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リストカットをテーマにした写真集、の記事

ずっと前、こんなエントリーにてご紹介した、写真家、岡田敦さんの新しい写真集「Iam」、が出版されました。(アマゾンにリンク張ろうと思ったら、まだアマゾンに情報がアップロードされてなかった……残念)。

とりあえず、私は私のできることをしよう!と、
日曜日の新聞(生活家庭面)に記事を掲載してもらいました。

それが、これ。

「写真集を手に取りたい人が買える値段にしてほしい」と。
岡田さんに唯一、お願いしたのはその点でした。
前作のcordは7000円台でしたから。
岡田さんなりに、そして出版社の方々も、すごく頑張られたんだと思う。3000円をぎりぎり切る値段で仕上げてくれました。

表紙にまず驚いた。
写真集の表紙って、まず間違いなく、最も印象的で、最も能弁で、最も伝わりやすい、そして写真家にとって自信のある一葉の写真を選ぶもんだと思う。
でも、今作の表紙は写真じゃあありません。
鏡みたいに、手に取る人の顔が映るつるつるの銀紙(表現が難しい!)。
岡田さん自身がこだわった装丁で、書籍用の紙には納得のいく紙が見つからず、化粧品箱などに使われている紙を自分で探し出したんだそうです。
写真家が、写真集の表紙から、自分の写真を落とす、というのは、たぶん、私なんかが想像するよりもずっと勇気のいる選択なんだろう、と思う。

写真集を手に取ると、表紙に映る自分自身の顔。
伝えたかったのがきっと、「Iam」というタイトルにもこめられている思い。

切る彼ら彼女らと、あなたと、何が違うのか。
彼ら彼女らも、あなたも、僕も、生きている。


そんなメッセージなんでしょう。
前作cordは、テレビや新聞の何社にも取材されながら、記事や番組になる途中でなぜか頓挫したそうです。多くの場合、自傷というテーマへのメディア側のタブー視があったのではないか(特に、写真集の場合、映像や写真をどう扱うか、という問題もあったのかな)と岡田さんは感じているそうです。

4年前の当時と、今とでは、自傷をめぐるメディアの状況も大きく違っていると思います。
メディア以外の世界でも、例えば少なくとも、学校の養護教諭の先生方と話していると、4年前には「私も1例、関わりました」「うちは2例ほど事例を抱えてます」程度だったのが、今や「次から次へと『切っちゃった』とやってきて手当てが間に合わないくらい。でも校内の教師全員で勉強会などやってますから、もう誰も慌てませんけど」とか「その子その子によってベストの対応が違うから、そこで悩んじゃいますよねー」とか、そういう具体的な話にすぐなってしまいますもんね。

こんな2007年の夏、彼の写真集がどんな風に社会に受け止められるのか、どんな人の手に届けられ、どんな感想が寄せられるのか、非常に興味深くあります。

また、写真を見て感じることも、自傷経験の有無や男女の差、世代差のほか、人の肉体をどんな風に見据えるか、というスタンスの差によっても、変わってくる気がします。

私自身が思ったのは、傷跡より、ハダカそのもののインパクトのほうが私には強いぞ、ということ。例えば、人前でその写真集を開く時、自傷の傷痕の有無より、ヌードの有無のほうが気になっちゃうもの。
で、そんな自分に直面し、あらためて、ストンと納得がいっちゃうのだ。

だよなー。
傷痕って、その人の身体のほんのほんの一部なんだよな。
自傷って、その人が生きていることのあれこれの、ほんの一部なんだよな、ほんとは。
ってね。
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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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