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イスとりゲームと大人の女

とあるパーティーにお招きいただいた。
親子で。
100人くらい、みんな日本人ばかり。
たくさんの子ども達。
おいしいお料理。
なーんとなく、リラックス。

余興は、イス取りゲームだ。

まずは、少年編。
といっても未就学児が中心で、さすがの息子は遠慮したらしい。
結構みんな必死でほほえましい。
最後に2人が残り、優勝者が決まった途端、最後の最後に負けてしまった男の子が泣きながらママに抱き付いたのは、予想通り。

次は少女編。
絶対に少年編より、熾烈な争いになるわよ~、と楽しみにしていたら、案外みんな大人しい。
なーんだ、まだまだねえ……などと思っていたら、お次は、

大人の男編

ははは、これはゆかいゆかい。
私が優勝候補と予想したのは、私のコーラス仲間のご主人。
余裕で勝ち抜いていくさまといい、身のこなしといい、片手にビール瓶を持って参加するその余裕といい、文句なしで優勝候補ナンバーワンだ!

……と思ったら、3人まで絞られ、2席を争うに至ったところで、妙に紳士的に 「どうぞどうぞ」 とほかの方にイスを譲って立ち去ったのだった。
おお、ああいう技もあるのか。
目から鱗。
派手なアクションで勝ち抜くと見せかけて、あっさりと優雅に他人にイスを譲って立ち去っていく。
おまけに引き際が心憎い。

2人に絞られてしまったら、もはや戦うしかない。
4人や5人の段階で他人に譲ったのでは、ちっともインパクトがない。
3人という絶妙なタイミングでさっさと優雅に立ち去っていくなんて。
おぬし、やるな~。

他人事で大笑いしながら観戦していたら、いきなり、

大人の女編 もやるという。

尻込みしていたんだけど、結局、あちこちに勧められ、参加することになってしまった。
やだなあ。
私は上手に、ほどほどに、流すということができないのだ。
まして、イス取りゲームだなんて。
勝てば勝つほどに、人数が減って、注目されて、恥ずかしい思いをし続ける、という究極の 「勝ちたくないゲーム」 じゃあないか。

さて。
音楽スタート。
参加者は15人くらいいる。イスはたぶん10脚くらい。
最初の勝負はなかなか厳しい。
ちょうど、目の前にイスがないタイミングで音楽が止まった。
じっとしていれば良いものを、気付けば身体が勝手に動き、いち早く、誰かの目の前のイスにあっさり座ってしまっている自分がいた。
あまりに素早かったために、イスの前にいる女性が当たり前のようにそのイスに座り、私の膝の上に乗ってしまったことに気付いて、ひえええ、と飛び上がっていた。

ごめんね。
イス取りゲーム、苦手じゃないのよ、あたし。

あとは、運が良いというのか、悪いというのか、イスが目の前にあるタイミングでいつも音楽が止まるものだから、すいすいと勝ち抜いてしまう。上手に目立たぬうちに負けてしまうタイミングをあっさり失ってしまった。
おまけに、息子から 「母ちゃん! 勝って、商品を取ってね!」 と声がかかったりするので、「何事にも一生懸命が大事」 と子どもに言い聞かせている母ちゃんの立場で、あまりだらしないことはできないのだった。

はっと気付いた時には、ありゃりゃ、残りは私と、コーラス仲間の2人きりになっていたのだった。
げげげ。
これじゃ、さっき、私が 「優勝候補」 と白羽の矢を立てた男性がやったみたいな 「優雅な退き方」 すらできないじゃん。
女と女の戦いなんて、勝ったらみっともないし、負けたら……やっぱり悔しい。
まいったなあ。

ちなみに、私ともう一人、勝ち残っていたコーラス仲間というのが、さっきの「優雅に退いた優勝候補」の男性の妻だった。
実は、イス取りゲームに強い夫婦と見たぞ。

その時だ。
我らが「優勝候補」の男性 (つまり、私と一緒に勝ち残ったコーラス仲間のご主人) が冗談めかしながら、「俺も参加しようっと」 と乱入してくれた。
さらに、別の男性を引っ張ってきて、「やりましょやりましょ」 と総勢4人で1つのイスを争う形にもっていってくれた。

さすがは妻思いのご主人だー。
あるいは女性思いの男性だー。
こういう時、2人で戦って、勝つのも気まずいが、最後の最後に負けるというのも、結構ビミョー。
どういうリアクションをすれば良いのか、なかなか難しいもん。
男の子がさっき泣いたの、分かるよ。
きっと愛妻が気まずい場面に出くわさなくて済むように、という心憎い助け船だったんじゃないかなぁ。
(単なる 「参加したがり」 だったりして……いや、そりゃないよな)。

そんなわけで、男性陣の気遣いのお陰で、男女4人による決勝戦となった。
見れば息子がさかんにブーイングしている。
間違いない。
2人の男性が入ったことで、勝率が落ちたことに腹を立てているのだ。
アホだなあ。
まだまだ男女の機微というもんを知らないなあ。
この場面で、飛び入り参加した男2人のどちらかが、女性をはねとばして、優勝のイスに座るわけないのに。

なーんてことをツラツラと考えながら、イスの周りをぐるぐる回っていたら、たまたまイスの前にさしかかったところで、音楽が止んでしまった。
反射的に座ったところで、優勝決定。
あああ、やってしまった。

イス取りゲームに勝ち抜く大人の女って、どうしてこんなに見苦しいのかしらん……。
とほほ。
こうして勝ち取った商品は、サランラップ2本。うち1本は懐かしい日本製品だった。
えへへ。

あとで息子に言われた。
「あの男の人たち許せない。ずるいよね。途中から参加するなんて」
思わず、あのねえ、と説いてしまった。

「ああいう場面では、男性は、絶対に勝たないと決まっているの。母ちゃんはあの瞬間、勝利をむしろ確信したよ。女2人だったら、母ちゃんがカバーできる範囲は、イスの周囲360度のうちの半分、つまり180度だけだけど、母ちゃんの前後に男性が入ったことで、母ちゃんは90×3、つまり270度のカバーの範囲内で音楽が止んだら勝てる、と計算したもの」

一応、息子に360度と90度の概念を教えるつもりの、口から出まかせだったんだけど、ふと思った。
まさか、私、無意識にそんな計算をあの時、していたのかしら。
だったら、私って、ああ、サイテー。

なんか妙に自己嫌悪の募る 「優勝」 なのだった。
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ははは。楽しく読ませていただきました。優勝おめでとうございます!
しかし、「優勝候補」の男性の心遣いには、うならされました。
そういうことがサラっと出来る男性ってステキだなぁと思いますが、
「救われた」立場のおぐにさんだから、心遣いに気づいたのでは?
その他大勢のみなさんには、そこまでスマートには映らなかったかもしれませんね。
プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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