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好きだな、この写真

エントリー「ヒラリーと、おばさんの憂鬱」に登場してくれた女性と、またしても選挙談義。
あんなにヒラリーにこだわった彼女が今はこういう。

「テキサス、オハイオで負けた後はもう、潔く身をひいてほしい。潔く、潔く」。

潔く、と言う時に彼女が使ったのは、graciously という言葉。
辞書を引くと 「寛大に、愛想よく、快く、優しく、親切に、優雅に、潔く、円満に」 なんて訳語が載っているんだけれど、彼女の思いはもしかしたら、「潔く」 より 「優雅に」 に近かったのかも。

彼女と2人して共感し合ったのは、
「最近の、ヒラリー陣営の、オバマ陣営に対するネガティブキャンペーンは見ていてつらいよね」
だった。
このオバマ人気の中にあってもなお、ヒラリー氏が唯一オバマ氏に優位を保っていた支持層である高齢白人女性たちの、どうしようもないヒラリーへの熱い思いを、最近のネガティブキャンペーンは、踏みにじっている感じがする。

ヒラリーをそんな風に見つめ続ける彼女は、最近、この本を読んでるのよ、と教えてくれた。
オバマ氏の自伝だった。それも2冊の著書のうち、より素直に書かれていると評判の1冊目のほう。
笑ってしまった。
実は、私もこの本を買って、読み始めたばかりだったから。

彼の半生をきちんと彼の言葉で振り返ってみたいと思わせたのは1枚の写真だ。
オバマ氏へのネガティブキャンペーンの一つとして報じられた写真。
彼がケニアに行った時に、民族衣装を身につけた、という写真

私はこの写真が好き。
ニュースやあれこれで、オバマ氏が思春期に 「白でも黒でもない自分」 に思い悩み、模索したと何度も聞いた。そんな彼の物語性は今、多民族国家のこの国に生きる多くの人々の心をつかんでいる。
この写真を見て、一番最初に思ったのか、

「彼の歩いてきた道をもっと知りたい」

だった。
この写真、ヒラリー陣営の誰かが意図的に流したネガティブキャンペーンだ、などと噂され、それが報道されてもいる。浅黒い肌にターバン姿が、イスラム原理主義のテロ指導者たちを想起させるから、ということらしい。

でも。
この写真が、ネガティブキャンペーンとして成立してしまうなら、悲しいな。
とても、素敵な写真だと思うんだけどな。
私は、この写真がとても好き。

そんなことをヒラリーファンの彼女に話したら、彼女も共感してくれた。
「そうよね。私も美しい写真だと思う。あれをヒラリー陣営が流したなんて信じない。オバマ人気を怖がった共和党の誰かじゃないのかな。いずれにしても。あの写真は、この国の大多数の人にとっては、ネガティブキャンペーンではなく、逆に働くと思うよ」

この国が、そうでありますように。
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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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