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僕の妹

先週金曜日から4泊5日で、カンボジア帰りの妹一家が我が家に泊まっていた。妹たづこ(仮名)と、妹の夫と、2人の娘のハナちゃん(これまた仮名)。ハナちゃんはまだ生後5カ月だ。

うちの7歳の息子がなぜか、このハナちゃんにはまってしまった。
結構な守銭奴のくせに、ハナちゃんが音の出る絵本が好きだと聞いた途端、ため込んでいた図書券をかき集め、「ハナちゃんにプレゼントしたい」と言い出した。
早速本屋で買ってきた「音の出る絵本」を使って、息子はかいがいしくハナちゃんの相手をしていたのだった。
もう、ハナちゃん、ハナちゃんとあとを追いかけ回してばかりいた。

ハナちゃんと過ごす最後の夜となる昨夜、息子は何を思ったか、妹の夫に買ってもらった乳酸飲料のプラスチックの空き容器を丁寧に水洗いし、タオルで拭いて、油性マジックで目と口を描いた。
そして高らかに宣言した。

「これ、僕のハナちゃん!」

冗談みたいだが、この夜、息子はこのプラスチック容器を寝床に持ち込み、抱いて寝た。

別れの朝はもう涙目で、それでも笑顔で「バイバイ」と手を振った。
今日夕方、学童保育から帰ってくるなり、「ハナちゃん、いないね」としょんぼり。「でもいいもん。こっちのハナちゃんがいるから」とプラスチック容器を抱く。
大丈夫だろうか、こいつ。

さらに夜9時。
妹夫婦が置いていった巨大トランクを宅配便業者に集荷してもらった。
これで家の中から妹夫婦の気配が消えた。
途端、息子が号泣した。

「ハナちゃんがいいのー。ハナちゃんがいいのー。ハナちゃんでないとダメなのー」
いやはや、息子が声を上げてここまで長い時間号泣したのは、たぶん数カ月ぶりではないかな。

私 「そんなに赤ちゃんが好きなんだ。そっか。こうなったら母ちゃんが頑張って妹か弟を産んでみようか?」
息子「だめ。ハナちゃんでないとダメなの」
私 「そうかー。うーん」
息子「母ちゃんもハナちゃんを産んで」
私 「……それはやっぱり無理だよ。ハナちゃんは一人しかいないし。どうせ母ちゃんが産んだら、また男の子の気がするし」
息子「ふえええええええん(涙)」

号泣の合間に、堂々巡りの親子の会話。
最初は「そうかそうか」と息子を抱いていたが、だんだんと私まで悲しくなってきて、最後は「母ちゃんだって、たづこちゃん(妹の名。仮名)の近くに暮らしたいんだよー」と一緒に泣いてしまった。
なんだかんだいっても、母が死んだ後、2人姉妹の片割れがたいてい外国にいるか、日本にいても片道4時間の距離というのは寂しい。
結局、親子で号泣。

でも子どもの復活は早い。
30分ほど泣いていたかと思うと、
「ハナちゃんにミルクをあげなきゃ!」と息子が立ち上がった。
私の頭の中は、?????、はてなマークでいっぱい。
息子はベッドに転がっていたプラスチック容器を取り出し、
「ハナちゃん、おっぱいをあげるね」と話しかけながら、なぜかその容器に水をためていた。
「赤ちゃんのお世話って色々大変だよね」などとつぶやいているのが、すっごく変だ。
こいつ、どうなってしまったんだろう。

よくわからないままに、最後は水を全部流して再び容器を乾かし、今、ベッドの中で抱いて寝ている。
4泊5日の短い短い「お兄ちゃん体験」の後の別れは、7歳児なりにとても胸の痛いものだったようだ。
「母ちゃん。ハナちゃんがいないと寂しいよ」
何度も何度も、そう繰り返し、泣いていた。
ほんとだよね。また2人きりの夜に戻っちゃったんだもんね。

それにしても。
寝入る前の息子が言った言葉は結構重い。
「母ちゃん。やっぱり考えたんだけど、ハナちゃんじゃなくてもいいし、妹でなくて弟でもいいから、赤ちゃん産んで」
うむむ。

母ちゃんは、君を産む前に、医者から「普通の妊娠は無理でしょう」と宣言されたことがあるくらい、なかなか赤ちゃんができない体質なのです……と息子にはさすがに言えぬまま。

あ、そうそう。
ちなみに、これが息子の「ハナちゃん」です。(油性の赤いマジックで目と口が描いてあるんだけど……見えないかな)
haruchan.jpg

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プロフィール

おぐにあやこ

Author:おぐにあやこ
名前■おぐにあやこ
生年■1966年 ひのえうま
仕事■07年秋まで新聞記者。仕事を辞めて渡米。11年、新聞記者に出戻り。
趣味■読書、歌、旅
目標■ちょっと背伸びして、
 疑問符を感嘆符に変える事
苦手■勧善懲悪


著書■
▼「薬(ドラッグ)がやめられない 子どもの薬物依存と家族」(青木書店)
「ベイビーパッカーでいこう 赤ん坊とザックかついでスペインの旅」(日本評論社)
「魂の声 リストカットの少女たち」(講談社)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」(共著、講談社)
「アメリカなう。」(小学館)
「アメリカの少年野球 こんなに日本と違ってた」(径書房、ミズノスポーツライター賞)
「?が!に変わるとき  新聞記者、ワクワクする」(汐文社、読書感想画中央コンクール課題図書、高校生の部)

訳書■
「自傷からの回復 隠された傷と向き合うとき」(みすず書房)

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