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★盾 シールド(著・村上龍)

★盾 シールド(著・村上龍)

寓話らしく、あえて紋切り型の設定や出来事を多用することで、強いメッセージを打ち出している感じがする、村上龍さんの絵本。

盾、とは何か。
絵本に登場するおじいさんは、2人の小学生の男の子に語ります。
「人間は、からだの中心にあるやわらかい心を、どうにかして守っていかなければならない」
「それを守るには盾、シールドが必要だ」
シールドとは何か。「それは自分で考えろ」とおじいさんは立ち去ります。

それから2人の小学生は成長するに従って、それぞれにシールドを見つけていくわけです。
ある時は、優等生の仮面だったり、ある時は、ボクシングの地道な練習だったり、自己肯定感だったり、大企業の社員という肩書きだったり、外国語の習得だったり、信頼できる相手であったり。

読者に「私の(僕の)盾とは何だろう?」と自問させる本です。

あとがきで、村上氏はこう書いています。

「『盾』には個人的なものと集団的なものがあるのではないか。官庁や大企業のような強い力を持つ集団・組織へ加入するとで得られる盾もあるし、外国語の習得、いろいろな技術・資格など個人で獲得する盾もあって、わたしたちはつねにそれらを併用しているのではないかと思われます」

つまり、この本は、「13歳のハローワーク」の延長線にあるもので、「心を守る盾」といっても、いわゆる心の問題ではなく、基本的には人生設計、就職、仕事選びなどを強く意識した本というわけです。

共感できたのは、村上氏が「この絵本のテーマは、官庁・企業に代表される集団用の盾にたよるのは危険だからやめて、個人用の盾を獲得すればそれでいいというような単純なものではありません。ただし、どのような盾を選ぶにしろ、それに依存するのは危険です」と書いている点。

盾は必要だけれど、盾に依存すんなよ、というメッセージと受け取りました。それが集団用であろうと、個人用であろうと。

私は会社員ですから、そういう意味では、集団用の盾の使い勝手の悪さと、便利さの両方を享受してる気がします。
すでに出来上がっている集団用の盾の便利さをうまく利用しながら、脆弱だった個人用の盾を少しずつ強く鍛えてきた、というのが私のここ20年間だったのかな、とふと思いました。

そうそう。
この本の中では、2人の男の子のうち、一人が長じて結婚する女性が、著者の若者に向けたメッセージをわかりやすく語っています。

「良い子を演じるって、それは子どもなら、多かれ少なかれ、だれだってそういうことをするのよ。問題は、それに自分で気付いているかどうかじゃないのかな。気付いていない人はあとで苦しむかもしれない」
「(きれいなもの、すばらしいもの、より良いものは、自分からいつもはるか遠くにあるように感じる、という感覚は)たいていの人が持っている感覚でしょう。それがなくなると努力しなくなるし、かといって、ありすぎると病気になるかもしれない。問題は、その遠くにあるものがいつか近付くときが来るはずだという思いを持てるかどうかじゃないかな」
「他人の悩みに答えるのはあんがい簡単で、自分の悩みに向かい合うのはむずかしい」

しかし、想像の余地がないほど、ストレートなメッセージに満ちてる本だなあ。若者読者を意識した時、「伝えるためにはわかりやすさが必要」とか村上氏は考えたんだろうか。

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プロフィール

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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