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カープールにおけるチェンバロ事件

アメリカでは、習い事が日本以上に盛んだ。
アメリカでは、2~3人の子どもがいるのが当たり前だ。
アメリカでは、小学生が日本みたいに一人で電車に乗って習い事に行ったりできない。親の送り迎えは必至だ。

となると、つまり、どうなるか?
アメリカのパパとママは、子どもの数が増えれば増えるほど、あるいは習い事が増えれば増えるほど、長距離トラックの運転手のごとく、子どもをあっちこっちに送迎するしかないのである。

そこで、「カープール」 だ。
子どもが同じ習い事をし、かつ、近所に住んでいる親同士で、やりくりして互いの子どもの送迎を協力し合う。これ抜きには、2~3人の子どもを抱えた親が、それぞれの子に別々の習い事をさせてやることなんて、ほぼ不可能なのだ。

そんなわけで。
数日前、息子の野球のチームメートのママからメールが届いた。
「カープールしない? あさっての練習の後、息子のお迎えだけ一緒に頼めないかしら?」
何かとお世話になっているママだし、お近づきにもなりたかった私は、渡りに船で 「りょうかーい!」と返事を出した。

さて。本日。
生まれて初めての 「カープール」 というのに挑戦したよ。
なにぶん、運転が下手だから、よそさまのお子様を乗せて運転する、というだけでそもそも緊張するんだな、これが。
おまけに、息子は、「英語はしゃべれない」 とはなから決め込んで、サイレントピリオド(外国に行った後、そこの言語を自分から話そうとしない期間)の記録を更新中。車の中で、会話がまるでない、というのも気詰まりなもので、結局私がしゃべるしかないじゃない?

私    「ねえ、ザック。好きな野球チームって何なの?」
息子  「(日本語で) ヤンキースだよ。俺、知ってるもん」
ザック 「えーっとね、ヤンキース」
私    「ふーん。じゃあ、ヤンキースタジアムに行ったことある?」
ザック 「この前、オールスターを見に行ったよ。パパがチケットを取ってくれたんだ!」
私    「今シーズンで最後になるヤンキースタジアムのオールスターに行ったの? うらやましー」
ザック 「うん、もうすごかったよ。ペラペラペラペラペラ……」


なぜ、ペラペラペラ……、かというと、子どもが夢中になってしゃべり始めた途端、私は全然、何を言ってるか聞き取れなくなっちゃうからなんだなー。

そんなわけで、こりゃ、会話にならないぞ、とあきらめ、あとは私も無言。
しーんとした車内。
ああ、やっぱり、気まずい。
結局、耐えられなくて、またしても話しかける私。

私   「ねえ、ザック。学校の楽器プログラムでは、あなたはどの楽器を演奏してるの?」
ザック 「チェンバロ」
私   「ひえええ、難しそうねえ。チェンバロ……」

と、ここで息子が割り込む。

息子  「母ちゃん。違うよ。ザックは、トロンボーンって言ったんだよ」

………。
だよなあ。
子どもにチェンバロなんて、いくらなんでも豪華過ぎ。
高速道路を運転中で、雑音混じりだったとは言え、「トロンボーン」 を 「チェンバロ」 と聞き間違えた私の英語力って……とほほ。

そんなわけで、私の初のカープール体験は終わった。
「沈黙の車内」 が、何ともいたたまれなかった。
ザックを自宅で落とした後、息子に悪態をついてしまった。

「あんたさー。英語聞いててわかるんだったら、何かしゃべれよ。気まずいじゃないか!」
息子がむっとして言い返してくる。
「仕方ないよ。英語、しゃべれないんだもん。聞けるけど。それにしても、母ちゃん。なんで、トロンボーンをチェンバロと間違えたの?」

く、く、くやじい………。

さて、これには後日談がありまして。
チェンバロ事件がよほどおかしかったらしく、その夜帰宅した夫に早速報告する息子。

「ねえねえ、父ちゃん。母ちゃんがね、今日、ザックに 『どの楽器を弾いてるの』 って質問したの。で、ザックがね、こう答えたんだよ」

英語、話せないくせに、「トロンボーン」ときれいな発音で言う息子。
そしたら、夫が一言。

「ふーん。チェンバロかあ」

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ぎゃはは

すみません。声出して笑っちゃいました。
「チュウオンヴォーン」なのかな?

うまいっ

すごい、きれいにオチがついてる!(笑)
思わず「ぷっ」とふき出しました。
確かに子供の早口って、万国共通聞き取れないよね。
うちなんか、日本語でも聞き取れてないときが多々(笑)。

息子くん、かっこいいわーー。
「聞けるけど」って・・・。憧れる。

私なんか、聞けないけど喋る、で、ン十年。
#つまりは度胸だけ・・・(涙)。

サイレントピリオドにももうすぐピリオドかな。

落とし話

最後が締まりましたね。そうそうこんな話があった。うちの新聞社に伝わる「あてにならないもの3つ」。外信部の英語に、経済部の数字、政治部の政局のヨミ--。

これ、経験ありですゎ。
子どもの英語って聞き取れないですねぇ~容赦なくしゃべりますものねぇ~運転中ならなおさら、聞き取れないだろうな。

息子さん、英語をいっぱい溜め込んでいるんですね!
耳が柔らかい時期ってあると思いませんか?
あ、口のまわりの筋肉も。

我が家の話ですけれど、カープールの車内でやっぱりしゃべらない息子に「あなたがしゃべればいいことなのよ~○×△◎$」と、早口にまくし立てたら~乗っていた息子の友達のTくんが目を丸くして「castagnaって、速くしゃべれるんだねっ!?」と言いました。英語話す私は、いつもゆっくりだったから、驚いたみたいですw日本語なら速くしゃべれるのよぉ~ふふふ。

そのうち慣れるよ

うちの息子も近所のジムメートとカープールし始めた時、二人とも無言で初めのうちはちょっと気詰まりな雰囲気が続いていたけど、しばらくしたら打ち解けて大の仲良しになりました。その子にはベビーシターもしてもらっているし、犬の世話もしてもらうし、出会いとは不思議なものですよね。

おぐにがあまり気にしないで、カープール続けてみるのが一番だと思います。
プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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