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読書日記11、12月

2012年は、年間160冊ペースでした。
記憶の欠落が頻繁に起こることもあり、自分の備忘録として記録をつけてきましたが、こうして文章に残してもなお、記憶が定着していないことが昨年判明し、がああああん。
それでも、書かねばもっと忘れてしまうので、やっぱり今年も記録に残しておこうと思います。
主に、自分のために。
ということで2012年11、12月に読んだ本の備忘録です。

■ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて 安田浩一
 読み応えのある本でした。以下、気になった部分を列挙。
*母がイラン人、父が日本人という男性は、「在特会のメンバーは僕のようなハーフを何の抵抗も偏見もなく受け入れてくれた。日本が好きだと話す僕を、愛国者として認めてくれたんです」。筆者は「愛国心とは寂しき者立ちの最後のより所ではないかと感じてしまうのだ」とも。
*289ページ。広島で、「周囲を威嚇し、市民団体を蹴散らすようにしながら日の丸集団が行く」という場面を見て、筆者は「気持ちいいだろうなと私は思った」とも書く。
*324ページ。西日本で支部長を務めた男性のコメントとして「(在特会の)メンバーには、ここではじめて〝認められた〟喜びを得る人間が多い」と打ち明けたと書く。シュプレヒコールを叫ぶと、みなが唱和してくれる。これがやみつきになるのだと。筆者も、「偏狭なナショナリズムを煽っているようにしか見えない在特会だが、そうした『懐の深さ』がある面は否定できない」と書いている。
 内側に入った者への「懐の広さ」になるほどなあ、と。

■警視庁捜査一課長 特捜本部事件簿 田宮榮一
 ホテルニュージャパンの火災事件の翌日に、羽田沖日航機墜落事故が起こるっていったい……。事件記者にしろ、刑事にしろ、大事件に当たる当たらないという運があって、それによって半生を左右されるもんなんだけど、それにしても、田宮さんの事件運、強すぎ。
 最も興味深かったエピソードは、とある殺人事件での取り調べ。容疑者は自供していたけれども、ベテランの刑事が「今は犯行を認めているが、公判で供述をひっくり返す恐れがある」と田宮さんに報告したそうで、田宮さんはこれを受け、あえて、供述調書を思い切り素人のキャリア警部見習いにやらせちゃう、という部分。下手にベテランの刑事が供述調書をまくと、「昨日いい忘れたことを本日は申し上げます」だの「本日は本当のことを申し上げたいと存じます」だの、ついつい美文(?)で矛盾ない物語に仕立て上げてしまう。逆に調書の任意性を公判で疑われないためにも、「こんなド素人がまいた調書ですから」と言えるように、あえて素人に「容疑者の言ったことだけをそのまま書け」と命じたのだって。実際、この容疑者は公判でいきなり犯行を否認し始めた、らしい。
 PC遠隔操作なりすまし犯行予告事件で、逮捕された4人中2人までが自白させられたことを思うと、このエピソードはとても含蓄深い。おまけに、「公判で供述をひっくり返すかも」と上司に報告したこのベテラン刑事というのが、これまた後の警視庁捜査一課長の寺尾正大氏というのだから、なるほどなあ、とうなるばかり。

■小沢一郎はなぜ裁かれたか 日本を蝕む司法と政治の暴走 石川知裕×佐藤優
 石川氏の本の中では、「悪党」よりこっちのほうが興味深かった。それにしても、最高裁判事の一席が、外務官僚の天下り先の指定席ってほんと? し、知らなかった。
 石川氏が保釈後の再聴取でその内容を録音したのは、佐藤氏の助言があったから。そもそも佐藤氏が親身に石川氏に助言を始めたきっかけは、石川氏がまだ任意で話を聞かれている段階で、担当検事から「あなたは『階段』だから」と言われたのを佐藤氏に告げたため。佐藤氏はその一言で、「自分の捜査が鈴木宗男氏への『階段』だったように、石川氏の捜査は小沢一郎につながる『階段』なんだ」と喝破し、石川氏は自分と同じ立場にいると痛感し、「あなたは早晩逮捕される」と石川氏に告げたという。実際、その後すぐに石川氏は逮捕されたわけで……。
 大変考えさせられる本でした。
 この本と合わせて、ネット上で、石川氏が録音したという取り調べの文字起こしを探して読んでみると、ある意図を持った地検特捜がどのような取り調べをし、どのような調書を取ろうとするのかがよく分かって、ものすごく興味深いです。

■悪党 小沢一郎に仕えて 石川知裕

■野球選手の栄養と食事 川端理香
 私には無理でも、息子が読んで、意識改革するんじゃないかと図書館で借りてみたが、さすがにそうもいかなかったみたい。失敗。

■プロメテウスの罠 朝日新聞特報部
 なるほど、とうなった部分と、なんか違うのではないか、と首を捻った部分と。話題作、であることに変りなし。

■夜の国のクーパー 伊坂幸太郎
 好きか嫌いかといわれたら嫌いじゃないけど、昔の作品のほうが好き……って絶対に伊坂ファンのうちの一定の読者が同じことをつぶやきながらこの本を読んでしまっているんだと思う。

■ぼくは、いつでもぼくだった。 いっこく堂
 ふりがなつきなので子どもでも読めます。児童書。
 腹話術のいっこく堂さんの半生記。過去のいじめ体験、育った地沖縄への思いもきちんと書かれていて、あらためてあの腹話術の向こう側にそんな色々な体験があったんだなあ、と感じました。

■舟を編む
 遅ればせながら「舟を編む」(三浦しをん)を読む。
これも昨日の逃避行動の一つなんだけれども。

2012年本屋大賞。
2011年の受賞作の「謎解きは……」で、「本屋の店員さんは本気でこの本を客に一番薦めたいのか? 勘弁してくれ!」と絶望的な気分になっていたのだけれど、「舟を編む」のほうは好きです。

若い世代でも楽しく読める。なぜなら、キャラ立ちすぎなほど立っていて、分かりやすい。登場人物全員の努力がちゃんと報われるから、読者の心も癒される。
ま、癒し系、ですな。逃避行動中の私にはちょうど良かった。
どーせ来年には読んだことすら忘れているだろうから、絶対に忘れたくない言葉だけを、ここに書き残しておこうとおもいます。

一箇所目は212ページ。板前さんの女性が、言葉の重要性を語る場面。料理の感想には複雑な言葉はいらない。「おいしい」の一言でいい。でも、板前修業のためには言葉が必要だ、と。「記憶とは言葉」だから。「香りや味や音をきっかけに、古い記憶が呼び起こされることがありますが、それはすなわち、曖昧なまま眠っていたものを言語化するということです」と。

記憶とは言葉ーー。
これを日々、切実に感じて暮らしています。私は悲しいくらい、「言語化したものしか覚えていられない」からです。
大切な人との思い出も、新しい経験から学んだあらゆる事柄も、どうしても覚えていたことであっても、言葉にしなかったものは恐ろしいスピードで記憶から消えてしまう。

小学校はおろか、中学校や高校の入学式だって、一つの記憶もありません。というか、小学校や中学校の記憶はもはや、ほとんどない。悔しかったことや恥ずかしかったことや、ネガティブな思い出がいくつか残っているだけ。
一方、高校時代のことは、少し思い出せることがある。これは私が日記をつけていたからだと思う。日記を読み返すことで、忘れずにいられただけなんだと思う。
なぜなら、日記をあまりつけなくなった大学時代の記憶のほうが、今では大きく欠落しているから。社会人になって長野支局にいた4年間の記憶もかなり曖昧。母が死んだ後の1年間の記憶なんて、ほぼ皆無。

「ほかの人みたいに色々なことを覚えていられない自分」との付き合い方を40年かけて身に着けてきたんだと思う。
だから、ひたすら言葉にしてしまう。
忘れたくないから。覚えていたいから。誰かに伝えたいから。今だけでなく、いつか来る日に。

この歳になって、気付いた。
だから、言葉を扱う仕事を選んだんだなあ、って。
言葉にしがみついていないと、私は社会とつながっていられなかったんだなあ、って。

そんなことをあらためて考えさせてくれた本でした。
著者さんの意図はたぶん、そんなところにはなかったのかもしれないけれど。

■ネット依存の恐怖 ひきこもり・キレる人間をつくるインターネットの落とし穴 牟田武生
■インターネット中毒 キンバリー・ヤング

■ギャンブル依存との向き合い方 NPO法人ワンデーポート 中村努ほか
 依存症アプローチだけだと救えない「ギャンブル依存」がある、という視点が興味深かったです。発達障害を含めた色々な背景をきちんと理解し、一人ひとりに応じた回復支援が必要だ、というのが本書の主な主張です。
 ネット依存の取材の中で、ワンデーポートと代表の中村努さんと出会いました。大変貴重な出会いでした。
 219ページ。「最初は『発達障害であるかないか』の判断にとらわれていましたが、少しずつ『発達特性を考慮に入れた支援の個別化』という考え方ができるようになってきたと思います。そして現時点では、発達障害の見方や支援の仕方を参考にしながら、発達障害か依存症かということにあまりこだわらず、『生活課題とそれに対応する支援に想像力を働かせる』という形に相談のやり方は変化してきました」
 シンプルな記述ですが、大変な試行錯誤を重ねてこられて導き出された道筋なのだと思います。多くを学ぶことができました。

■「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー 高橋秀実
 かなりお勧め。特に野球に興味のある方には。
 守備がまずくて5点取られても、6点取り返せば勝てる。だから徹底して打撃強化を。それも開成なんかにボカボカ打たれたら、つい名前と打撃力のギャップに驚いて、相手ピッチャーが動揺するから、それに乗じて大量得点を取ってしまえばこっちのもんさ、という戦略に、腹を抱えて笑いました。
 それがちゃんと当たっているんだから、すごい。おまけに選手たちも、実は真剣に努力していたりして、思わず息子に「これは絶対に面白いから読め」と勧めました。
 息子によると、チームメートの中でも何人も読み始めているとか。

■父・金正日と私  金正男独占告白 五味洋治

■トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか 羽根田治ほか

 まさに中国は万里の長城で遭難がおきて大騒ぎをしているころに、偶然、図書館に予約してあった本書の順番が回ってきて手元に届いた。2つの遭難事故はともに同じ旅行代理店の主催したツアーだったことをしり、複雑な思いがしたのだった。
 トムラウシ山遭難事故の時、私はアメリカにいたので、この事故についてはほとんど知らない。ただ、今回読んでみて、一つ、ぞっとした。
 夏山で、旭岳温泉から白雲岳を経て、白雲岳避難小屋に1泊し、次にヒサゴ沼避難小屋で2泊目、そしてトムラウシ山へ……というコースは、実は私が25年以上前、生まれて初めての単独行で採ったコースとほとんど同じだったから。
 私の場合は、旭岳温泉ではなく、層雲峡のほうから上ったのだけれど。1泊目の小屋も2泊目の小屋も同じ。それどころか、1日目は快晴だが徐々に天候が崩れ……という展開まで同じだった。私の場合は、ヒサゴ沼避難小屋で翌日の天気を検討し、どうせ雨の中の山行になるなら、トムラウシはあきらめて天人峡温泉へのエスケープルートで下山する、という結論を出した。翌朝は、ただの小雨だったけれども、それでも天人峡温泉に降りた。軟弱だったから、というのもあるけど、一人山行だったから、というのが大きかったと思う。一人だと、自分で自分の身を守らなきゃいけないことを、ひしひしひしと感じるものだし。一人だったから、そんなに荷物も担げなかったし、ビバークの用意くらいはあったけど、ちゃんとしたテントすら担いでなかったので、無理は禁物とよーく分かっていたから。
 だから、この本で、問題のツアーの検証の中で、参加者の多くが、ヒサゴ沼避難小屋を朝出発する時、「こんな雨の中、ほんとに行くの?」「1日予定を遅らせたっていいのに」などと内心思っていたのに、誰も周囲のメンバーに気を使って口に出せなかった、ということい複雑な思いをした。だいたい、思ったことが口に出せない相手と一緒に山に登るのは、それだけで危険な気がする。……と思ってしまう私は、きっとツアー登山に向いてないんだろう。いや、いまの体力ではどんな登山にも向いてない気がするけれど。
 天人峡温泉へのエスケープルートだって、雨の日はせいぜい悪路で、そもそも下山の苦手な私は、「ひええええ、早い目に下山する結論を出しておいてよかった。雨の量が増えて、水が出てたら、後で下りるの、大変だったよ……」と思った記憶がある。
 あの時、「トムラウシ山にあこがれてこのルートを計画して、初の単独行のプレッシャーもあって半年間、ジョギングしたり一人でトレーニングしたのに、結局トムラウシには登れなかったなあ。でもま、人生長いし、いつでも登れるだろ、待ってろよ、トムラウシ」などと思いながら下山したわけだけど。人生長いけど、いまだに登れてません。トムラウシ。ははははは。
 それでも。今も思い出す快晴の日の白雲岳の雪渓の美しさ。シマウマみたいなあの山の姿を、もう一度見たい、と今も思います。(白雲岳を見るだけだったら、今の私でも大丈夫だろうと思う。お天気の良い日にロープウェイで上まで上っちゃって、楽しい稜線歩きしちゃうのだ。待ってろよ、白雲岳)。

■1984年 ジョージ・オーウェル
■働く大人の教養課程 岡田憲治
 キーワードは、▽「わからない」を仕分ける▽「ただ教えて」から「ちゃんと尋ねる」へ▽「発言」という日本語(発言、という言葉のつくのは、トンデモ発言、問題発言、差別発言、などネガティブなことばっかり)

■静かに「政治」の話を続けよう

■生き方の不平等 白波瀬佐和子
 これは手元においてしっかり読もう……と思えた本だったはずなのだけれど。なんだか頭にすいすいと入ってこない。相性が悪いんだろうか。ちょっと時間をおいて、また読みなおすことにします。

■ふしぎなキリスト教 橋爪大三郎&大澤真幸
 大変評判の良い新書だったので、楽しみにしてたんだけど……。私にはあまり響かなかったなあ。というわりには、自分向けの備忘リストは結構長々とあります。

*65ページ <一神教の場合、Godとの対話が成り立つのです。それはGodが人格的な存在だから。「神様、世界はなぜこうなっているんですか」「神様、人間はなぜこんな苦しみにあうのですか」。そう訴えてもいいし、感謝でもよいので、Godheno語りかけを繰り返す。このGodとの不断のコミュニケーションを、祈りといいます。この種の祈りは、一神教に特有のものなんですね。>
*122ページ(日本人が「科学と宗教は対立する」と考えることについて、そのこと自体を「ナンセンス」と書き、)<科学はもともと、神の計画を明らかにしようと、自然の解明に取り組んだ結果うまれたもの。宗教の副産物です。でもその結果、聖書に書いてあることと違った結論になった。(宗教と科学との両方を矛盾なく信じることができる各宗派のスタンスをこの後で説明)
*320ページ <キリスト教のふしぎは、音楽、美術などの芸術に深い影響を与えていることです。(略)まず、音楽。音楽はキリスト教の場合、禁止されなかった。イスラムには宗教音楽がありません。禁止なのです。ですから、アザーンもクルアーンの朗唱も、私たちが聴くと音楽みたいでも、絶対に音楽ではないとされている。>
*330ページ <日本人の考える無神論は、神に支配されたくないという感情なんです。「はまると怖い」とかも、だいたいそう。それは大多数の人々の共通感覚だから、もしそれを無神論というなら、日本人は無神論が大好きです。でも、これは、一神教の想定する無神論とはだいぶ違う。日本人が神に支配されたくないのは、そのぶん自分の主体性を奪われるから。日本人は主体性が大好きで、努力が大好きで、努力でよりよい結果を実現しようとする。その努力をしない怠け者が大嫌いで、神まかせも大嫌い。と考える人々なのです。だからカミが大勢いる。カミが大勢いれば、カミひとりの勢力はその分殺がれる。人間の主体性が発揮しやすい>(橋爪大三郎氏)

■教育の悪魔 見えない「いじめ」を解決するために 山脇由貴子
 いじめを解決するための実践ルール、の章が興味深かったです。特に、学校に親はどう告知すべきか、という点。学校は調査します、というだろうが、調査は結構です、と言えと。いじめの真実は、いじめられた側にしか分からないから、「いじめはありました」と報告すべきだ、と。学校に相談するのではなく、報告だ、と。
 もう1点。いじめの解決と、責任追及は、同時にはできない、というのも考えさせられました。
 結構大事だと思ったのは保護者会でのいじめ報告。この時に、全員の保護者に、自宅で自分の子どもに「あなたはやってないわよね」などと尋ねない、というのを徹底しなければならない、というのに深く共感。誰が何をやったか、誰が一番ひどかったか、そういうことを親が子どもに聴き始めたら、結局、みなが保身に走り、責任転嫁が始まるから。
 そうでなはく、親が子に伝えるべきは、次のこと。「今日の保護者会でいじめがあったことを知った。いじめは誰もが被害者にも加害者にもなりうる。だから親全員一丸となっていじめを解決しよう、ってことになったから」と子どもにつたえ、ただごとではないという真剣さがつたわれば、他人事ではなく、おのずと子どもたちの行動も変わっていく、と。
■震える学校 不信地獄の「いじめ社会」を打ち破るために 山脇由貴子
 冒頭の、教師がいじめにあうエピソードに震撼します。ネットというツールとその匿名性を武器に、子どもが大人を集団でいじめることができる時代になったとは。
 教師が「あのエロ教師、買春やってる」「着替えをのぞかれた」などとネット上で噂を立てられた場合、あるいは、死ね、キモいなどの匿名メールを何本も送りつけられ、「奥さんをレイプする」などの脅迫を受けた場合、教師は①生徒にいじめられたということを「恥」を感じ、誰にも相談できない②疑心暗鬼になり、子どもだけでなく、同僚なども加担しているのでは、などと不信地獄に陥るーーという問題があるようです。
 一方、先生がいじめの対象になっている限り、①生徒間のいじめが減る②親が学校批判に盛り上がり、子どもの学校や教師批判を受け入れてくれるーーという理由から、子どもにとっては望ましかったりするのだそうで。
 「教師いじめ」は、ますます増えていく予感がします。そういうことがどの教師にも起こりうるということを前提に、学校でしっかり、対応策を準備しておいたほうがいいんじゃないかな。

■悲しみの乗り越え方 高木慶子
 「グリーフケア」について。東非日本大震災の後、被災地でグリーフケアに取り組む高木先生の、震災直前に書かれた本です。152ページ、悲しみの乗り越え方について書かれたところで、「手放さなければならない時が来たら、思い切って手放す」ことによって、それがむしろ本人の「解放」になるという点、考えさせられました。
 この本は購入しようかな。高木先生、インタビューしてみたいです。

■3・11から考える「この国のかたち」 東北学を再建する 赤坂憲雄
 この本、とても勉強になりました。

*18ページ もし東北で被災していたら、きっとまるで異なった態度や行動を選んでいたと思いますが、幸か不幸か東京にいたのです。だからこそ、見えることは確実にあって、現場とはなにか、とあらためて考えさせられました。わたしは民俗学者ですから、現場でしか、フィールドでしか見えない、感じられないものがあることはよく知っています。しかし、これだけ被災エリアが広大であり、多様であり、また厳しく分断されていると、現場は孤立した点のように閉じられているんですね。東京にいるわたしの役割は、可能なかぎり遠くまで見はるかすこと、深く、深く、思考を巡らすことだと感じる瞬間がありました。(長く引用したのは、私にとってものすごく大切な視点だったから。あの日、日本におらず、アメリカで東日本大震災の日を迎えた者として。新聞記者として)

*54ページ 被災した神や仏をどう再建するのか、という問題(政府の復興会議で僧侶の玄侑さんが寺や寺社の再建を支援できないか、と繰り返し提案したことについて、行政は宗教に関わってはいけないという建前があって、予算をつけるなんてとんでもないとただちに退けられた、という話)

*69ページ (復興を巡る高齢者と若者世代の対立。高齢者は元通り、昔の村に暮らしたいといい、若い世代はもう、そこには戻りたくないということ)

*82ページ 「津波てんでんこ」は諸刃の剣、という問題。(てんでんこ、と語り継がなければいけなかったのは、東北地方では家族の絆が強すぎて、それを守らないと、家族のために津波に飲み込まれた人が続出したから。逆に家族の絆が薄まってきている時代に「てんでんこ」=てんで勝手に逃げればいい、というのは違うのではないか、という指摘。

*165ページ 貝塚について。津波に襲われなかった場所は、貝塚が見つかった場所であることが多い。縄文人は津波から身を守るために高台に暮らしたのか、という指摘。

*171ページ 三陸のわかめや松島のカキが震災・津波の翌年、とても好調。養殖棚のしたに分厚い層をなしていたヘドロが流され、きれいな海が戻ってきたから、と。

■アメリカは今日もステロイドを打つ USAスポーツ狂騒曲 町田智浩
 尊敬する町田さんのアメリカ本。図書館で読んだけど、これは後日、購入決定。
 以下、備忘録のページ数のみ。27、31、128、194、206、214

■アホ大学のバカ学生 グローバル人材と就活迷子のあいだ 石渡嶺司、山内太地

■したたかな「どじょう」 野田佳彦研究 大下英治
■松下政経塾とは何か 出井康博
■政権交代とは何だったのか 山口二郎
■政権交代論 山口二郎

■原発一揆 警戒区域で闘い続ける“ベコ屋”の記録 針谷勉

ここ1カ月くらいで読んだ本の中では、最も心に残った本です。
『希望の牧場・ふくしま』のことは以前からアンテナを立ててきたつもりですし、代表の吉沢正巳さんのお話を聴きに行ったこともあったもので、そのお人柄や信念にもすでに触れてました。が、この本を読むことで、さらに、これまでに何があり、どんな思いが吉沢さんを突き動かしているのか、それによって周囲のどんな人々が考え、行動してきたのか、よくわかりました。
良い本を世に出してくださった関係者みなさまに感謝の思いでいっぱいです。

以下、いつか自分で記事を書く日のために、覚えておきたいことを列挙しておきます。
*もともと吉沢さんは反原発を貫いてきた人で、1960年代には南相馬市小高区の「浪江・小高原発」に対して30年以上にわたって反対運動に参加してきた。
*吉沢さんは、2011年3月17日の夜中にはもう、東電本社に直談判に出かけていた。飼っている330頭の牛たちについて「あいつらは停電で水も飲めない。餌もない。いずれみんな死んじまう」と男泣きしたら、思いが伝わったのか、警備の警官が東電内部に連絡を取り、数分後には本店の応接室まで通された。30分間、半べそをかきながら「自衛隊や消防は決死の覚悟で戦ってるのに、東電は自分たちで作った原発をなぜ止められないのか」とまくし立てると、東電の主任もついに泣きだした、と。
*1週間にわたって車で寝泊まりしながらあちこちで抗議行動をしたが、その間、東京の警察官や役人はみな親切で、「心が通じた」という手応えもあった。しかし、浪江町に帰ってみると、1週間前と何も変わっていない。被ばく覚悟で牧場に通い牛の世話をすることに「意味があるのか」という堂々巡りの議論が牧場関係者の間で行われた。
*吉沢さんの父親は、満蒙開拓団出身者で、帰国後、まず千葉の四街道市で開墾を初め、さらに20年後、南相馬市と浪江町の山林を購入し、それが牧場の基礎となった。
*吉沢さんが活動をする過程で、被災者同士のいがみ合い、酪農農家同士のいがみ合いが起きた。たとえば「希望の牧場」の牛が、餌が足りないためによその家のビニールハウスを破って干し草を食べたり、一時帰国した人が自宅のいたるところに糞尿が落ちているのを見て言葉を失ったり、そういうことがあったため。
*酪農農家を最も傷つけたのは、動物愛護家や愛護団体による「殺処分反対!」の行動だった。たとえば、スプレーでガードレールや牛舎前の道路に「殺処分反対!」と落書きしていく。また、「行政は牛に洗剤を注射しころしている」「農家の同意を得ていない牛まで勝手に殺している」とガセを流す。しかし、実際の殺処分の現場では、行政や業者の職員は「信じられないくらい家畜の死骸を丁寧に扱う。クレーンでつるすときも、まるで人間の遺体でも運ぶかのように、ゆっくりと静かに動かす」(109ページ)。

■ザ・ギバー 記憶を伝える者 ロイス・ローリー
1993年度ニューベリー賞受賞作。
息子に読ませたくて借りたんだけど、私のほうも夢中になってしまいました。かつて復刊運動があった、というのもうなづけます。図書館で講談社版を借りましたが、これから読むなら、復刊版を読まれるといいかもしれません。
http://3.bp.blogspot.com/_l3db36LimII/S_vtlTFQf1I/AAAAAAAAAB4/ydXjLxtyi0Q/s1600/giver.jpg

■寅さんとイエス 米田彰男
イエスの風貌、ユーモア、その存在は、実は寅さんの世界に類似している」と神父で清泉女子大教授の米田氏が説く……かなりおもしろい本です。
寅さんの女性に対する「非接触」に着目し、福音書に見るイエスの「姦淫」の概念と対比させたり。うむむむー、と感心すること、多かったです。

■女性のいない世界 性比不均等がもたらす恐怖のシナリオ マーラ・ヴィステンドール

息子を持つ親としては、打ち震えますな。とても息子が結婚相手を見つけられるわけがない気がしてきた……。アジア全体でみれば、息子たちが結婚適齢期を迎える15年後、圧倒的に「男余り」現象が深刻化しているはずだから。
ただし、年末の仕事の忙しさゆえ、90ページまでしか読めなかった。いったん図書館にお返しし、年明け、再び順番が回ってきたら、全部読もうとおもいます。

私が、中国やインドのコミュニティーで生まれる新生児において、性比不均等が見られると知ったのは確か、ニューヨークにおける中国人やインド人コミュニティーのデータを、米国のカレッジの社会学の授業で知った時だったと思います。だから中国やインド、韓国あたりまでは知った話だったんですが……西アジアのアルメニア、アゼルバイジャン、グルジアあたりでも、中国に勝るとも劣らない性比不均等が見られている、というのには驚きました。つまり、ヒンズー教でもイスラム教でもキリスト教でも、同じ現象が起こっているって話。

以下、90ページまでで興味深かったことを列挙。
*性比不均等は、その国の首都、所得水準や教育水準の高い層から始まる。これはどの国でも同じ。32−33ページ。
*人口統計学者はすでに、「女児:男児=100:120」などという不均衡の現実を前に、これから数十年のうちに成人するはずの何千万人という独身男性のことを「余剰男性」と呼んでいる。37ページ。
*中国スイニン県では、経済発展とともに女子が消えていった。2007年、スイニンの母親が生んだ新生児は、女子100につき男子152人! 42ページ。
*パリの人口開発研究所の上級研究員であるギルモト氏が2005年に計算したところによると、もしもアジアの出生性比がこの数十年間、自然な平衡値である105を維持していたならば、アジア大陸にはあと1億6300万人の女性がいたはずだという。つまり、超音波検査と中絶が1億6000万人の女性の生命をうばった、ということ。この数って……日本の人口より多いんですよね。

■米国の光と影と、どうでもイイ話 向井万起男

文章、決して心地よい感じではないのですが、私にはツボにはまる情報が多かったです。
この本を読んで、観てみようと思った映画は、
*「ジョー・ブラックをよろしく」(1998年)
*「告発」(1995年)

読んでみようと思った本は、
*「自己再生 36歳オールドルーキー、ゼロからの挑戦」(斎藤隆インタビュー本)
*「日本人が知らない松坂メジャー革命」(朝日新書)
……著者は「日本人はチームワークを重視するが米国人は個人を重視するという固定観念に対して、例を挙げて反対している」んだそうだ。
*「大国アメリカはスポーツで動く」(2008年)
*「謎の1セント硬貨」(向井氏の、米国での体験記)
*「大リーガー」はスパイだった モー・バーグの生涯(平凡社)
*「背番号42メジャー・リーグの遺産」 ジャッキー・ロビンソン研究書
*「大統領オバマは、こうしてつくられた」(朝日新聞出版)

■神社のおかげさま 和田裕美

■ゲームの父・横井軍平伝 牧野武文
■横井軍平ゲーム館 牧野武文
(ゲームボーイの記事を書く前に読みました)
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プロフィール

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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