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★きみの友だち(著・重松清)

★きみの友だち(著・重松清

うんざりするくらい名作。
10代、20代のどんな人にも安心してお勧めできる本。
テーマは、友だち。
「みんな」とは誰か。一人でいることとは?
大人の語り手を設定し、物語に登場する子どもたちを、順々に「主人公」に仕立てて、「きみ」と呼びかけ、「今度はきみの話をしよう」と物語を進めていく。

一見クールで冷たく見える女の子が、心の中でどれほどの葛藤を乗り越えてきたか。
おとなしいだけの病弱な女の子が、実はどれほど豊かな内的世界を持っているか。
クラスで一番人気のある女の子の金魚のふんみたいに必死で話を合わせてる調子者の女の子が、どんなに脅えながら毎日を過ごしているか。「みんな」に所属するためには、どれだけ卑怯なことをできてしまうのか。でも一方で、その後、どれほど後悔を引きずるのか。
いじめを受けて転校したばかりの少女が「性格まで変えられてしまった自分」をどう引き受けて生きているのか。
勉強もスポーツもできて何の劣等感とも縁がないように見える少年が、挫折した時にどんなにもろいか。でもそれをどんな風に乗り越えていくのか。
一方、勉強もスポーツもできず、卑屈で、後輩に威張り散らすだけのイヤな少年が、どんなに切ない思いで自分と周囲を見据えて、それでも自分の弱さと向かい合っていくのか。

どの女の子や男の子の中にも、読者は自分に似た何かを重ねるだろうし、どの子も等しく「主人公」にしてあげた筆者のあたたかい眼差し自体が、この本の救いにもなっているんだろう。
いわば「みんなちがってみんないい」の金子みすずワールド(あるいは、相田みつお、か)を、小説世界で実践しちゃった、とでも言いましょうか。

べた褒めではあまりに悔しいので、いくつか、ひっかかった点も。

一番の主人公である「松葉杖をついた少女」が大学生になり、中学生時代の弟やその友だちたちと絡む場面で、この大学生が超然として人間ができすぎている感じがした。中学生たちの葛藤の物語のここぞ、という場面で、常に「超然とした存在」として大学生のお姉さんが出てくることに、ちょっとした違和感があった。

あともう一つ。
極めて凝った作りになってるこの小説。お見事だけど、最後の最後の最後のシーンの4行は、ちょっと格好良すぎて、読後感を無理にさわやかにまとめようとしているみたいで、好きじゃなかった。
ハッピーエンドは、決して嫌いじゃないはずなのだけど。

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移転ごくろうさまです。爽やかな雰囲気でいいですね。
私もこの本、気に入ってます。立ち読みしてたら気に入ってワリと出版直後に買ってしまったんですけど、それから何回か読んでます。
語り手の呼びかけが、何か優しい声が聞こえてきそうで好きです。
内容もいいですよね。登場人物みんなに愛着が湧くというか、愛しく感じます。

あめ◎さん。

何度も読んでるんですか! それはすごい。

>登場人物みんなに愛着が湧くというか、愛しく感じます。

うんうん。「みんなが主人公」というのを、小説で実証してみせた、という意味でも、すごい小説だと思いました。

姪に買いました

畑のうららです。
ここで読んで、中1の姪に買いました。
送る前に私が読んだんだけど、すごく良かった。
小2のムスコや1歳のムスメもこれから入っていく世界なんだなぁって思うと、
切なくなったりして。
そして、渦中の姪が読むにはちょっと辛いかなぁ、とも思いつつ
思い切って今週末送ります。

紹介してくれてありがとう!

うららさん。

思春期の子へのプレゼントかあ。なるほどー、いいかも。
思春期の時期にこういう本に出会いたかったよ、と思う大人向けの本が私にも何冊もあります。難しくないし、主人公は同じ思春期の子どもなのに、ヤングアダルトの分野には置かれないような本。
思春期のころの辛さって、辛さが言葉にならないことだったりもするので、大人の目から言葉にされた本を見て、共感したり、「わかったようなこと言うんじゃねーよ、オヤジのくせに」と憤慨したりするのって、結構大事な経験だと思うんですよね。
プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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