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チベット問題をめぐるあれこれ

カレッジの春期授業が終わってしまって、自由時間が増えたので、久しぶりに行きつけ以外の別の図書館主催の英会話クラブなんぞにも顔を出してみた。
いわゆる英語を学ぶ外国人向けに無料で開かれているもので、ボランティアのアメリカ人が会話相手となる。

これまでにも、ヒロシマ・ナガサキ問題やら、パールハーバーやらをテーマに議論を吹っ掛けられ、ネイティブ相手にヒイヒイ言いながら説明したり、議論したり、してきたわけだけど。
最近は、中国をめぐる議論が増えてきた。

やっぱり、五輪の前だし。
おまけに、チベット、だし。

だいたい最初に議論を吹っ掛けるのは、自由を愛するアメリカの人たち。
「チベットの独立、なぜ認めないんだ?」
なにしろ、もともと 「コミュニストの国=人権侵害=中国」 という先入観があるうえ、他国に開拓者を多数送り込み、最後は反乱を起こしてアメリカの一部にしちゃう、という手法で領土を拡大してきた国の人だけに (テキサスしかり、カリフォルニアしかり)、心情的にもチベットに肩入れしちゃう人が多いんだろう (そう単純でもないんだろうけど。)

先日は、アメリカ人ボランティアの一人エドが、よせばいいのに、「中国共産党の公式見解が我が意見」 みたいな中国人のハイディにそんな議論を吹っ掛けちゃったもんだから、私は内心、「あっちゃー」 っと思ったのだった。
日頃は英語が流暢なハイディが、一瞬口ごもってるので、なんだか気の毒になって、

「いや、中国政府にも色々問題はあるけど、チベット問題の報道のあり方ってちょっと一方的過ぎるかもね」

なーんて灰色見解を、助け船のつもりでつい口にしてしまったら、ハイディが一言。

「ちょっと、ですって? 『ちょっと』 じゃないわよ。ものすごい偏向報道よっ!」

それから10分間、ハイディの独演会。

「ダライラマは正式なチベット人民を代表する存在じゃない。単なる一宗派に過ぎないんだから、政府がダライラマと話し合う必要なんかないわ」
「英国政府はアイルランドの独立を喜んで認めた? エド、あなたはIRAを良しとするわけ?」

ひええええ。
激しい。なーんだ、助け船なんていらなかったのねえ。

さあ、そろそろ、英語力という圧倒的なアドバンテージを持ったエドが、攻勢に転じるか……と息をひそめて見守っていたら、エドはあっけらかんとこう言う。

「へ? チベットって、中国の領土の一部だったのかい? 最近になってチベットって国を中国が侵略した、とかそういうんじゃないの? なーんだ、そうなんだー」

………。
エド。
そんな状態で、中国共産党を固く信じる彼女に、議論を吹っ掛けないでよー。
ハイディはエドと議論するのがバカらしくなったのか、今度は私一人を相手に延々と主義主張を大展開してくれて、聞き役に回った私はすっかりつかれたのだった。

そんななかで、おんなじテーブルでこれまでずっと黙って議論を聞いていたペルーからの移民夫婦が、ぽつりと一言。

「……で、ダライラマって誰?」

どっひゃーん。
ハイディも、これにはさすがに呆然。
この爆弾発言で、チベットをめぐる議論はお開きとなったのだった。

で、お次は本日の出来事。
ルーマニア、ブラジル、アルゼンチン、ナイジェリア、中国、日本 (これは私ね) の出身者で、お互いの国の民族衣装について話し合っていた時のこと。

いきなり、ルーマニアのおばちゃんが、中国人のばあちゃんに対して、こう言ったのさ。

「中国の民族衣装って、ダライラマが着てる、オレンジのドレスでしょ?」

のんのんのーん!

と、焦りまくるのは、ほとんど私だけ。
ものすごく固い表情で、「ノー」 とだけ言い切る中国のばあちゃんの目がちょっと怖かった。

人の振りみて我がふり直せ。
教訓1。「もっともっと世界を勉強しなきゃ」
教訓2。「生半可な知識で、タッチーな議論に飛び込むのはやめよう」
教訓3。「英語力で負けてても、知識力で勝っていれば、議論に勝てる道はある」

たくさん新聞を読んで、たくさん本を読もう、とあらためて痛感する42歳。
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ははは、そりゃ、相手側の知識が低すぎるわな..。

それにしても、世界というか、
一般的な認識?ってそんなもんなのかしら?

うーみゅ、偏見とか、洗脳って簡単にできちゃいそう..
って感じで怖いですわね。
プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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