供と一緒!は日本では難しいところかな?
何事も格差なしで同等に、平等に~~だもの。
次元が違うと思うけれど運動会の徒競走がいい例だと思うわ。

はじめましてっ


こんばんは*
中3の爆我(ばくが)と言います!
今日、小国さんの本を全部読ませて頂きましたっ\(^^)/

私も現在進行形で自傷をしています。今日も切りました。
まあ、血も全然出ないし、みみずばれになるくらいですけど
でも絶対に興味本位とかではないです。
自分が切る理由は、
人を憎んだ時や殺したいと思った時です。とにかくむかついた時です。自分気が強い方なので(^ω^;)
そんな感じです。

自分のことばかり書いてすみませんっ!

えーとっ子供に職場を見学してもらうんですか、、、初めて聞きましたっ!
良いですね*自分も母の職場によく手伝いに行きました。
親の働いている姿を見ていると何故か嬉しくなります\(^^)/


長文
乱文
駄文
申し訳ありません!

これでも言葉を選んだつもりですが、もし気に障ることがあれば言って下さい!

勝手ながらパスードを付けさせてもらいます。(7575)
貴重なスペースありがとうございました。

できればでいいので
返信待ってます。

http://pr1.prohoo.jp/610376

http://x109.peps.jp/miiiiiii
プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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