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■内田光子ピアノコンサート@サントリーホール

■内田光子ピアノコンサート
(9月18日、ベートーベンプログラム@サントリーホール)

16日はモーツァルトプログラムだったそうです。
モーツァルト弾きとしての評価はすでにすっかり定着している内田さんだし、きっと、天国で鳴る音のように、美しかったことでしょう。聴衆たちはきっと、至福の時を送ったに違いありません。
あちこちブログをつまみ読みしてみたところ、アンコール2曲もすべてモーツァルトだったそうです。

でも、私が選んだのは18日のベートーヴェンプログラム。
ベートーヴェンソナタ30番、31番、そして20分の休憩をはさんで32番。
ね、プログラム見ただけで、すでに「凄まじい……」って予感がするでしょ。
シューベルトの即興曲をあれこれ聞き比べ、最も好きだったのが内田光子さんでした。でもベートーヴェンのソナタは、他のピアニストの演奏と意識して聞き比べをしたことがないので、専門的なことはよく分かりません。
ただ、確か数年前のインタビューで、内田さんはベートーヴェンの後期ソナタ3曲に言及し、「今、何を捨てても弾きたいのがベートーヴェン」「ここには宇宙全体を見極めてしまったような世界がある」「地獄にいて天国が見える強さがある」などと語っていた記憶があるので。
これは絶対に聴きたかったのです。

結論。
いやはやすごかったです。
舞台に颯爽と現れると、ぐいっと頭を深々下げて、イスに座ったかと思うと、ものすごい集中力で一気に弾き始めるあのスタイル。
逆に、弾き終わりは、指を鍵盤から離してもなお、余韻だけで20秒近くもホール中の空気をピーンと磨き上げてしまう。

音は、美しくて、一言でいうならとんでもなく表情が豊か。
この音も、あの音も、同じ人の手で奏でられているなんて……と途中で頭がクラクラしてしまった。
30番1楽章の始まりの部分でもうすっかり虜になって、31番で完全にノックアウト。32番の前の休憩では「いったい次はどうなるんだろう……ブルブル」という感じ。
32番の途中、弾けるだけ弾けて、最後は本当に息が詰まりそうなほどかすかに終わっていく。
拍手、鳴りやみませんでした。

「アンコール曲はいらない」と思いました。
32番の次に、別の曲はもういらない、と。
実際、アンコールはありませんでした。
でも誰も「え? アンコールないの?」なんて顔、してませんでした。
この夜の感想を一言で言うならば……

「怖い。なんか怖い」

です。
とんでもなく美しいのに、幸せではない。怖い。
これが、内田さんのいうところの「地獄にいて天国が見える」なんでしょうか。
私はむしろ、天国にいて地獄を常に感じてる、って感じでしたが。

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プロフィール

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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