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上原浩治投手のインタビュー

今回は、宣伝&告白。
先日、大リーグのボルティモア・オリオールズの上原浩治投手に、インタビューしました。
しかも、親子で。

そもそものきっかけは何かというと、上原投手のブログだ。
我が家の暮らすメリーランド州のチームに、いよいよ日本人選手がやってきた、ということで、上原投手のことは、家族して注目していた。とはいえ、そもそも阪神ファンであり、東京ドームで六甲おろしをがなり立てるのが最大のストレス発散だった私としては、「うーむ、巨人の選手だもんなあ」 と最初はちょっと距離を置いていたのも事実。。。

ところが、上原投手のこのブログが、なんとも良いのだ。
長年の夢だった大リーグ行きが決まった時の、こっちまでドキドキするような高揚感。
生まれて初めてのアメリカ暮らしへの戸惑い。
プロ11年目にして 「あらためて野球が楽しくなった」 という素直な思い。
そして、故障者リスト入りと、シーズン中復帰断念以後の、心中の吐露。
一つひとつの言葉が、短いけれど、とても力を持っていた。
あるいは、ちょうどそのころ、息子が野球でスランプに苦しんでいたから、それを見守るしかない親にとって、上原投手の言葉が重く重く響いたということだったのかもしれない。

とにかく、夫も私も、息子には上原投手のブログを読ませるようにした。
息子に伝えたい言葉がいっぱいあったから。
息子にとっては、力を持った言葉だと思えたから。
だからこそ、息子だけでなく、ああ、日本の小学生たちにも伝えたいなあ、と、そう思ったのだった。

そんなわけで、古巣の毎日新聞の、毎日小学生新聞でインタビュー記事を掲載、という展開となった。
急なお願いであったにもかかわらず、「子どもたちのためになることならば」 と、ご帰国直前の忙しい中で、上原投手も快くインタビューを受けてくれることになった。
今回は小学生新聞ということもあり、ここの特派員メンバーの一人である息子が、上原投手にインタビューすることになった。私はあくまで、補佐役。

「母ちゃん、俺、何を聞いたらいいのかな」 と弱気になった息子が尋ねてくる。
そのたび、私は、「自分が一番聞きたいこと。読者の、同じ小学生に一番伝えたいことを、自分で考えなさい」 と冷たく突き放した。
日本語なんだから。
もう5年生なんだから。
一番好きな野球の世界の話なのだから。
自分で突破してごらん、と。
だから、一切具体的な質問例など、助け船は出さなかった。
ただ、一言、

「もしもあんたが、当日、緊張して何もしゃべれなくなったら、その時は母ちゃんがどうにでもしてやる。
 それがプロなのだ。がはははは」

とエラソーに言い放っておいたのだった。

ところがところが。
当日。
実際にインタビューの場面になったら、息子は恐ろしい勢いで、質問を、それも正攻法の質問を繰り出し始めた。

「野球を始めたのはいつですか?」
「小学生時代、ポジションはどこでしたか?」
「野球をやめたいと思ったことはありますか?」
「メジャーに来て一番印象に残っている試合は何ですか?」
「子ども時代、好きな野球漫画は何でしたか?」

どうやら似たようなインタビュー記事を読んだりして、いわゆる定番の質問を頭の中でリストアップしたらしい。
最初は私、へええ、なかなか、実は、やるじゃん、となどと感心したのであったが。
途中で、あれれ、と気づいた。
どうやら、息子は、上原投手の答えが終わるやいなや、次の質問を繰り出している。
なんというか、上原投手の答えを受けて、さらに何かを尋ねるというような、いわゆる「会話」的行為は、まるで、なし。

も、もしや、こやつ、
上原投手の答を聞く余裕もなく、
質問ばっかり考えてないか?


あとで息子に確認してみると、やっぱり、その通り。
「緊張して、何を聞いたか全然覚えてない。でも、質問しなきゃ、ってそればっかり考えてた。母ちゃんがテープを回してくれてるって知ってたから、答えはあとでテープを聴かせてもらえばいいと思って、必死で次ぎの質問を考えてた」 だって。
がっくし。
あの、示唆に富んだ、宝物のような上原投手からの君への言葉を、君は、まともに聞く余裕もなく、「次は何を質問しよう???」 とそればかりに必死になっていたのか……。
まあ、いかにも息子らしいのだった。

それはそうとして、一番心に残ったのは、「上原投手の言葉は子どもに向けた時に光る」 ということ。
息子のつたない質問に、ていねいに答えてくれた時もそう。
あるいは私が、「日本の子どもたちに」 と、あえて子どもの読者を想定して訪ねた質問に対しても、そう。
目の前に、子どもという聞き手を意識した時、上原投手の言葉は、ずっと生き生きと、力のこもったものになる。

だからだろうか。
インタビューの日を境に、息子に小さな変化が見られた。
もう1年以上も、「夢はプロ野球選手」 などと口にしなくなっていた息子が、半分冗談めかしつつではあるけれど、「夢はメジャーリーガー」 などと再び言い始めたのだ。
この1年、競争の激しいチームで、スランプに悩んだり、州内外の強豪チームに出会う中で、「夢はプロ野球選手!」なんて脳天気に言えなくなっていたんだろう。
そろそろ5年生だから、夢と現実との折り合いをつけていく時期なのかもしれないけれど、それにしても、ちょっと早過ぎるよなぁ、と親としては内心、寂しく思っていたのだった。

息子が再び、夢を語るようになったのは、インタビューの中で上原選手が語った

あきらめるな
あきらめたら、そこでゲームオーバー。


という一言だったのではないか、と思う。

そんなわけで。
上原投手の記事を、夢を追いかけているすべての小学生に送ります。
掲載日は、来年1月3日付け。毎日小学生新聞「あの人に会った」欄。
写真付き、です。

これを機会に、「毎朝届いて1か月たったの1430円(税込み)」の毎日小学生新聞を、よかったら、2010年1月だけでも、ぜひぜひご購読を。(と、最後は宣伝調で)。

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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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