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東京スカイツリーの影のてっぺんを歩く、という記事

こんな記事を書きました。
「東京スカイツリーの影のてっぺんを歩く」。

上から見上げるのではなく、影を追いかけるの。
ツリーよりも影を、影よりも人を主人公にした記事です。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120213dde012040006000c.html

冬至の日、新聞の一面を飾っていたスカイツリーの空撮写真を見たのがきっかけでした。
墨田川の向こう側、浅草の町にまで伸びる黒々とした影を見たら、あああ、この影がどんな風に動くか知りたい! と強烈に思ったのでした。
大真面目な顔で企画会議で、「スカイツリーの影のてっぺんをたどって1日じゅう歩きたい」と提案したら、上司にも同僚にも笑われまくった。笑われまくったけど、柔軟な編集部なので、「まあ、好きにやってみろや」となったのでした。
(なんと太っ腹だ……)。

それからが大変。
影のてっぺん、ってどうやって探せばよいのだろうか、と。
結局、三角関数に頼ることに。
図までは自力で描けたんだけど。
でも、高さと角度(太陽を仰ぎ見る仰角)から、どうやって底辺の長さを求めるか、どうしても思い出せなくて……結局理系の同僚に教えを乞うた。
で、できたのがこんな絵。




blogtree1_20120214163934.jpg



影の長さ=634m÷タンジェントθ

公式が分かればこっちのもの。
仰角はこのサイトで調べました。
http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/koyomix/koyomix.html

日時を入れて、「太陽の高度と方位」の計算をすると、仰角のほか、太陽の方位(真北をゼロ度とした方位)も出る。
で、仰角がわかってからは、このサイト。
http://keisan.casio.jp/has10/SpecExec.cgi?path=04000000%2e%90%94%8aw%8c%f6%8e%ae%8fW%2f02000100%2e%8eO%8ap%8a%d6%90%94%81i%93x%81j%2f10200200%2e%8ap%93x%82%c6%8d%82%82%b3%82%a9%82%e7%92%ea%95%d3%82%c6%8e%ce%95%d3%82%f0%8cv%8eZ%2fdefault%2exml


高さは634メートル。
角度のところに、仰角を入れたら、底辺aの長さが出る。これが影の長さ。
先に調べた方位と、影の長さから、その日時の影の先端のある地点を導き出す、ってわけ。

1月31日。
雲一つない、完璧な 「影さんぽ日和」。
でもむちゃくちゃ寒かった……。
最初に影を捕まえるまでは、街の中をおろおろ。とても心許なかった。
影を見つけた時は本当にうれしかった。だから一人で興奮してしまったし、道行くおじさんに 「変な名人」 と思われちゃったんだろうな。


sumidagawakage.jpg

(自転車の向こう側に見える影が、土手にほぼ垂直に落ちたツリーの第一展望台と第二展望台の間あたりの影)


「スカイツリーを見上げて、ツリーの向こう側に太陽があったら、そのとき、あなたはツリーの影の中にいる」 という理屈が分かれば、後はひたすら歩き回るのみ。

たくさんの人とも話をした。
「影を追いかけて歩いてるんです」
と正直にいうたび、

変な人扱いされたり、
面白がってもらえたり、
一緒になってツリーの向こうの太陽を見上げたり、
ツリーにまつわる話をあれこれ聞かせてくれたり……。
ツリーに関係ない昔話をあれこれ聞かせてくれたり……。

最初は、影を主人公に記事を書くつもりだったのに、偶然に出会う人出会う人が、それぞれに心に染みる話をしてくださるもんだから、結局、影のめぐる街に暮らす人々が主人公となっちゃいました。
最初は影を追いかけることが目的だったのに。
東京スカイツリーのふもとに、みんなこんな風に暮らしてるんだぞ、ってそんなことが無性に伝えたくなりました。
東京タワーのふもとで、たくさんの人々の物語が生まれたみたいに、
これからは私たちが新しい物語を生んでいくんだぞ、って。


sumidagawa2.jpg




最初は、3日間くらいかけて、丁寧に丁寧に取材して回るつもりだったのに、途中から、影がどんな風に動くのが知りたくて知りたくてたまらなくなり、結局、日没まで歩き回ってしまったのでした。
あまりに歩きすぎて、その後3日間、まともに歩けませんでした。
フラフラになったけれども、寒かったけれども、ずっとワクワクできる取材でした。

荒川土手では、カメラに人生掛けたオジサンたちに、思い切りあきれられてしまいました。
「影を探して? 浅草から? 朝から歩いてる? 変なこと考えるねえ」 とか。「スカイツリーで影といえば、せめて、水面に映る影を映すとか、そういうもんでしょう。本当の影を撮影してどうするわけ?」 と真顔で尋ねられたりもしました。

でも、私に言わせれば、あの方々のカメラに掛ける根性のほうがずーーーーっとすさまじいと思います。「何回ぐらい撮影に通うんですか?」 と尋ねたら、「納得いく写真が撮れるまで……って、何年かけても、その1枚が撮れないんだけどさ」 だもの。

機会があったら、こんなお散歩、みなさんもどうですか。
小さな路地が薄いぼんやりした影に包まれ、そしてすーっと日差しが戻る瞬間は、なんだかすごく不思議な感じです。
思い切りお天気の良い日がおすすめです。
ただし、一発で目をやられますから、お気をつけて。
(私は翌日、パソコンの画面が見られませんでした)。


以下は番外編。
今一番気になっているのは、季節ごとの影の先端の軌跡の変化です。
上記の計算式で、夏至や春分・秋分のデータも算出してみました。


blogtree2_20120214164828.jpg




夏至はなるほど、図の「夏」と書いた紫色の線をたどるみたい。つまりカーブが冬とは逆になるわけですね。
一方、問題は、春分と秋分。
どうやら……一直線になるみたい。

でも、どうしても分からないのがここから。
春分や秋分って真東から太陽が昇って、真西に太陽が沈むといわれるじゃないですか。
ってことは、当然、影は図の2番の線になると思うのです。
が、影の長さを考えると、むしろ1番の線なのかも。
あるいは、スカイツリーほど高い物体の影だと、影の先端の軌跡は決して一直線を描かないとか?

すでに、別のテーマの取材に取りかかっているものの、ここ数日、この問題が気になって気になって……。
ちょっと、時間を見つけて、さらに、調べてみようと思っています。
ひたすら歩く取材って、好き。



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プロフィール

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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