★いじめをやめさせる! (著・佐山透)先日、いじめ関連本についてブログに書いたら、とある方から、「この本も読んでみて」と薦められたもので。読みました、はい。
現役の公立高校教諭(教師歴25年)が「本音で語る、現実的対処法」だそうで。
結論がすごいぞ。
「学校に、いじめに対処する力はない!」と断じちゃってる。だから親が守ってやるしかないぞ、と。
曰く、校長にしろ、担任教師にしろ、それぞれ、いじめの現実を認めたら自分の評価に響く。どうせ解決できない問題なら「なかったこと」にしてしまうのが一番無難。学校の教師が一丸となっていじめ問題に対応することなんてありえない。ある学年でおきたいじめ問題は、他学年の教師にとっては格好の酒の肴だ。担任教師が、本気でいじめっ子と対決しようとすると、授業ボイコットなどの反撃を受け、よけいに学級運営に苦労することが多いので、「あいつとも仲良くしてやってくれよ」などと、いじめっ子に頼み込むのが関の山だ、とか……。
現役の先生に、「我々には無理です」と最初から白旗あげられてるみたいで、それはそれで悲しい。
おもしろいな、と思ったのは、この教師が小学校時代に「いじめっ子」だった体験と、中学時代に「いじめられっ子」だった体験を書いていることです。
この両方の体験から、「いじめられやすいタイプ」や「いじめがエスカレートする要因」について、書き出してます。
「泣かせるのが生きがい」と思えるほど、いじめていた小学時代、自分がいじめなかったことの理由として、
・担任、母親など女性にしか注意されなかったこと
・父親が無関心だったこと
・クラス内でもいじめに加わる者が何人かいたこと
・著者が当時クラス委員をしたり成績上位者でクラスで一目置かれていたこと
を挙げてます。
一方で、中学時代にいじめられた理由として、
・当時は、無口でおとなしい性格だった
・何かされても反撃せず、「やめろ!」と大声で言えなかった
・体力的に劣っていた
・担任にも両親にも打ち明けられなかった
を挙げています。
そしてこの両方の体験についても、これらは昔の話で、今のように「メールによるいじめ」などより陰湿で集団的になったいじめは、もっと解決が難しくなっている、と指摘しています。
学校でいじめられっ子にならないため、ちょっとした子育て上のアドバイス、というのが本書にありましたので、いくつか書き出します。
(うーん、それってどうかな〜、と疑問を差し挟みたくなるところもありますが……)。
*子どもの言葉遣いの乱れを注意するのは、友だちたちの間で使われている話し言葉を使うな、友だちをなくせ、と言っているのと同じ。聞くに堪えない言葉遣いにも、「親から自立しつつあるんだな」と思っていればいい。
*今の子はコンビニ、パソコン、携帯電話が当たり前の世代。親の時代遅れの価値観を押し付けることは、子どもに屈辱感を味わわせることになりかねない。
*過保護で口うるさい親の子はいじめられっ子になりやすい。甘やかしの親の子は逆に、いじめっ子になりやすい。子どもに無関心な親の子もいじめっ子になりやすい。しつけや勉強に厳しい親の子はいじめっ子、いじめられっ子の両方になりうる。
でもって、著者が教師経験を通してまとめた 「いじめられやすい子の特徴」は、
・肉体的にハンディを負った子
・ぼーっとしてる子
・何をするにもみなより遅い子
・生意気でえらそうな子
・自慢する子
・いじめられた時に反撃せず、それを親や教師に訴える子
・その場の和を乱す子
……なんか書いていて、気が重くなってきた。
上記の子たちのいないクラスって、どんな集団なんだろ。うーむ。
おまけに、親がいじめと闘うためにも、日頃から子どもがいじめについてしゃべってくれるような関係を作っておけ、という一方で、上記のように「親にすぐ言う子」はいじめられる、とも書いてるわけで、いったい、どうすりゃーいいのよ!って言いたくもなる。
でもって、著者の編み出したマニュアルはこんな感じ。
*子どもはいじめを記録する。多ければ多いほど有効。
*子どもはいじめられた時、「やめろ」と大声で叫ぶ練習をする
*子どもは空手や柔道の技を磨いてでも、反撃するようにする
*親は、いじめ記録を10枚程度にまとめ、学校に怒鳴り込む。大騒ぎして校長やほかの教師まで巻き込む。
*学校に求めたい点を誓約書にまとめ、校長にサインをさせる
*いじめた子の親への直接抗議は、効果的ではない
*校長でダメなら、教育委員会に怒鳴り込む
*それでもダメなら、法的手段に訴える
………。
この本を読んで一つだけよーく分かったこと。
学校におけるいじめの現実を最も良く知る大人である「現役教師」の多くの方々が今や、いじめは自分たちの力ではもはや解決できない、と結論をすでに出しているんだ、ということ。
とりあえず、子どもに柔道でも習わせろ、ってか?
うーむ。