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恐るべし、韓流

私がネタ場の一つにしているのが、移民たちが集まる図書館の無料英会話クラブ。
ここ数カ月、なぜかここに、アジアの若者が増えている感じがする。
そもそも昼間のクラスだから、昼間仕事している人は来られない。そういう人は夜間クラスに行く。
だから、これまでは、「アメリカに来てもうすぐ10年。ずっと働きづめだったけど、そろそろ英語でも勉強したい」 というような年配の移民が多かった。ラティーノにしろ、イラン人にしろ、アジアンにしろ、たいていそういう人たちだった。

ところが、いつのころからか、アジアからの若い子が増えてきた。
いつか大学に行くため、まずはカレッジの外国人向け英語クラスで勉強してます、とか。
仕事を得るため、大学院に通ってます、とか。
レストランで働くべく、料理学校に通ってます、とか。
そういう子たちが時間の合間を見つけて、昼間やってくるのだ。

こういう若い子たちの 「会話力」 の進歩の度合いって、やっぱりすごい。
ほんと、毎週毎週伸びていく。うっかりすると抜かされる。難しい単語は知らなくても、ペラペラとしゃべりだす。特に、自国で英語をある程度勉強し、読み書きができる子は早い。
こういう子たちを見ていると、例えば日本人がこちらに留学するならば、せめて高校英語の文法と語彙数程度は固めてから来たほうが早いだろうなあ、というのがよく分かったりする。
「アメリカに来てから」 より、「来る前」 にできることがたぶん、たくさんあるのだ。

……なーんてことは、来てから分かるわけで。
時既に遅し。
私も、40代にふさわしい語彙力を徹底的につけてからこっちに来れば良かったんだろうなぁ。
ま、それはそれとして。
本題。

ボランティアのエド(男性) とアン(女性) のテーブルに集まる 「外国人参加者」 の面々では、気付けば私が一番の古株になっている。私がデカイ顔して座っているからだと思うけど、ここ半年、エドとアンのテーブルにやってくる移民たちは、たいていアジアン、それも女ばかりだ。
中国のおばちゃん、中国の若者、韓国のおばちゃん、韓国の若者、台湾のおばちゃんと娘2人、ベトナムのティーンエイジャー3姉妹、それに、片言しか英語のしゃべれないカンボジアの少女、という具合。こうなるともう、エドがどう操作しようとしたところで、会話の中身はいつも、ヒジョーにディープなアジアン世界……。

たとえば、ある日の話題は、豚足。
うまいよね、あれ。
ゼラチン質がいいんでしょ。
そうそう肌を若くしてくれるの。
盛り上がる盛り上がる。
最初は、豚足(pork feetの名で韓国スーパーで売られている) の話題についてこられなかったカンボジア人少女も、私が豚足の絵を描いてやると、「あああ、私大好き!」

アジアン女が豚足で盛り上がっている間、ボランティアのエドとアンは、
「う……」 とか 「え……」 とかうめくだけで、とてもアレを食べるなんて……、という顔をしているのだった。エドなんか、肉は鶏肉しか食べられないし、エドの娘なんかベジタリアンだもんね。

さらにその翌週の話題は、私が、「韓国スーパーでさ、バナナの花が売ってるでしょ。あれを一度でいいから料理してみたいんだけど、今一つ料理の仕方が分からないの。ネット検索したら、ベトナム料理にバナナの花を使うらしんだけど、料理法を教えてよ」 と、ベトナム姉妹のフィビ、ミミ、ネイオミの3人に迫ったところから始まった。
残念ながら3人とも 「バナナの花なんて料理したことないよー」。
この時はエドやアンなどアメリカ人ボランティアも交えて、バナナの花って面白いよね、とか、花弁をむいたら小さなバナナの赤ちゃんが出てくるらしいよ、とかそんな話でしばらく盛り上がっていたんだけど、これらをゆっくりカンボジア人少女に説明してあげたら、彼女は自信たっぷりに言うのである。

「私、知ってる! バナナの花、お料理できるわ!」

え……まじ。
教えて、教えて、炒めるの? 茹でるの?

彼女はにっこり笑って、
「炒めるの。えっとね、ほら、あれ、PORK FEET と!」

先週習ったpork feetという英単語を実にうれしそうに使いながら、お料理の仕方をたどたどしい英語で説明してくれた。たどたどしすぎて、料理法自体はあまりよく分からなかったけれど、「また、豚足話かよ……」 とエドとアンが肩を落としてるのが笑えた。

それでも、特にアンの方は、食べ物に関して好奇心旺盛だから、豚足以外の話題には果敢に参加してくる。
この前なんか、アジアン女同士で、「ドリアンは、あれは世界一うまいが、世界一臭い果物だ」 という話題で盛り上がっていたら、翌週になって、アンがいう。

「私、見たわよ。ドリアン。あなたたちのいう韓国スーパーまで出掛けて、探し出したわよ。すごい形よねえ。買ったかって? まさか~。さすがにあんな巨大で固い果物、自分じゃ買えないわよ」

これで、アンのお株はぐぐっと上がった。だって、わざわざドリアンのために韓国スーパーまで足を向けたっていうんだもの!

うちの地域には韓国スーパーや中華スーパーがいくつもある土地柄だけれど、中華スーパーにいるのは中国人ばかりだし、安売りで知られる韓国スーパーにいるのは、韓国人を中心としたアジア人とラティーノばかりなのだ。韓国スーパー側も心得ていて、アジアンフード以外に、ラティーノ向けの食材をものすごく増やしている。そもそもレジ打ちしてるのはラティーノ従業員だったりするしね。
魚のコーナーで器用にハサミで魚をさばいたり掃除したりしてくれるのも、全員ラティーノだったりする。
というわけで、これらの空間には、いまやアジアンもラティーノもいるというのに、一番見かけないのがアメリカに生まれ育ったアメリカ人だったりする。
もっとも最近、ワシントンポスト紙が店舗を増やし続ける Hmart (韓国スーパーチェーン) を記事に取り上げたりしてるから、「ちょっと見にいってみるか」 的な白人が増えているみたい。見たことのない食材に囲まれ、何を買っていいのか途方に暮れている白人の姿を見ることも増えた。

話は横道に逸れたけれど、実はここからが本題。
(前振り、長すぎ……)。

このように、今やアジアン女性が覇権をふるっている私たちの英会話クラブで、先週、異様に盛り上がった話題があった。
それは、韓流

そもそもの始まりは、ベトナム3姉妹だ。
元気印のこの娘たち、一番年上がもうすぐ20歳、という若さ。
いきなり何を話し始めるかと思ったら、大好きな韓国人の俳優の話をし始めた。
その中には、ペ・ヨンジュンも出てきた。

これで私が、かつて日本で大騒ぎになった「冬ソナ」話を展開。熱が高じて、冬ソナを撮影した場所を訪れる韓国ツアーまで大人気だったのよ、なんて話をしたんだけど、
「ああ、冬のソナタ、私も大好き!」 とベトナム人娘たちがさらに盛り上がり、たまたまその日は、韓国おばちゃんもいたので、さらにさらにディープな韓国人俳優や歌手の名前の出し合いとなり、トレンドにうとい私はあっさりそこで白旗上げて聞き手に回ったのだった。

驚いたのは、その時まで、ひたすら聞き手に回っていた、というか、たぶん会話の半分も理解できずに座っていただろうカンボジアの少女が、韓国人歌手の名前を小耳にはさんだ途端、目を輝かせ、

「私の好きなのは……○○と▽▽と××と……」 とたどたどしくも果敢にしゃべり始めたこと。普段は、おとなしくて、だまっていることが多い子なんだけどね。
彼女の発音の癖は、なかなか難物なので、結局、彼女の挙げた韓国人スターが本当は誰なのか、その場にいた誰1人分からなかったわけだけど、一つ分かったのは、

韓流ってすごい、ってこと。

いまや、ベトナムを席巻し、無口なカンボジアの少女まで夢中でしゃべらせてしまう勢いなのだ。
日本の 「冬ソナ」ブームどころじゃなかったのねえ。

「あやこは、アメリカで韓国ドラマやニホンのドラマを見ないの?」 とベトナム3姉妹に聞かれたので、「だってお金もったいないし」 と言ったら、「あんた何言ってるのよ、今どき、ネットでただで見られるでしょう!」 と、とあるサイトを教えてもらった。
ベトナム3人娘が愛用しているらしいそのサイトは、

http:www.mysoju.com

という。
「ねえ、sojuって日本語でしょ? どういう意味? 教えて?」 
とベトナム3人娘に熱い眼差しで迫られたが、soju なあ……。
「たぶん、日本語じゃないよ。きっと韓国語じゃないの?」 と、あいまいに答えておいた。
あとでこのサイトを見てみたら、なるほど確かに日本のドラマもリストアップされていた。日本語ドラマに英語字幕までついている。(こういうの、著作権とかどうなってるんだ?)

アメリカに来て、ベトナム人やカンボジア人に、韓流スターの話を教わる……というのも、不思議といえば不思議な体験だよなあ。

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プロフィール

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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