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ヒラリーと、オバサンの憂鬱

「ヒラリーの涙」報道について書いたエントリーの後半に登場してもらった、民主党支持者で、日本茶が好きで、「アメリカのケーキは甘すぎてダメ」という志向を持つ米国人女性(白人、推定年齢60歳)と、今回の予備選について茶飲み話した。

投票日の夜にやってきた彼女は、私が尋ねる前からきっぱり言う。

「これまであなたに、何度も何度も、私言ったわよね。『ヒラリーか、オバマか。どうしても決められないの』 って。でも結局私、今日はヒラリーに投票しちゃった」

さばさばとした表情でそういうから驚いた。
(というか、誰に投票したか、こんなにサバサバと他人に言っちゃっていいのか?)

彼女が、ヒラリーに投票しようと決めたのは、今朝方かかってきた1本の電話が原因だという。

「オバマ陣営からの電話でね。息子さんはいますか? って言うのよ。民主党に登録してあるはずの私じゃなくて、息子さんはいますか? だって」

彼女はずっと迷ってきた。
長年、ヒラリーの活動をつぶさに見守ってきた。尊敬もしてるし、感謝もしてる。
でも、夫のビルがどうも好きになれない。
そこに、華々しく、オバマ氏登場。
経験がない。ただの演説家に見える。そんな不安材料がいっぱいあるにも関わらず、この国がオバマ氏のような大統領を抱いた時の、この国のかたちを思い浮かべて、それを素敵だと思う自分を抑えられない。
でも、長年支持してきたヒラリーを裏切れない。
ああ、どうしよー。
延々とそんな悩みを吐露してきた彼女だったのだ。

そんな彼女の気持ちを、1本の電話が踏みにじった。
「ずっと気になってたの。オバマの選挙運動は、あまりに若者のシフトし過ぎてる。露骨過ぎる。私を、私のような年代の者を、ないがしろにし過ぎてる。1本の電話で、私はすっかり腹を立ててしまったの。それでヒラリーに投票したのよ」

彼女は言う。
「今日はオバマが勝つかもしれない。(事実勝った。この会話は、開票前のもの)。でもね、そうなったら私、選挙事務所に電話しようと思う。若者ばかりをターゲットにした選挙キャンペーンは間違ってる、って」

前日のオバマ集会で感じた「ロックコンサートに乗りきれなかった時のような気持ちの重さ」 の正体が、なんとなく私にも自覚できた。
そうよ、そうなのよ。
オバサンの憂鬱、なのよ。

投票日の朝にかかってきたその1本の電話に対して、彼女は最後にこう言ったんだという。
「私は、ヒラリーを応援してきたけれど、オバマ氏が候補になったらオバマ氏を喜んで応援するわ。でも、あなたたちはどう? もしもヒラリーが勝ったら、本当にヒラリーを応援する? それとも、政治から興味関心を失って、投票も選挙応援もこの国の行方も、どうでもよくなっちゃったり……しないわよね?」

さて、どうなんだろう。
昨日、ロックコンサートのごとく会場を埋め尽くした1万7500人の大観衆の思いの行方。
オバマ氏が最終的に候補になろうとなるまいと、人々がなぜこれほどまでに、Yes, We Can に揺り動かされたか、とても丁寧にウォッチしてくべきものなんだ、と改めて感じた。
今のこの国を理解する、というのはきっと、そういうことなんだろう、とも。

オバマ氏が、ヒラリーさんを、獲得代議員数で逆転した、そんな夜。

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おばさん万歳!

おばさんの意見に大賛成!あ、でも私はビルが大好きだけど!彼もプライベートで色々あったけど、He was good for the US ですよ。それにしても、私の清き一票の甲斐もなく負けてしまった。(涙)これで、もうだめかなー。まあ、私もおばさん同様、オバマが候補になったら、喜んで応援しますよ~。
プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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