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オバマ圧勝の前日の集会

私の暮らすメリーランド州と、ヴァージニア州、それに首都ワシントンDCの予備選挙で、オバマ氏が圧勝し、獲得代議員数でとうとう逆転した、というニュースをリアルタイムに聞きながら、今更こんなエントリーをアップするのも何ですが。

実は、投開票日の前日、生オバマを一目見に、車を30分走らせちゃったのよね、私。
メリーランド州立大学にある、巨大なアリーナ会場。
その場に集まったのは大学生や一般人ら約1万7500人 (ワシントンポスト紙によると)。

開場は朝10時半。
オバマ氏が登場したのは午後1時過ぎ。
2時間半以上、延々とアップビートなBGMがガンガンと流れる会場で、ウェーブの練習なんかさせられちゃったりして、私なんかもう、ポップコーンとかほおばっちゃったりして、ほとんどスポーツ観戦かロックスターのコンサートか、って感じ。

でもね。スポーツ観戦やロックスターのコンサートと一番違ったのは、たぶん、セキュリティーの厳しさだった。いきなり入場前の長い列に向かって、ボランティアたちが、「携帯電話やカメラ、パソコン、ありとあらゆるOA機器の電源を入れてくれ」 と叫び始めた時は、何が起こったのかと思った。OA機器を使った新手のキャンペーンかしらん、と思っていたら、入場時のセキュリティーチェックをより厳密に行うためだった。
この国では、黒人運動家や、黒人の権利に絡んだ政策を推し進めた大統領が、暗殺されてきた歴史があるんだものね。
「オバマには大統領になってほしくない。だって、あんないい人が暗殺されたらいやだもの」 と本気で語るアフリカンアメリカンがいるのも、そのためだ。

それにしても、すごい人。
小高い丘の上に立つ巨大なコムキャストセンターに、人々が長い長い列を作る様は、どこかの巡礼地みたいな感じで、氷点下の中でよくみんな我慢して外で待ったと思う。

人の波を前に、男たちがこんな会話をしてた。

「おいおい、女ばっかりだぜ」
「まったくな。女はヒラリーを応援するんじゃなかったのかい?」

揶揄混じりの会話は、ちょっと悔しかったけれど、でもホント、女性がたくさんいた。
白人も黒人もラティーノも関係なしに、本当にいっぱいいた。
ヒラリー危うし、という感じ。

すごい数の警察と、すごい数のボランティア。
人種の偏りはほとんど感じなかったけれど、
この世代の偏りは何だ?
若者ばっかり。
ま、大学だもの、仕方ないか。

開場から1時間を過ぎて、まず、午前11時40分に国歌斉唱。
150近くある記者席で、記者たちまで起立して歌うのを見て、日本と違うなあ、とふと思う。
いよいよ始まるか、と思うが、その気配はない。

「Latino for OBAMA」 というプラカードを持ったラティーノたちが現れると、メディアがわっと取り囲んだ。テレビが盛んに撮影してる。もっと拳を振り上げて、とか、叫んでくれよ、とか注文をつけてる。ああ、メディアのこういうところは、日本も米国も一緒ね。

開場から2時間後、ようやく集会が始まる。
学生がまず舞台に立ち、叫ぶ。

You guys!
Are you fired up?
Ready to go?

会場の若者は総立ちで叫ぶ。

Yeah!!!

これって日本語にすると、

「おーいおまえら、ノッてるか~い?」
「いぇ~~い!」

だよね。
やっぱりどこまでも、ロックコンサートみたいなのだった。
大体、ここまで延々と待たせるのだって、下手な前座の演奏を延々と聞かされてる感じ。
時間のないオバサンとしては、段々とイライラ。

女はやっぱりヒラリーに投票するんだろ? なんて偏見を持ってる人に、とりあえずこの会場を見せたいよ。
会場を埋め尽くす、若い娘さんたち。
ピチピチのお腹だして、腰だして、氷点下の中もかっ歩できるその若さ。
お母さんたちがヒラリーを応援すればするほど、「ママってサイテー。私は絶対、オバマよ~」と言い出しそうな感じだ。
オバマは本気で強い。そうヒシヒシと感じる。

12時50分。
何度も練習したウェーブが始まった。
1周。
2周。
3周。
まったく衰える気配なく、何度も何度も繰り返す。
甲子園のPL高校の人文字応援も真っ青の、一糸乱れぬこの動き。
アメリカの人って実はこういう集団的応援も得意だったのね。

もう飽きるほど聞いた Yes,We can コールと、Obama コールの末、
2万人近い観客が総立ち。
1時02分、いよいよ本打ち登場!!

さて、生オバマの感想は……?

1、待ち疲れた。
2、やっぱり演説はほれぼれするほどうまい。
3、若者、何でもかんでもキャアキャア叫びすぎ。

オバマ氏が叫ぶ。
「多くの人が言う。『おまえはまだ若い。次回まで待てるだろ』 と。冗談じゃない。今だって遅すぎる。今がその時だ。僕らは待てない。今が変革の時なんだ!」

若者、大興奮しながら拍手喝采。

しかし、どうなんだろ。
健康保険ネタにも、教育ネタにも、イラク戦争ネタにも、温室効果ガスネタにも、全部が全部、「いぇ~い!」 でいいのか?
おい、そこの青年たち、タコスチップにむちゃくちゃチーズつけて、大量のプラスチックゴミ出しまくっておいて、「地球温暖化に立ち上がれ、いぇ~い!」 でいいのか?

Change という単語が聞こえただけで、反射的に総立ちしちゃっていいのか?
そんなにも、そんなにも、あんたたちは CHANGE がほしいのか?

Yes, we can! の先に続く言葉に耳を傾けるよりも、Yes, we can! とひたすら叫び続けていたいのか? それほどに、あんたたちは、信じられるものがほしいのか?

結構、オバマファンを自称していた私なんだけど。最後は妙にフクザツーな気分になってしまったのだった。
ふと周囲を見れば、私と同世代かそれより年配の大人たちが、総立ちの若者の中でぽつねんと座り、腕組みして渋い顔で考え事してた。

オバマは強い。ものすごく強い。
これまで選挙なんかに関心のなかった層を、たぶん、若者だけでなく、ごそっと掘り起こしてる。それは肌身に感じる。
この場は大学だから、若者ばかりが目立っただけで、彼の支持者はもちろん若者だけじゃあない。
未来とか、希望とか、変革とか、はっきりと先が見えないほどにまぶしいものを、私たちに見せてくれそうな予感を、間違いなく彼は持っている。

でも。
この日、私の中に生じた、ロックコンサートで乗り切れなかった時みたいな気分は何なんだろう。

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いや、キャンペーンイベントなんてそんなものですよ。
だって候補者サポーターしか来ていないんだもの。
そういうところで地に足のついた公約とかストラテジーとか細かいことは話さないし、ビルが大統領候補だったときと全く同じ。

日曜日の60 minituesっていう番組ご覧になりましたか?ヒラリーとオバマに別々にインタビューしていて興味深かったです。マッケインにもインタビュー申し込んだけど断られたって(笑)。

綾子さま

ほんとに<氷点下>でいいの?  マイナス零度C以下が<氷点下>ですが、MDやDCってそんなに寒いのか。 東京住まいには、<氷点下>がないし、あっても寝坊するしで、<氷点下>が二度も出てきて、慌てた結果が
この駄目コメントでした。

大統領さわぎのアメリカの空気のいちばん良く伝わるのが小国リポートです。きょうのTVがフセインうんぬんを伝えてたなんて古いネタと知りました。     お元気で
                         工藤 幸雄拝

プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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