スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2年目のハロウィーン 前編

息子は去年のハロウィーンの前日、現地校に転入した。
翌日のハロウィーンの日には、学校でパレードがあった。
右も左も分からぬまま、とりあえず、コスチュームだけはお友達にお借りしたものを来た。
NASAの地上職員が着ている、という、青い上下のつなぎに、帽子。
息子のパレードの写真は、ない。
なぜなら、私自身が右も左も分からず、パレードの時間も分からず、すっかり遅刻したから。
パレードが終わった後の、教室でのゲーム大会だけ、見学することができた。
まったく分からない言葉が飛び交う教室で、息子の顔に張り付いたような、凍り付いた笑顔が痛々しかったっけ。
あの日のことを、息子はふと思い出し、今日、こう言った。

「英語も全然分からなかったのに、よく、あそこにいられたもんだよなあ」

しみじみとした表情で。
遠い日を思い出すみたいに。
ああ、息子は成長したのだなあ、と思った。

ハロウィーン2年目の今日。
つまり、息子が現地校に行き始めてちょうど1年が過ぎた記念日にあたる今日、私は、今度は遅刻せず、学校のパレードを見に行くことができた。私だって、この1年で成長したのだ。
息子は、野球のトラベルチームのユニフォームに、野球のボールの結構怖いかぶり物をかぶり、元気良く、友だちとパレードに参加していた。
(野球坊主が息子。その後ろのニンジャが、アメリカでできた最初の友だちファーイク君)

blogween.jpg

教室のパーティーでも、終始、楽しそうだった。
今回の企画は、帽子の中に入ったくじを引き、くじに書いてある命令をみなの前で実行する、というゲーム。数個だけ、「treat」 と書いた当たりくじがあって、これを引いた子はお菓子をもらえるのだ。
くじを引いたら、まず、みなの前で、書いてある内容を大きな声で読まねばならない。

クラスメートたちがくじを引いていく。
「飛行機のマネをして教室じゅうを走り回る」。 これをファーイク君が難なくこなした。
「オペラ歌手みたいに歌う」。 恥ずかしそうに女の子が頑張っていた。
「ジョークを言う」。 一人の子が自分の作ったジョークを披露し、拍手喝采を受けていた。
こんな高度なゲーム、息子に可能なのかしらん。

と、息子の順番が回ってきた。
教室から、「You can do it !」 と声援が飛ぶ。
息子が、つまりながら、どうにか紙を読み上げた。
(後で息子がのたまったところによると、読む時に何度もつまったのは、紙に書いた文字が汚かったためで、きれいに書いてくれてあったら、つまらずに読めたんだそうだ。ホントかしら)。
と、その途端、周囲の何人もの子が、頭をたたきながら、お腹をなではじめた。
どうやら、そういう 「命令」 のくじだったらしい。
英語の苦手な息子のために、みんなが身振り手振りで教えてくれたのか、それとも、ちょっと面白い命令だったから、ついつい、みんな自分でやってみたくなったのか、私にはよく分からない。
でも、息子はみんなのを見ながら、あっさり、頭を片手でたたき、もう一方の片手でお腹をなでたのだった。

笑いながら。
ほんとに、心から笑いながら。
緊張のかけらもない笑いに、私は心底驚いた。
そっか。
もう、これくらいじゃ緊張しなくても済むようになったんだ~。

去年から仲良しのインド出身のファーイク君だけでなく、アフリカン・アメリカンのティナンシェ君、ボリビアから来たばかりのケビン君とも、何だかんだと楽しそうにやっていた。
ちょっと感動。
いや、かなり感動。
というか、うん、ものすごーく、ほっとしたのだった。

ここまで来るには、学校側にも随分と協力してもらった。
夏休み前には、仲良しになりかけていたファーイク君と同じクラスにしてもらえないか相談に行った。日本だったらありえない相談だと思ったのだけれど、なかなか友だちができなくて苦しんでいる息子の現状を正直に話したら、親身になって力を尽くしてくれた。
9月のクラス替えでふたを開けてみたら、なんと息子とファーイク君は、同じクラスどころか、同じ班だった。お陰で、2人は今や一番の仲良しだ。

さらに、数週間前には、午前と午後の2人の担任の先生に面談を申し入れ、夫婦して話をしに行った。この国では、きちんと伝えるべき事を伝えたほうが、周囲から確実なサポートを得られる、というのがよく分かってきたから。
そこで、もう少しお友達の輪が広がるように手助けしてもらえるよう、具体的に色々な提案をしてみた。漠然と 「よろしくお願いします」 というのではなく、具体的にお願いしたほうが良い、というのは、ニューヨーク日本人教育審議会の教育相談室の先生にご助言いただいたことだ。本当に的を射たご助言だったと心から感謝。学校側はすぐに行動に移してくれた。
それどころか。
今日、学校に行ってみたら、息子が最近少し会話をするようになった 「友だち未満」 の数人が、見事に息子の席の周りに配置されていた。
息子は、自力で友だちをどんどん増やしている気になって、すっかり自信を付け始めたのだけれど、思えば、どれほどたくさんの人が協力したり、相談に乗ってくれたりしたことか……。

そんなわけで、1年間の歩みをしみじみと振り返ってしまった学校でのハロウィンだった。
夏休み明けの9月は、「サイレントピリオド」 (まったく英語を話そうとしない時期) とまではいかなくても、誰かに聞かれたことにうなづいたり、首を振ったりする程度で、自分から英語を話すことなどまったくなかったのだ。
この2カ月、学校でも野球でも、色々なことがズンズンズンと動き出した感じだ。

野球のない、寒い寒い冬はもうすぐだ。
去年の冬といえば、息子はいつも、眠る前になると、「ああ、このまま、目が覚めなきゃいいのに」 と言っていたのだっけ……。
今年の冬は、もっともっと、楽しいことを集めていこうね。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

泣けますね~。
もう、息子さんにも小国さんにもブラボーです。

アメリカでの滞在期間が何年なのかわかりませんが、間違いなく、息子さんを大きく成長させてくれることは間違いありませんね。

2年目突入、おめでとうございます。
プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
RSSリンクの表示
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。