というのも、7月4日の独立記念日を記念したオールスタートーナメントが行われるらしい。
この時期、本当に実力のある子は、すでにトラベルチームの一員として全然違うレベルの活動を展開してるわけで、いわゆるレクレーション目的で野球をやってる子の中から、「オールスター」 が選ばれるというわけ。
1週間前の週末に、「10歳以下」 のチームのトライアウトを受けに行った。
息子はちょうど10歳になっていたしね。
ところが集まってみたら、息子だけ頭一つ分、背が低いのだった。
ピッチングでは他の子と遜色ないのだけれど、やはりフィールディングとなると、圧倒的にうまい子が周りにいっぱいいて、選ばれるかどうかは、ちとビミョー、という感じ。
おまけに、15人くらい選ばれるものかと思っていたら、すでに半分の枠はなぜか埋まっているらしく、今回のトライアウトで選ばれるのは7〜8人、とのこと。
ギリギリセーフか、ギリギリアウトか、ってところか。
と、そんな時、その場にいた見知らぬコーチ風の男の人が声をかけてくれた。
「息子さん、誕生日はいつですか?」
息子の誕生日を告げると、なんと息子は 「9歳以下」 のくくりでも出場できるという。
野球チームの年齢の区切りは5月1日らしく、息子は実はその数日後が誕生日だったりするのだ。
その男性は、「9歳以下」 のチームの監督だかコーチらしく、「ぜひぜひ9歳以下でやってみませんか?」 という。
そんなわけで息子は昨日、 「9歳以下」 のトライアウトを受けたのだった。
集まったメンバーを見て、なんだか拍子抜け。
ほぼ息子と同じ身長。
「野球をやるぜぃ」 という気迫のようなものが、あまり感じられない。
もっと、子ども子どもしている。
よく見れば、息子のクラスメートやら、同じ学校で同じ学年の子がいる。
クラスメートのママは、学校でボランティアをしている関係で、うちの息子をすでに知ってたらしく、
「あららー、あなたが野球をやってるなんて、全然知らなかったわー!」
とびっくりしている。
こっちもびっくりだ。
息子のチームには、息子と同じ小学校の選手が3人だけいるが、どの子も息子より1学年上の4年生(新5年生) の子たちだ。もっとも息子は、年齢区分だけで考えれば、本来その子たちと同じ学年に入っていても不思議がないのだが、英語の問題もあって、一学年落として3年生 (新4年生) に転入した事情もあるのだ。
結局、同じクラスや同じ学年に野球をやっている子がうまく見つけられず、「野球を通して友だちづくり」 というようなことが全然できなかったんだけど、なんてことない、クラスメートの中に、野球をやっていた子がいたなんてねえ。
聞けば、息子のクラスメートたちは、年齢区分で一つ下になるリーグで活動していたらしい。
「うちの学校の子ばかりで作ったチームがあるのよー」 ということだった。
息子がちっとも、誰とも英語で話さないものだから、お互いにそんなことも良くわかってなかったんだそうだ。
それはそうとして、トライアウト。
まいった。
前週の 「10歳以下」 のメンバーが粒ぞろいだっただけに、「9歳以下」 のひどさには唖然。
ゴロ一つアウトを取れないような子もいれば、ボールをどこに投げて良いのかわからず、とんでもない所に送球しちゃう子もいる。
見れば息子はふてくされている。
「こんなチームじゃ、絶対に一勝もできないよ」 と。
なるほど。
子どもの1年とは、かくも大きいんだ……。
息子はわずか数日の差で、10歳のくせに 「9歳以下」 枠に収まってしまうわけで、つまりは、このチームで最年長、というわけだ。
それでも、コーチに相談したら、「9歳以下のチームでやるべきだ」 と力説された。
「10歳以下のトライアウトは枠が小さいし、息子さんはピッチングはいいけれど、フィールディングだとか全体の評価になると、絶対に受かるかわからない。それなら、間違いなくプレイできる所でしたほうがいい。その中で自信をつけていくことが大事だ」 と。
しごくごもっとも。
ということで、その日予定されていた 「10歳以下」 の2度目のトライアウトは欠席し、「9歳以下」 でプレイすることに。
息子も渋々納得した模様。
「9歳以下」 のトライアウトは、そもそも出席者が少なく、一人も落とせる状態じゃあない。
正直言って、この春に息子が戦っていた1歳上のリーグのレベルから見れば、一勝するのも難しそう……というような感じ。
どうなることやら。
おもしろいなあ、と思ったのは、コーチに保護者全員が集められて説明を受けていた時のこと。
「それぞれの子どものポジションを知りたいのですが。この中でピッチャーをやってる子はいますか?」
とコーチが尋ねた。
息子のチームメートのサムのパパが、「うちの息子は、やれます」 と答えた。
うちの夫も慌てて、「息子も投げます」 と答えた。
サムのパパが、新顔の私たちに気を遣って、「いや、ほんとに彼はいいピッチャーなんですよ」 と口添えもしてくれる。
その後はもう、すごかった。
ほぼ全員の親が、
「うちの子も投げたことがあります」
「うちの子も投げます」
「うちのもこの前の試合で投げました」
すごいじゃん。
このオールスターチーム、全員ピッチャーじゃん。
そんなわけで、試合形式の練習が始まった。
まずマウンドに立ったのは息子。
まあまあの出来。
次にマウンドに登ったのは、見知らぬ男の子。
投げるのを見て……唖然。
思わず、夫の顔を見たら、夫も、唖然としていたのだった。
なぜって、なんというか、ほとんどベースまでボールが届いてないんだもん。
コントロールがどうとか以前の問題。
もしかして、「うちの子、ピッチャーできます」 の内実ってこれ?
この国に来て、いつもおもしろいなあ、と思うのは、親が躊躇なく子どもをほめること。
謙遜、なんてこと、絶対にしないもんね。
「うちの子はビオラを弾けるのよ」 というから、「へええ。何年くらいやってるんですか?」 と聞いてみると、なんとなんと 「2カ月前から!」 なんて答が返ってくる。
それって、「弾ける」 って言う?
とにかく、この国の親たちは、「うちの子は、あれも、これも、それからあれだって、やれるのよ」 とばかりに、子どもを周囲にアピールするのがうまいのだ。
これは、子ども自慢だけでなく、自己アピールにも同じことが言えるらしい。
知人にテニスの非常に上手な日本人ママがいるんだけれど、「最近はもう、『私、テニスがうまいの。ぜひぜひお手合わせを』 とか言われても、実際に実力を見るまで絶対に信用しないことにしてるの。たいてい下手だから」 なんて言っていたっけ。
なんて、こんなことを書くと、この国の少年野球のレベルが疑われそうだから、はっきりと断っておくけれど、こういうのはレクレーション目的のチームでの話。セレクションで選ばれた子たちの世界になると、これまた全然違う風景が広がっているのだ。
この国のすごいところは、うまい子はどんどん上を目指し、その受け皿が無限にある、ということ。実力があれば、どこまでもはしごを上ってゆける。
というわけで、次回エントリーでは、トラベルチームの試合を見に行った時の話を書こうと思う。
