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はだしのゲン

気温36度の炎天下、大阪の生まれ故郷を歩いてきた話は、少し落ち着いたら書くとして。
今回は、「はだしのゲン」。
初のテレビ化ということで、後編のみ(前編放映中は家にいなかったもので)、見ました。

驚いた。
映像を見ていると、次から次に、漫画で読んだストーリーの記憶がよみがえってくるの。小学生時代に読んで以来なのに。

原爆が落ちた直後、ゲンの母親に赤ちゃんが生まれたシーンでは、「この子に、ゲンが名前をつけるの。お友達がたくさんできるように、友子って!」と叫んでしまう。
米を探しに行った先の農家でゲンが浪曲をうなり始めた途端、「ゲンはね、途中で泣いちゃうの。それを見た農家の人が米をくれるのよ」。
ゲンがその米を持って喜び勇んで帰路を急いでるシーンが出てくると、「あああ、この米、盗られちゃうの」。

細部の記憶が次々によみがえって、思わずそれを口にしてしまう私に、夫が呆然としてました。
なぜなら私、小学生時代の記憶ってほとんどない。クラスメートの名前だってほとんど覚えてない。家族から 「天下無敵の健忘症」 と呼ばれるくらい、何でもかんでも忘れちゃう。
それなのになあ。
小学生の3年生とか4年生で読んだこの漫画の記憶が、細胞に染みこんでるみたいに、今なお私の中にあることに気付かされたのだった。

はだしのゲンについては、もう一つ、忘れられない記憶があります。
この漫画を読んで、ゲンにすっかり感情移入し、誰よりゲンのお父さんを心から崇拝した私は、ある日、母親に聞くのです。

「なあなあ、お母ちゃん。お母ちゃんやパパやじいちゃんばあちゃんも、『非国民』って呼ばれてたん?」

なぜなら私は母も父も尊敬していたし、「はだしのゲン」を読んだ後では、尊敬にあたいする人間は戦争当時「非国民」と呼ばれていたのだ、と信じ込んでいたので。

その時の母親の答は、次の一言。

「は? なにをアホなこと、ゆーてんの」

両親もまた、完璧な人間ではないのだ、と子供心に痛感した最初の体験だったのでした。

もう一つ。
この夏、つらつらと戦争のことを考えていて、一つ、気付いたことがあります。
相変わらず、何人かの子どもや若者たちから、「死にたい」「消えたい」というメールが舞い込む日々ですが。

私は高校時代、何だかんだと悩んで、連夜自傷し、血で日記をつづっていたころ、それでも、絶対に 「死にたい」 と口には出せなかった。それどころか、日記にだって、その一言を書けなかった。
どうしてかな、と。

たぶんね。
戦争の記憶が身近にあったんです。
死にたくない、死にたくない、といいながら、死んでいった人間の存在を身近に感じるあまり、平和な時代に生まれた自分が 「死にたい」 なんて口にすることは、あまりに傲慢で、卑怯な行為なんだ、と固く信じていたんだと思うんです。

祖父は戦死してるし。
祖母は原爆手帳を持ってるし。
広島に遠い親戚がいて、何人も亡くなったと聞いてます。
両親からは、戦後の貧困の話を繰り返し聞かされました。

だいいち。
私が生まれたのって1966年。
戦後わずか20年です。
今から20年前っていえば、1987年。バブルのころですよね。
今生まれた子にとってのバブル時代が、私たち世代にとっての敗戦だったのだから。

今、9歳の息子にどんな風に戦争を伝えようか、と途方に暮れる私がいます。
息子が仙台から帰ってきたら、はだしのゲンを一緒に見ようと思うのだけれど、伝わるかなあ……。





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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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